新宿へ向かうと言うのは年甲斐もなく浮ついた気分になる。
そのため、選んだのは月末の月曜にした。
何だか気合が入ろうってものじゃないか。
日の長くなった十八時三十分、辺りが暗くなるのを待って、出発。
パチンコ店の脇にある路地を南下していく。
早速よさげなお店あり、メニューなどよくある大衆居酒屋ものではあるが、やけに小洒落ている、描かれているイラストに『ミライザカ』を感じる。
高田馬場からの路地の延長みたいな雰囲気が続いている。
しかしながら、逆側にあたる環内こそがTHE新大久保コリアン王国なので、今歩いている道はこれでも大分トホホであると言わざるを得ない。
だいたいまず人出が全くないもの、極力写らないように撮影したけど駅前なんかめちゃくちゃ人だかりがうねっていたのに。
宿泊もできるサウナ、こんなのあるなんて実用度爆アガり、当方は赤羽のをよく利用するし、仙台に旅行の際にはCure国分町は候補に入る。
新大久保エリア途絶の予感、ここまで。
左見て。
右見て。
続く路地を真っ直ぐ進む。
ここはどこか、池袋から目白に向かう途中の空隙地帯に似ている。
もちろん、街の側面の一つに、人の棲家という要素もあるが。
しかし、この先にあの新宿が待っているとは想像ができない。
以下が今回のベストショット、私道でしょうか、何か潜んでいる感じする。
指示通り律儀に右へ回って迂回。
この先、東京都道302号新宿両国線(狭義には職安通り)。
これが大久保エリアと新宿エリアの境界だな。
通りが交差する地点では左右を広く記録しておく。
やはり環内の方は人出が多いのか、良く見てみれば、行き来できるように横断歩道が設けられている。
一方でこちら側にあるのは…。
高架下。
有志のクズ入れ、駅前から飲み飲みしてきた空き缶をありがたく捨てさせてもらった。
そして、歩道橋。
渋い、実に渋い。
こんな所をカシャカシャ撮影しているのは不審者に見られる。
人をやり過ごし、カメラを向けないように配慮するのも一苦労だった。
しかし、この狛犬には興醒めも甚だしい。
ま、狙ってないからこそ、この取り合わせなんだろうが。
写真中央に写っているオレンジの光は、新宿のランドマークの一つ、エスパスの電飾である。
職安通りを越え、いよいよ新宿エリア。
しかしながら、意外と閑静なのに驚かされる。
地図を調べると、ここにあるのは西新宿プライムスクエアという共同オフィスなんだそう。
懐の広さを感じさせる施設だった。
新宿の喧騒らしきものは未だ感じられず。
そこの路地を右に覗いてみても繁華街然とはしていない。
が、いよいよそうも言っていられなくなる区域が次の路地。
目星をつけていたのはここの先にある鮮魚店。
後でここまで戻ってきて向こうへ進むことになるのだが。
え、『なんでんかんでん』??
生きとったんかワレェーーーッ!と言う感じに胸が詰まる。
さて、気を取り直して駅の方へ進路をとる。
枯れ井戸と読めそうな縁起の悪いパチンコ店さん。
くわばらくわばらと思いつつ先へ急ぐ。
あ、なんだか安心感のある、見覚えのある光景だ。
新宿は、池袋と同じく、駅前の雑踏が一番充実していて、接続の道に新宿を感じさせるようなものは少なかった。
目の前の思い出横丁へは行かず、先ほどのなんでんかんでんの少し先へ。
今夜選んだ飲み屋さんは、タカマル水産さん。
突き出しはバイ貝の煮たの、こりゃタカマルね〜。
刺し盛りの二人前と生牡蠣で、(二人で飲むのであれば)高コスパな飲みを堪能した。
後から入ってくるお客はみんな断られていて、私が入店できたのが奇跡、こちらナカナカおすすめなのでぜひ予約して行って欲しく思います。
で、〆はここ。
替え玉三つで千五百円ほど。
渋谷にあった商業施設内で食べて以来二、三年ぶりになりますが、めちゃんこ美味かったです。
今回出てきたチャーシューも強かった。
はっきり言ってスープは都内のどのお店でも出会ったことのないお味、おみそれしました。
これからしばらくは、ビール飲み歩きが爽快な陽気が続くだろう。
編集後記
キ刊TechnoBreakマガジンも、創刊から一年経つ。前身となる「一食一飯」「ラーメンドラゴンボウル」の週刊連載に疲弊して、キの向くままの連載ができるよう、このような一人雑誌を出し続けてみるという試みである。やり切ることができて、今、非常に安堵している。
いよいよ、後回しにし続けてきた「船橋ノワール」を何年かかったとしても終わらせる必要があるから、キ刊TechnoBreakマガジンはこれで仕舞いにする。わずかな読者の皆様に対しても、物語に区切りをつけるという誠意を示すことができたのではないかと思っている。感謝しています。
ひょんな事から生まれた宜敷準一、私は彼にアリョーシャとかムイシュキンのような良いやつになって欲しいと願い、この一年があったのだ。彼は逆輸入される形で船橋ノワールの世界の住人になるだろう。本編での登場は期待できないが、スピンオフの「虚飾性無完全飯罪」では活躍すると思う。先月にも書いたが、我らが禍原一屰が今後どのような破天荒をするかしないか、引き続き応援してやってほしい。
四月からは新企画が始まるから、この場ではその記事が定期的に載るだろう。それは静観していてほしく思う。「環状赴くまま」も月一で継続する。