【2023春号四月分】環状赴くまま #018 新宿ー代々木【キ刊TechnoBreakマガジン】

新たなる『トレインズ・ウォーク』の灯がともる。

戦いを終えた我々は、この日は遺恨を忘れて一駅歩きに繰り出す。

掲載誌の体裁が変わり、環状赴くままはしばらくの間JunとShoの二人歩きとなった。

こちら側とあちら側からでは、新宿の眺めというものも全く異なる印象だ。

待ち合わせは分かりやすく思い出横丁にしたのだが、この日は大混雑だったため、こちら側へ退避してきた体である。

17時25分、乾杯してスタート。

写真映えする夜景を撮るには、あと三十分は出発を遅らせるべきだったか、陽が長くなった。

曇り空も相まって、まるで病棟のような印象の街。

切り取られた写真という風景の限界とも言えるか。

雑踏、という様子が端的に分かるような写真。

ここだけ見れば新宿とも秋葉原ともつかないが、新宿の側面としてこの要素は欠かせまい。

池袋で受けた城塞のイメージに近いが、やはり曇り空の暗い印象が先行しているかのよう。

夜景だったらどのような表情を見せてくれるだろうか、却って今までに見慣れた感覚を脱することができて良いのかもしれない。

通りを右へ向きヨドバシカメラの店舗がある方をもう一枚収めた。

飲み屋街というわけでもないのだが、人通りが非常に活発。

大きな駅には多彩な横顔があるのだ。

早くも新宿エリアを抜けてしまいそうな予感をさせる境界、国道20号線甲州街道。

左を向いてあちらは新宿南口方面。

この交差点を振り返れば、

大都会に存在するイメージのウェンディズ、都会度を判断する一つの指針となるかのように思える。

横断歩道を渡り、代々木方面へ。

看板を見なければ、ここが新宿であると看破できる人は少ないのではないだろうか。

標識には渋谷区と書かれているのも面白い。

曇り空の下、道は続く。

代々木の劇場で公演したときにこんな道路を通った事を思い出した。

この下り坂は非常に代々木らしく感じる、個人の感想という言葉で切り捨てたくはない。

ドコモタワーが見えてきた。

NTTドコモ代々木ビル、というのが正式名称らしい。

なんか、代々木スゲーもん持ってるなって感じがする(代々木の名を冠するのは他に二、三あるが)。

踏切に差し掛かった。

全然開かない、無理な横断を制止する張り紙が切実である。

ここで迂回路の提案。

ここから相当引き返すことになるのだが…。

結局二、三分待たされることになった。

だが、二、三分と書くと大したことなさそうである。

実際の待ち時間は体感で相当なものだった。

代々木駅前エリアへ突入だ。

代々木が持ってるスゲーもんその二、認定せず。

代々木駅着、なのだがこの周辺に良さげな飲み屋さんは見当たらず。

奥側の改札方面へ進む。

18時10分、代々木駅西口着。

この脇の様子が。

ほらほら、色々良い感じ。

駅前感があるのは断然こちら側だ。

ぐるりと眺めまわしてみよう。

四月期の対戦に敗北したShoがお店の選択権を持つ。

彼が選んだのはこのお店、以前知り合いといった思い出が宿っているのだという。

割安で、環状赴くままにピッタリのお店だと言う。

なるほど、面白そうなお店。

昭和タイムスリップ酒場、代々木ミルクホールさん。

さっそく潜入だ、この手のお店ってあんまりないから気分が浮つく。

ここまでくると、ハリウッドのアクション映画が描く日本みてえ。

店内には先客もちらほら。

大生で乾杯、お通しはお菓子、隠れているがどんどん焼きもついた。

おみくじハイボールはすげえサイズで料金もデカいのが来るリスクがあるのでやめ。

最近健康志向のShoが野菜炒めをチョイス、色々とあるためJunはShoに選択を委ねる。

メシが進む優しい味。

モダン焼き、空腹を満たしてくれる良いやつ。

総じてどれも非常に割高になっており千円程度、在りし日の思い出に浸りたかったであろうShoは頭を抱えていた。

お通し代が一人五百円だもん、あの駄菓子で千円するんだぜ(笑)

まぁ、そんな事に頓着のない余裕のある紳士淑女の集う場なのだろう。

我々みたいなのは、薄利多売半兵ヱにでも行く事にする(運営会社同じ)。

ちなみに環状内側には、大塚や歌舞伎町、姫路、那覇などに展開されているのれん街がずらずらずらりと立ち並んでおり、圧巻の大盛況だった。

気を落とすShoを元気付けるべく、彼の本当の思い出が詰まっていると言う新宿のカフェへ。

こじんまりとした店内には人があふれていて、生命力の充溢を感じた。

「昔はここでホットドッグにかじりつきながらビール飲んでたのに、今はザワークラウトで飲んでるなんて出世したんだなあ」

しみじみと言ったShoの横顔。