【2024冬号】ヤレるデッキを提案してみる #01 《昭光の巨匠》【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun「《昭光の巨匠》の魂を救済したい…」

違和Sho「それどっかで聞いたことある台詞だ」

ヴァーチュオーソはイタリア語で「すげぇ」ってこと byトニー・リップ

“人物紹介”糞Jun:もう歌わなくなったバンドマン。ヴォルラス野郎。デッキ作りは金を掛けずに、名誉を賭ける(だから負けると結構悔しい)。《思考囲い》ローウィン派。二つ名は「歪んだ三位一体」。

“人物紹介”違和Sho:MtG好きのプログラマ。2024年に元嫁との住処を手放し、禁止されていたペット(ウサギ)による汚れのクリーニング費用に八十万円の請求をされている。これはディズニーリゾートホテルでの挙式(披露宴無し)と同額とのこと。二つ名は「堕落したFallen」。

糞Jun「《昭光の巨匠》はMtGアリーナ初心者におすすめという記事にも採り上げられていて、検索ワードでも『強すぎ』が候補に上がったりと、既に強さは認知されている模様です」

違和Sho「魂の救済はどうなったんだろう」

糞Jun「記事冒頭のお約束ってことで」

違和Sho「赤毛のアンヒンジド」

糞Jun「で、巨匠にスポットを当てた紹介記事は既に幾つかあったんです。白赤ボロスカラーならお馴染みこちら、あと白青アゾリウスカラーならこちらとか」

違和Sho「ボロスヒロイックなんてデッキタイプとして既に存在してますね。これをわざわざ記事にしますか?

糞Jun「では、完成したデッキをご覧下さい」

こんだけパロった記事書いてるならせめて晴れる屋さんの構築機能つかえ

糞Jun「《昭光の巨匠》をパンプアップさせてさっさと殴るアグロデッキ、エネルギッシュで密度が濃いので『刹那五月雨』と名付けました」

違和Shoデッキ名に『サカイノ式』は着かないタイプですか?

糞Jun「着くわけないだろ」

糞Jun「基本路線は先述のブログMtG Wikiにあるシナジーを利用して、ブロックされない巨匠が殴るたびに謀議していきます」

違和Sho「《昭光の巨匠》と《警備の抜け道》は簡単で強力な組み合わせですよね」

『グリーンブック』は良い映画ですよ、音楽も
スパイク・リー監督の評価も含めて

糞Jun「週一イベントUncommon Low Skirmish-珍法小競合-で白青デッキが入り用だったので、アゾリウスカラーを採用しました」

違和Sho「毎週、お互いの存在意義を賭けて戦っています」

糞Jun「何言ってんだ、どっかのレシピパクって構築してるクセに!

※編集注:糞Junは違和Shoのイゼットウィザードやセレズニアカンパニーに好感を持っていないが、週一バトルのULSではレシピパクりに対する制限は一切ないので、ルール上では完全にリーガル

違和Sho「自分だってWikiの記事からシナジーパクってんじゃん…」

糞Jun「それがデッキ構築までとなると話は別!まず、別所のnoteで採用されていた《嵐追いのドレイク》は検討の結果不採用です」

違和Sho「まぁ、ワイルドカードもアンコモンで済むし、そこまでの痛手では無かったんですね。しかし、不採用の理由は?」

糞Jun「三ターン目の生存が不確実な二マナクリーチャーを、厚く採用する必要が認められなかったんです」

違和Sho「一マナでアドバンテージに繋がる《エスパーの歩哨》、謀議用か降霊のための避雷針上等で召喚する《双刃の霊》、ターンエンドから奇襲を仕掛けていく《瞬唱の魔道士》…これらのクリーチャーに対してに《嵐追いのドレイク》では力不足だったと」

糞Jun「はい、デッキの中で居場所を失っていきました

違和Sho『機械兵団の進軍』で登場した20円のコモンカードはどうですか?」

糞Jun使えば使うほど、このカードにのめり込んでいくまでには至らずです。巨匠の謀議を回すには呪文の対象にしなければならず、《サイバの暗号術師》の能力の対象にするのでは謀議出来ないんですよね」

違和Sho「だから布告系除去のみならず全体除去まで躱せる《とんずら》、《渦巻く霧の行進》でフェイズアウトさせる戦術を採用していく、と」

糞Jun「対戦相手の三ターン目エンド前、巨匠に《とんずら》でパンプアップさせてから翌ターン殴りかかるのは半ば勝利宣言です。護る手札が他にもあるというわけですから」

違和Sho「それこそ《瞬唱の魔道士》で再利用したり」

糞Jun「白単魔技デッキで見かけた《農家の勇気》や《導きの声》がかなり安くて渋い。特に《農家の勇気》は謀議で捨ててしまってもフラッシュバックで唱えさせられる。一方で、このデッキはせいぜい土地四枚で何とかしてしまいたいので、《自身の誇示》は不採用です。」

Wikiに載ってたシナジーです

違和Sho「そこまで唱えると、構えに残すマナも尽きてしまう」

糞Jun「感触としては《導きの声》で履修するカードは《拡張解剖学》ほぼ一択です。《アルカイックの教え》は唱えているヒマもない」

違和Sho「《謹慎補講》は《ゼロ除算》から引っ張って来る感じですか?」

糞Jun「《至高の評決》対策ですね。打ち消されない全体除去はかなり厳しいですから」

違和Sho「あれ?逆にアゾリウスカラーなら、《至高の評決》メイン採用もあり得たんじゃないですか??」

糞Jun渦巻く霧の行進》やレア土地にワイルドカード割き過ぎて、もうありませんでした

違和Sho「ニヤニヤ」

糞Jun『そのせいで青黒ディミーア忍者に負けたんだよな』

違和Sho「ニヤニヤ」

糞Jun「ただ、このデッキは警戒が付与されがちな《昭光の巨匠》が棒立ちと言うだけで、相手からの攻撃が躊躇われるので、赤単ゴブリンや緑単エルフに五分以上です」

違和Sho「…それは青黒忍者が環境最強ってことか??」

糞Jun「力線《現実の断片化》や、《とんずら》が刺さる《地質鑑定士》にも五分です」

違和Sho「じゃあ、青赤イゼットウィザードは??」

糞Jun九割不利です。一ターン目の《損魂魔道士》で心の中は投了です」

違和Sho「ニヤニヤ」

糞Junコイツぶん殴ってカードドローしてやろうかな

違和Sho「ぶん殴ってドローと言えば…」

糞Jun「そうです、白青緑バントオーラのnoteに紹介されていた《圧倒的洞察》を採用できました。」

影のフィニッシャー、二ターン目から《エスパーの歩哨》に強気エンチャントもアリ

違和Shoこんなカード気付かないので、やはり資料を残してくださっている先達はありがたい

糞Jun「このデッキの戦績がこちらです!」

この後は90%台を右往左往…

糞Junミシック到達!報酬五パックゲット!

違和Sho「言っちゃ何だけどヒドい事思いつきました!コレって《不可視の忍び寄り》とか《聖トラフトの霊》に強化エンチャント重ねてく『呪禁オーラ』デッキで良かったんじゃないですか?」

糞Jun「二段攻撃と謀議のキルターンの方が速そうな気がしたんです…」

違和Sho「各種力線に《現実の断片化》撃っちゃった方が…?」

『刹那五月雨』はアグロデッキと言いつつ、《昭光の巨匠》、《警備の抜け道》、必要ならば《とんずら》や《圧倒的洞察》など各種パーツが不可欠なある種のコンボデッキに仕上がっています。無論、《エスパーの歩哨》が仕上がってから五ターン目に《昭光の巨匠》が手札に来た際には、それを召喚せずに殴り切るデッキではありますが。上記、各種記事やサイト様にはたいへん有意義な情報を提供して頂きましたことを最後に御礼申し上げます。

【2024冬号】担々探訪 #003 錦糸町錦鯉【キ刊TechnoBreakマガジン】

「禁酒町へようこそ、ここは最後の楽天地」

 男は谷淵と名乗った。その名の通り、覗き込むかの様な目つきをしていた。同業者の中尉だ。墨東軍閥は臙脂色した軍装が特徴的だが、我々は私服で落ち合った。

パチスロの目押しでもさせたら巧そうだな、と言うのが第一印象だったが、それとは逆に先方は僕に対してどんな印象を抱いただろうか。他人の何倍も食う異常食欲と、人が食わない物まで何でも食う変態食欲を併せ持っているだ等とは思いもしないだろう。

 非公式な短時間の情報交換を終えて、別れた。錦糸町は佳い街だと思う。ここに住んでいる人々は船橋なんて気にも留めないだろう。眩しい快晴の昼下がり、落下してしまいそうな空が爽やかだった。日曜のためか人出がある、ここはその名もダービー通り。Winsに吸い込まれて行く人々、狭苦しい居酒屋に詰めている人々、そんな店からあぶれ出して路上で飲んでいる人々。駅前の華やかさからは想像つかないが、裏道には朗らかな酩酊者達の活気を感じられる。「賄い雑煮」と手書きのビラが垂れ下がっているお店は、僕みたいな外様に対しても歓迎ムードを醸し出している様に見えるが、実際はどうなのだろうか。所変われば人も変わるらしい。表面的にであったとしても、僕から見ればそんな隣の芝は少し羨ましく思われる。

 谷淵が話題に出した担々麺屋さんへ赴いたのだった。あぁ、もう少し先へ行けば亀戸餃子のお店があるはずだ。もう付属の餃子のタレを使わないかもしれない。そう思っていた頃もあったっけ。あの女性は今、何を思っているんだろうか。

「我の事では無いな、知っているぞ」自称半知半能の龍神、夏見ニコル女史がひょっこり顔を出した。

「あんないいお店がそこにはあったのに、どうして出向かなかったんだろう」

「何かに執着していると視界が狭まると言うのは往々あることだろう」と言いながら引き戸を開けて「随分狭い店だな」

 カウンター六席、確かに満席になったら出入りに難儀しそうだ。先客が誰も居なかったのは幸いだったが、それはそれでまた不安に感じた。先ずは飲みたかったので麻辣唐揚げとビールを注文。アサヒが出てきたが、写真ではエビスである。

 店員さんはハキハキキビキビしていて、文句の付けようも無かった。唐揚げは可も不可も無い。辛味タレが添えられていて、好きに付けて麻辣化することが出来る。味付けに選択の余地があるのは嬉しいし、つまみとしての量は悪くない。僕には物足りないので麻辣水餃子を追加。付属のタレ、は無くて予め麻辣の装いで現れた。一口食べるとこれは良い、最初からこっちにしておくんだった。唐揚げ好きの僕がこの時何故そんな風に思ったかは定かで無い。きっと唐揚げ好きになる程に、普通の唐揚げでは満足出来無くなっているんだろう。

 担々麺は辛さを四段階選べ、二から五◯円ずつ増加していく。痺れも同様だが、三から五◯円増加する。辛さ二、痺れ三で合わせて百円追加し、さらに温玉パクチーのダブルのっけ、麺大盛りで注文。通常の担々麺の料金が九◯◯円というのは頑張っていると思えて好感が持てる。本家の汁無し担々麺も同じく九◯◯円。

 瓶ビールもつまみも終えた所で担々麺がLaunch。パクチーが在る必要は全く無いが、好みなのでオプションがあるなら注文させていただく。やはり選択の余地があるのは嬉しい。温玉とダブルで乗せると計二十円お得になる、そう言う細かい優しさもありがたい。総じて頑張っている応援したくなるお店だ。では、肝心の担々麺。濁ったスープ、十分量の肉味噌が中央、青菜、ネギ二種とは芸が細かい。

「これだけ持ち上げておきながら、肝心の担々麺が美味くなければ、それはそれでネタになると考えているんだろう、お見通しだぞ。貴様どれほど邪悪か」

「美味くなかったらネタにすらならなくて、困るのは僕だ」言ったが半分嘘だ。

 僕のベストレンジの細麺でありがたい。博多風で硬さ普通の歯切れ良さが小気味良い。そして、スープに練り込んだのかと思わせる程に濃厚な胡麻の風味。辛さと痺れに料金がかかるのは目を瞑ろう、何を選んだってキリがなさそうだから、辛さ一、痺れニの無料プランでも良いかも知れない。有る所には有るんだな、こう言う佳いお店。

 ニコル女史が満足そうにしている僕の顔をジッと覗き込む。

「これじゃ無い」

 でも、此処にしか無い。




以上、1777字、谷淵が揃えたか。

【2024冬号】糞Jun 今月のHustleデッキ #007【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun

 聞いてくれ、そのデッキは誰のデッキだい?というのも、一月にShoが持ってきたデッキに搭載されていた《小走り樫》と《南小路のロージー・コトン》の無限トークンの事なんだが、そりゃ俺だって《液鋼の塗膜》と《大いなる創造者、カーン》の毎ターン土地破壊シナジーはMtG Wikiで仕入れはしたし、現環境でランク戦やってれば様々なデッキタイプの啓示は得られるけどさ。それって、試合に勝って勝負に負けてるんじゃあねえかってさ。Sho本人が「こっすいコンボ」って言っちゃってるんだもんな。まぁ、とにかく俺はもう、真面目にデッキ構築する気は失せたんだ。これからは、『目の前のエネミー』を叩き殺す事にだけ注力しようと思うよ。そんなわけで、糞Jun今月のHustleデッキは、今月で最終回になる。我が子同然のデッキじゃなくて、他所のデッキを愛情持って推す事なんて、俺のやりたい事では無いからね。

 Uncommon Low Skirmish第一シーズン九月の戦いにShoが持ち込んだのがコイツ、青赤イゼット・ウィザード、昨年度のアリーナ・チャンピオンシップで見事優勝した日本人選手、齋藤慎也選手のメインデッキと同型だ!ULS第二シーズンはこんな感じで強そうなデッキをそのまま輸入することで、構築する時間も、今月のHustleデッキ執筆の時間も浮かせようと思うからまた新しい形でキ刊TechnoBreakマガジンに携われそうで嬉しいな。岩SHOWさん、デイリー・デッキでヒストリックとタイムレスのデッキ紹介、期待してます(笑)

 それじゃあ、世界チャンピオン齋藤慎也氏のイゼット・ウィザードがどういうデッキかは、本家『岩SHOWの「デイリー・デッキ」』等をご覧頂く事として、この記事では、かつての俺が調べたくても十分に得られなかったイゼット・ウィザードの挙動について、Sho対策の備忘録を兼ねた資料として検証した事を書き残しておくぜ。

A定食 二ターン目八点ダメージ

 先ずは基本のジャブから。一ターン目、山セット、《損魂魔道士》召喚。二ターン目、島セット、《対称の賢者》召喚、賢者に《無謀なる突進》で6/3飛行、果敢が誘発して魔道士が2/3、計八点ダメージ。二ターン目に許されるダメージ量じゃねえよ、こんなんやられたらブチ切れだけどな。だいたい、このデッキに《山》なんか一枚も入ってねえんだから!《島》だってたった一枚だから!二色土地ばっか入ってんだからさ。よって、クリーチャーを出す順番は賢者→魔道士の方が、タフネス的に場持ちは良いかと思います。が、《対称の賢者》はデッキ内の様々なクリーチャー達とシナジーを形成する潤滑油になるから、《致命的な一押し》の様な確定除去が疑われる場合は、《損魂魔道士》を囮にするか、手札内で複数所有しているクリーチャーを避雷針にする等のプレイングが必要だよね。

B定食 三ターン目十二点ダメージ

 お次は重要なストレートだ。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、《戦慄衆の秘儀術師》召喚。三ターン目、《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の能力が誘発して秘儀術師が3/3、二体で攻撃に際してパワーが三になった秘儀術師の能力で三マナの《魔術師の稲妻》が再利用できて三点、ここで再度賢者の能力が誘発して賢者自身が3/3、以上合計十二点。このデッキはウィザード同士が強固に支え合うシナジーが大事っていう、お手本みたいな流れだね。こういう展開は、対戦相手との対話を無視してると思えるから、Hustleとかそういう感じがしなくて閉口するよ、やられる側からすればね。こんな感じで八点ダメージ、十二点ダメージがポンポン飛んでくるのがこのデッキのイヤな所。

C定食 四ターン目二十一点ダメージ

 最後はフィニッシュブローのアッパーカット。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、《損魂魔道士》召喚、余ったマナはそのまま立たせておき、《魔術師の稲妻》などに充てずに待ち。三ターン目、このデッキは土地が二十枚だからセット出来ないことは往々にしてある、《戦闘魔道士の隊長、バルモア》召喚。四ターン目にいよいよ動く、《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の誘発はバルモアを3/3に、さらにバルモアの誘発で全クリーチャー+1になって賢者1/3、魔道士は果敢込みで3/4、バルモア4/3。半ベソの対戦相手に情け無用の《無謀なる突進》をバルモアを対象にして8/3、賢者の再度の誘発は自身を対象にして5/3、魔道士も再度果敢が誘発して5/4(以上、全て再度誘発するバルモアの+1修正込み)、三体で殴る合計の十八点に加えて、直前の稲妻の三点、合計二十一点の四ターン目ワンショット・キル!これは《地質鑑定士》コンボ始動前に叩き込めてしまうムーヴと言えるね(《マグマ・オパス》による宝物トークンが出ていたら話は別だけど)。

裏C定食 

 《戦闘魔道士の隊長、バルモア》の代わりに《戦慄衆の秘儀術師》から四ターン目を始動するパターンもシミュレートしておこう。《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の誘発は秘儀術師を3/3に、魔道士は果敢誘発で2/3、賢者は未だ0/3。《無謀なる突進》を飛行持ちの賢者を対象にして3/3、その賢者の再度の誘発は自身を対象にして6/3、魔道士も再度果敢が誘発して3/4。三体で殴るに際して秘儀術師の能力で三マナの《魔術師の稲妻》を再利用(一マナの《無謀なる怒り》は次ターンで素のサイズの秘儀術師で再利用する事が想定される)、賢者の三度目の誘発は魔道士に充てて果敢込みで6/5、合計の十五点に加えて、直前の稲妻二回分の六点、これまた合計二十一点のワンショット・キル!先述と異なる点は、前者は全クリーチャーにトランプルが付与されて突破力がある点、後者は続く五ターン目に殴りかかっても《無謀なる突進》を再利用して合計九点のパンチに期待できる点だね。

 以上、相手のボディがガラ空きならば、『舟唄』のサビ直前みたいな爆発力を秘めているのがヒストリック環境のイゼット・ウィザードと言う訳だ。しかし、そう理想的な展開ばかり期待できないのは勿論だよな。同型対決や、黒が絡んだ除去や手札破壊、青お得意その場凌ぎの打ち消しやバウンス、ライフレース絶対不利の白いライフゲイン。こういう相手にはドローを織り交ぜてフックをお見舞いして行くしか無いんじゃないかな。

 ドローは一マナ《手練》、二マナ《表現の反復》、三マナ《アノールの焔》、土地の《焦熱島嶼域》が担当している。召喚したウィザードを除去されると、折角のシナジーを失って直ぐに息切れしてしまうから、一〜二ターン目の《手練》、三ターン目以降の《表現の反復》などから土地を伸ばし、土地四枚から《損魂魔道士》→《アノールの焔》で相手の大物クリーチャーを矮小化しつつ二枚ドローとか、土地四枚から《戦慄衆の秘儀術師》→《無謀なる突進》&《魔術師の稲妻》連打で合計十点とか、続くターンに《対称の賢者》→賢者へフラッシュバックの《無謀なる突進》→賢者の誘発を秘儀術師に充てて土地が四枚並ぶまでに唱えた《表現の反復》や《アノールの焔》を再利用して手札の補充をしつつ賢者の能力が再度誘発して合計九点とか、待ちながらの崩し方も多彩でやられる側は腹立つわ〜。

シェフの気まぐれサラダ枠 三ターンキル

 初手に依存するものの、決して実現不可能では無いものを最後に。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、二枚目の《対称の賢者》召喚、これに《無謀なる突撃》で3/3と6/3になった賢者が殴って九点ダメージ。三ターン目、《魔術師の稲妻》を二枚唱えて六点、賢者二体が殴ってさらに六点、合計二十一点ダメージ。初手、土地、土地、《対称の賢者》、《対称の賢者》、《無謀なる突撃》、《魔術師の稲妻》、《魔術師の稲妻》で実現可能!だけど、この手札に寄せて行くために、《表現の反復》等を使いこなしていきたいってのが分かるよね。

 さて、より具体的な各種デッキタイプ対策まで踏み込む迄には至らなかったが、三ヶ月前の自分が知りたかった事、さらに知り得た事は記載できたので満足する事とする。イゼット・ウィザードは土地も含めて、ワイルドカードが非常にかさ張るので、実際に組んで動かしつつの調整って難しいから、それなりに資料価値はあるんじゃ無いかな。あとは、プレイ環境に応じて、《絞殺》を《削剥》に変えてみたり、《兄弟仲の終焉》をメインから充ててみたり調整しよう。

 全ては、世界大会優勝の齋藤氏や、その原型を発掘しつつ研ぎ澄ませた沢山のMtGプレーヤー達、俺を含めてイゼット・ウィザードにブチのめされた無数のお友達、そして何よりいつも熱ッい記事を届けて俺たちプレインズウォーカーの灯を奮い立たせてくれている岩SHOW氏、みんなのお陰だ!おっと、ULS好敵手のShoの存在も忘れちゃいけないな、次シーズンからはもっとお手軽にボコして行こうと思います(笑)それじゃあ、Keep Hustling Forever!キ刊TechnoBreakマガジンも止揚していくから、新連載も4649な。今月のHustleデッキも、たまにシレッと戻って来るかも知れないしね。

【2024冬号】酒客呵業 #002 秋葉原 赤津加【キ刊TechnoBreakマガジン】

「本物の乞食は、懇願せずとも物がやって来る」

 禍原先生の言である。彼は職員室内で賞味期限が切れた物は何でも寄越して下さいと宣言している、小洒落たスーツの自称物乞いだ。数年前、デスクの上に十ダース以上あろうかという程のカロリーメイトが誰かから寄贈されていた時、彼は『乞食行為で蔵が建った』と心底満足したものだ。乞食道は乞食祈祷から遊離し、さらなる自然体の境地へ止揚すべきだと、聞かされる側からすれば堪ったものじゃないお得意の屁理屈を練り上げている。最近、彼は自分の事を乞法大師食海と号してみてはどうかと、割と真剣に思い始めている。

 この乞食行為の原動力になっているのが、慢性的な金欠である。それは連日連夜の飲み歩きに原因があるわけで、財布の中身に関しての計算力は偏差値三十台と言える。これで早大卒の化学の先生と言うのだから聞いて呆れる。『お金がないならもやしを食べれば良いじゃない』とか『貧乏人は麦を食う』とは、職員室内で宮廷道化師気取りの彼が聞こえよがしに吹聴する不遜な冗談だった。彼を笑う者が彼に内心笑われる。地べたからの下から目線は、彼からすれば相手の事を見下げ果てている事になるのだ。そして、そんな不届きな驕慢さを、決して誰かに悟られないよう細心の緊張感を持って同僚たちと接しているのだった。

 朝も昼も、大ぶりな耐熱容器にもやし二袋と熱湯を入れて、電子レンジで茹でている。これに肉を入れれば鍋になるし、肉が無ければ温野菜になる。肉の有無は禍原先生の懐具合で決まるのだが、温野菜で通すことが専らだ。この頃はスープジャーを買って来て、このもやしを茹でた残り汁を保存している。よく話す後輩の山崎に笑いながら『これが汁乞食だ』と自慢げに言ったら、山崎は調子に乗って彼を乞食道の先輩として茶化す様になった。

「自分も乞食して良いですか?」と笑顔で先輩に許可を取ろうとするのは、乞食行為を通じた物のやり取りにまつわるちょっとしたコミュニケーションの妙味に気付き始めたからだろう。生徒指導も大切だが、後輩の育成も必要だ。山崎は学芸大出身の最若手だからか、同僚からいじられる事が多く話題に事欠かないので、今後もちょくちょく出てくるだろう。

『今月金が無え』と口癖のように“月末に”言っているのは、給料が出てから一週間もせずに散財するからである。江戸っ子は宵越しの銭は持たないと言われるが、禍原一屰に言わせれば月跨ぎの銭を持つ事が出来ない。それでいて彼は江戸っ子では無いのだから手に負えない。船橋生まれ、船橋育ち、現在はたまたま東京と埼玉の境目ら辺に勤めている。王子、十条、赤羽の呑助ゴールデントライアングルは、水を得た魚ではなく酒を得た肴さながらに彼の日々を潤いのあるものにした。財布は乾いた。懐の寂しさは、また人間関係の希薄さを際立たせた。だから、眼に見えない、在るかも分からない「絆」と言うものを求めて飲み屋街を彷徨い歩くのだ。

 二十一日、給料日が来た。その日は月曜日だった。日曜に安酒を食らって床に着いた彼は、明日は給料日だからと生まれ変わったかのように晴れ晴れした気持ちで眠った。そして、翌朝には給料日である事などすっかり忘れて仕事に没頭し、朝礼で指摘された際に思い出してまた舞い上がるのだった。こう言う理由で、彼は給料日の喜びを二度感じる事が出来るわけなのだが、それは酒の飲み過ぎによる記憶力の欠乏と引き換えの幸せだ。そんな日の朝礼の最後には冗談好きの教頭から指名が入る。

「禍原先生から、何かありますか?」

「今日は校長の黒木先生からお給料を頂戴しております、ご馳走様です!」

と、最近やって来た校長の息子に向けて深々と頭を下げて最敬礼する。このやり取りに同僚たちはうんざり気味だが、誰かの不愉快が彼にとっての愉快である。そして、この事はしっかりと記載しておくが、そんな禍原先生だとしても、実務者としてはかなり優秀な方なのだ。何なら問題教師は他に何人か居る。ただし、これは彼の同僚の不祥事告発文章では決してない。

 禍原一屰の酒客呵業は、酔って祓うと言う事に他ならない。飲み歩いて酒代を払うと言う行為により、その街その土地の魔や禍や怪を祓う。その日の夜は、バドミントン部の指導で汗をかいてから呵業へと繰り出した。向かったのは秋葉原。

 昭和通り改札から秋葉原山陰方面へ出れば魅力的な飲み屋が軒を連ねているのだが、反対方向の煌びやか過ぎて彼には似合わない風情がする電気街口へ行かねばならなかった。意外にも品揃えの良いニューデイズでスーパードライとクラフトビールを一缶ずつ、ポリ袋と共に買ってから向かった。久しぶりに降り立った街の印象は、いつもと違って感傷的だと彼は思った。と言うのも、津波の様に押し寄せて来るはずの電飾が、その夜はどこか遠く朧げに見えたから。ラジオ会館の先を右に曲がった高架下の薄暗さに彼ははっとした。まるで黄泉の国への入り口だ。彼一人だけがこの街の中で浮いているから、そんな事に気付いたのかも知れない。欲望渦巻く電気街で、彼一人だけは酒を渇望していたからだろうか。

 そんな事は慢性化しているのだが、日々の生活が立ち行かない時、彼もまた追い詰められる。追い詰められて、物狂おしい心地になって、その果てへと呼び寄せられる。今夜はこの地だったと言う事だ。中央通り交差点。この地の事は詳述しないが、今夜はこの地が彼を呼び寄せたのだろう。

 ガードレールに腰掛けてビール開封。運動後の水分補給は心地良く、気候的な肌寒さは何とも思われなかった。一缶目のスーパードライはすぐ飲み切った。彼はしばらく呆っとしていた。こんな短時間で酔いが回るはずがないのだが。やがて二缶目を取り出して、カラメル様の濃厚な味わいがするクラフトビールをちびちび飲み出した。

『このまま行けば、俺もあの通り魔の様になる。俺なんか、視点を変えれば刑務所の中にでも入っていた方が、世間のためだ。そうなりたく無くて仕事をしているが、その仕事が俺を引き裂く。過労という名の自傷行為を癒すための毎晩の飲酒が、また俺を苛む。』

 彼の勤務校が「格物」という名で独自に展開している道徳教育がある。禍原先生は格物の部署における実質的なナンバー3だ。課長の福澤が中二、部長の江戸川が中三、ヒラの彼が中学一年生を担当している。教壇では常々、『視点を変えよう』と訴え続けて生徒を教材に向かわせている。そんな彼の視点は、自分自身を、あたかも凶悪犯罪者と同列であるかの様に思わせるらしい。ただ生きて行くと言う事が、それほど辛いものなのか。

『居場所が欲しければ頭角を現すしかないと気付いた十年前から、生徒たちに分かりやすい授業を提供したくて必死に準備して来た。教材さえあれば、後は毎年繰り返していればそれで済むはずだった。実際にはそんな俺に、道徳教材開発の要員として白羽の矢が立てられてしまった。三十過ぎれば誰だって、厄介な部署で重要な業務を負担する事になるが、俺の仕事は永遠に無くならないし、更新されなくなれば腐敗してしまう。俺は道徳教育を考えすぎているせいで視野が狭くなり過ぎた。死刑囚の絶望が分かるのに、被害者の哀惜が理解出来ないなんて狂っている。』

 だが彼は、言わば遺された側の一人だ。だからこそ、彼に出来る事があるはずだった。それが、酔って祓う事である。ガードレールでがっくりと項垂れていた彼は、頭を上げて満足そうに笑った。それは、四辺ある横断歩道を踏破しながら、缶に残ったビールを振り撒き、飲酒結界、泥酔魔法陣でも描いたら上等な弔いになるだろうと思ったからだ。そしてすぐに、不審者扱いで警察沙汰は御免だな、と視点を変えて踏み止まれた事も満足だった。彼は、十七名の死傷者達に哀悼の念を込めながら、濃い甘さのビールを足元に流す。自分の内部に渦巻く矛盾を再度強く認識した禍原先生は、アスファルトに強く着地した。

『さて、飲み屋さんへ行こう』

 随分前、初めての卒業生を見送った後の慰労会が、外神田のちゃんこ料理店で開かれた。会費は校長持ちだった。その二次会に、当時の学年主任だった江戸川が連れて行ってくれたお店がすぐ近くにあるのだ。横断歩道を渡り、神田明神通りをすぐ左へ。店仕舞い前のレトロゲーム専門店、その正面の通り一帯は、様々なコスプレをした客引きの女性で溢れ返っている。こう言う景色は無いよりあった方が良い景気だから、禍原先生は笑った。なかなか見られるものでは無いが、こんな所で見られた事に満足気である。

 通り二区画目の左手、赤津加が時空の狭間に穿たれた楔の様に在る。朽葉色した木塀のぐるり、屋根看板には堂々たる『菊正宗』、屋号の書かれた暖簾をぱっとくぐり引き戸を開ける。コの字カウンターは大盛況だったが、別にテーブルの席をすぐ作って下さって助かった。

 肌寒い中でビールを二缶飲んだから、早速燗酒を一本つけて頂く。一緒に持って来てくれたお通しは、白身魚の刺身に茗荷の甘酢漬けが添えられているのが良い。禍原先生は浮かれ気分になって、季節を感じる注文を続けた。平目刺。実穂じそ、紅たでのあしらいに、さり気ない気品と風格。本わさびの脇にそっと縁側が添えられているのには感銘を受ける。秋刀魚は名に恥じぬするどさで、はらわたの苦味が酒を恋しくさせた。最後はレモンサワーに変えて、かき揚げ。

 彼は大満足だったが煙草が吸いたくなった。お会計をして表に出る。吸えそうな場所は無い。千代田区は五月蝿いから、この路地では吸えまい。他のお店の邪魔にもなる。コンセプトバーなら吸える所もあるだろうと思い、立ちんぼに声をかけるべく彼はふらふら路地から出た。その先にあるのは札びら乱舞だ。大酒喰らうから記憶も失くす。妖怪巾着切りと呼んでいる。

酒客呵業 #002 悪寒 ー了ー

【2024冬号】第十回戦 肉薄 Uncommon Low Skirmish-珍法小競合-【キ刊TechnoBreakマガジン】

負けられない戦いに負けた男が、またしても負けられない戦いに赴く。

土曜十五時、開店から錦糸町82へ。

【一月一回戦第一試合】

先攻Jun、黒緑ミシュラランドをタップイン。

後攻Sho、白緑二色土地から《魂の管理人》、白い強カード再利用デッキである。

Jun、土地を黒い面で出し《コジレックの審問》、Shoの手札から《小走り樫》を捨てさせる。無限トークンコンボが搭載されている事を確認。

Shoの盤面《魂の管理人》、《裕福な亭主》二体、《アヴァシンの巡礼者》が並んでいる所に、Jun《危難の道》が直撃しクリーチャー群が一掃される圧倒的有利を得る。

しかし、返すターンでSho《集合した中隊》を唱え《スカイクレイブの亡霊》と《太陽冠のヘリオッド》が戦場に登場し、Junの《ヴェールのリリアナ》を追放するなど劣勢を挽回。さらに次ターンにも《集合した中隊》から《スカイクレイブの亡霊》と《小走り樫》、ヘリオッドも前線に現れ絆魂付与など一転攻勢。

結局、+1カウンターが八つ置かれた《小走り樫》の絆魂パンチの有利を覆せずJun敗北。

【一月一回戦第二試合】

先攻Jun、マリガンの後土地を出してエンド。

後攻Sho、二色土地を出してエンド。

三ターン目にShoは《太陽冠のヘリオッド》を召喚、小粒クリーチャーの展開は警戒しているのか。

ターンもらってJun、四枚の土地から《苔森の戦慄騎士》二体召喚。

ゲーム中盤に差し掛かり、Sho《スカイクレイブの亡霊》二体、追放しているのは《苔森の戦慄騎士》二体、さらに前線に出てきた《太陽冠のヘリオッド》。

対するJunは変身した《墓地の侵入者》、《グリッサ・サンスレイヤー》。

この後は一進一退の除去合戦、ジリジリした展開。

ゲーム終盤、Jun残りライフ七対Sho残りライフ十六。

Jun、今引きの《思考囲い》でShoの手札を確認し《スカイクレイブの亡霊》を排除、温存しておいた《黙示録、シェオルドレッド》を召喚して手札を使い切る。

ターンもらってSho、X=4全力の《カイラの再建》によりコンボパーツ二体《小走り樫》と《南小路のロージー・コトン》を戦場に出す、これにより無限トークンが続々と生成されるが九体で満足したのかそれで停止。

ターンもらってJun、チェックメイト寸前のトップデッキが《危難の道》、即座に唱えてShoのトークン群は一掃される、《グリッサ・サンスレイヤー》のみ攻撃は《南小路のロージー・コトン》がチャンプブロック。

ターンもらってSho、手札から《南小路のロージー・コトン》召喚、再び無限トークンが生成される。

Sho全力のラスト・パンチ、対するJunはタイマン無敵《グリッサ・サンスレイヤー》で19/20の《小走り樫》を止めつつ、極力自軍の損傷を抑えたブロック、リストークン八体は素通しになったものの残りライフ四で耐える。

ターンもらってJunも全力のラスト・パンチ、《墓地の大食い》の能力で二点ライフドレイン、グリッサ、シェオルドレッドに加え《眠らずの小屋》もクリーチャー化して殴りかかる、Sho残りライフなんと十七から二。

Sho、次ターンのドローで《黙示録、シェオルドレッド》の能力が誘発し、二点ライフロスで敗北。

史上最長、二十一分半の試合は、投了せずに最後まで抗ったJunが辛勝。

【一月一回戦第三試合】

先攻Sho、《集合した中隊》を二ターン連続で唱え、軽快な序盤の展開。

一方でJunは土地が二枚のまま止まってしまう。

Sho《南小路のロージー・コトン》をトップデッキし、既に戦場に出ていた《小走り樫》の無限トークン生成を開始。

Jun投了、直前ターンに《コジレックの審問》二連打を我慢し、《暗殺者の戦利品》による《小走り樫》の除去に土地を立てておくべきだった。

この試合はJunに真面目なデッキ構築や自己表現を放棄させ、勝てるデッキレシピの収集へと舵を切らせる記念的な一戦となった。

【一月二回戦第一試合】

先攻Jun、先週の黒緑デッキを引き続き持参、《コジレックの審問》でShoの手札を確認、《僧院の速槍》を捨てさせる。

赤単デッキのSho、《棘平原の危険》を土地側にしてタップイン。

ターンもらってJun、再度《コジレックの審問》で《勝負服纏い、チャンドラ》をハンデス、さらに《思考囲い》で二枚目の《勝負服纏い、チャンドラ》をハンデス。

この後Sho、《レンの決意》による衝動的ドローを絡めつつ、三ターン連続で《ウラブラスク》召喚。

Shoのデッキにおけるフィニッシャーを務めるこのクリーチャーに対し、Junは手持ちの除去で逐次対処が叶う。

Shoの火力対Junの《苔森の戦慄騎士》が鎬を削る総力戦の様相を呈する終盤。

Sho残りライフ八、手札一枚、盤面は果敢持ち1/1トークン。

Jun残りライフ五、手札二枚、盤面は《苔森の戦慄騎士》二体。

騎士二体がアタック、Shoのトークンが一体ブロックした上で《棘平原の危機》を撃つ。

こうなると騎士が死亡に際して追放されてしまうため、ブロッカーのトークンにJun《暗殺者の戦利品》を撃ち込んで除去、Sho残りライフ二。

しかしながら、ターンもらってSho《稲妻の一撃》をトップデッキ、これでJunに三点ダメージに加え、《ラムナプの遺跡》を起動し二点ダメージ。

Shoが一歩先にライフを削り切って勝利。

【一月二回戦第二試合】

先攻Jun、《コジレックの審問》でShoの《勝負服纏い、チャンドラ》を捨てさせる。

後攻Sho、山を出してエンド。

この後、Shoの手札には《抹消する稲妻》が存在しているため、手札の《グリッサ・サンスレイヤー》を出せない。

双方土地を出しつつ、Shoは《無謀なる衝動》で衝動的ドロー、Junはミシュラランド《眠らずの小屋》がクリーチャー化してアタック。

この先のターンで、Jun《眠らずの小屋》ではなく《ハイドラの巣》をクリーチャー化してアタックしたため、食物トークンが生成されずダメージレースで遅れを取る。

返しのターンでSho、《僧院の速槍》を召喚し、二枚目の《静電気の放電》、《稲妻の一撃》を二枚、果敢により強化されたクリーチャー二体が4/4と4/5でアタック。

一気に十八点のライフをもぎ取って、Shoが勝利。

負け続き、色々と最悪だ。

【2024冬号十二月分】環状赴くまま #026 品川ー高輪ゲートウェイ【キ刊TechnoBreakマガジン】

年末は双方都合が悪く、明る二日に顔合わせ。上野、正確には御徒町だが、一時半から北野武監督『首』を鑑賞し、興奮冷めやらぬまま品川駅16:40スタート。

東側港南口、交番前で乾杯。

前回ゴールだった飲み屋街を突っ切る。黄昏時の、佳い時間帯だった。

飲み屋客引きラインは越えた。

だが、お店は在るには在る。東京ラムストーリー、この場では例の曲が流れていた。一二階のダブルフロア構造で攻めている。

突き当たりを左折するのだが、そこにあったのはなんとマルちゃんでお馴染み東洋水産さん、年越し蕎麦でもお世話になりました。

左折ブロックのビルでも飲食店が豊富にあった、なるほどなぁ。

左折してここを真っ直ぐ歩いていく。

事前に地図を見る限り、ここから先は直線で短距離だったから、今回は詰まらないだろうなと予想していた。

大通りから見て左側、山手線の線路方向。

三が日だから人も車も無い、静かで広大な街だった。

先へ。

先へ。

Shoが左手のビルに関して何か気付いたらしい。

「レーザー軌道の誘導がついて、あのビルの隙間から宇宙戦闘機が次々に発進しそうや。サイドに取り付けられてる発電機は原子力なんや」

右手に新港南橋、奥のビルは建設中で壮大さを感じる。

左手に浄水センターらしき広範囲の施設があった。

こんな日に利用者が居るとも思えないバス停。

とここで、この道を先に進んでしまうと高輪ゲートウェイ駅通り過ぎて、迂回して戻る羽目になってしまう事に気付いた。

振り返ると、ソニーグループ本社ビルがそびえる。

線路方面へ向き直って進行。

先ほどから絵になる景色ばかり撮れている気がして満足だった。

高輪ゲートウェイ駅は、東京オリンピックに際して臨時営業のために設けられたという。

本営業開始は2024年度を予定しているそうだ。

その街が、今もなお造り出されようとしている。

路地を右折。この先にゴールがあると地図が指す。

東京タワーを眺めさせてくれたのは意外な収穫だった。

「侵入者にレーザーを照射する装置やな」

連絡用電話と明記されているが、Shoの見立ては今日豊富に出てくる。

さて、ふと思ったが、ここが品川と高輪ゲートウェイとの境界だろうか?まぁ、この路地に入った所からとしても良いが。

さっき眺めた建設途中のビルだろうか。

右手、まだ浄水センターの敷地が続いている。

左手に仮設の集合住宅と思しき建物、有針鉄線は『首』で登場した撒き菱を連想させた。

右手に見られたのは芝浦水再生センターと言うらしい。

『2001年宇宙の旅』に登場する人工知能搭載コンピュータ、HAL9000とコミュニケーションを計ろうとするSho、今月は新春大サービスといった様相。

左手にはずっとJRの施設が続いていたらしく、やはり先の有針鉄線は居住棟だったのではなかろうかと判断される。

ここで地図を確認すると、おいおい環外から駅に侵入する経路は用意されていないぞ。

よく見ると突き当たりに細くトンネルが用意されているようだ。

それがこの先、警備員さんが立っている地点。

トンネルのためのトンネル、それ以外の何物でも無いようなトンネルだ。

もうすぐ外に出られるぞ、という所で急に高さが頭スレスレになった。

そう言えば、真・女神転生Vの品川ステージでは、こんな風なトンネルがあったのを思い出した。

出るまでに三、四人いらした警備員さん達には、明けましておめでとうございますの挨拶をしながら、非常に快い気持ちと共に外へ。

おお、あれに見えるはAPAホテル、さっそく先行投資で抑えてるって訳かしら。

通りに出て足元から見上げて撮影。隣の東急ステイに対して完全にマウントを取る形だ。

はっきり言って、既に山手線環内にいるので、撮影の必要は無いし、してもいけなさそうなのだが、如何せん駅まで着く順路が環外からは無いため取材続行。

おっとその先、あれが地名に聞く泉岳寺か!マウント合戦の圧倒的敗者である様に見えるのだが、わざわざ土台を高めているくらいだから建立時にはマウント最高峰だったんじゃなかろうか。江戸川橋のウチの墓も古今の後出しジャンケンで周囲に遅れを取っているから分かる、気がする。

通りから左折して、明らかに仮設のコの字型路地へ入る。ここの先を右折すれば駅があるはずだ。

謎のヴェールに包まれていたが、やっとやっと、高輪ゲートウェイ駅の全貌が顕になった。

上へ登って、駅改札に到着。報道で叩かれていた明朝体の駅名が眼前にある。

無人コンビニらしい。全体的に最新の駅だけあって、何もかもピカピカしていて、駅自体のちょっとした照れっぽさみたいなのも感じられた。

ご覧の通り、高輪ゲートウェイ駅周辺には飲み屋さんの類は未だ一切無いため、他所の駅へ行って本格四川料理に舌鼓。この後、向かいの男が回鍋肉に花椒を振り掛けようとするのだが、出来の悪い芝居の様に内蓋が外蓋に癒着してしまっており大量に撒き散らす。豚肉の一片に大量にこびりついてしまったヤツを、何の気無しに口に入れてからと言うもの、Shoの味覚の一切は甘味と塩味との反復で、仕舞いにはご飯が甘いと言う始末。

【2024冬号】ラーメンドラゴンボウルZ #002 京都タンポポ【キ刊TechnoBreakマガジン】

 観念でラーメンを啜っていたって、これっぽっちも美味く無い。禅寺を無心になって訪れる事が出来ない様に。東京から西京、いや旧京、いや京都へせっかく来たわけだから、どこで食ったものか、やはり観念で検討せざるを得ない。僕はこんな自分が好きじゃ無い。そして決して嫌いでも無い。それがイヤになる。

 第一旭か、極鶏か、はたまた天一か。でも僕が、ラーメンドラゴンボウルを求めて訪れたのはタンポポさん。伊丹十三監督のラーメンウエスタン映画『タンポポ』とはあんまり関係が無いらしい。

 とりまるじゃなくて烏丸線を北大路駅で下車、一路西へ。二十分は歩く。開店の十一時半、三分前に到着。おそらく地元の方々であろう、二十人ほど並んでいた。軒先に掛けられている提灯に、舌を出した一つ目小僧が描かれていてユーモラスだ。お店の方も愛想が良くて、快い。三十分並んで入店。

 壁のメニュー見渡して瓶ビール。それと、「ラーメンの友達」と添書きされていたチャーシューとキムチ。「ほか弁・愛妻弁持ち込み歓迎(恐妻弁でもOKよ)」というメッセージも掲げられていて、やっぱりユーモラスだ。チャーシューは八五◯円分、十枚くらいがバンとお皿に並べられ、青ネギの輪切りがいっぱい乗っている。脂気が強くてしっとり、僕の好みの質感だ。しっかりと味付けされている。二人で来て、コレを半分つまんで、残り半分はラーメンに突っ込んでチャーシュー麺にして食べてしまうのが良いんじゃあるまいか。実際、温かくなったチャーシューはほろほろと崩れて実に美味かった。キムチは一五◯円、真っ赤だけれど普通のキムチ。ラーメンの友達は二人合わせて千円となる。

 何も考えずにチャーシューを食べ過ぎてしまった。一切れだけ残してラーメンを注文。豚しゃぶラーメンの特。僕はコレを特盛と呼んでしまったが、お店の人は特大と呼んでいた。その日は豚しゃぶが無いそうで、普通のラーメンを焼き飯セットでお願いした。無料のにんにくも。

 ドンブリからあふれそうなラーメンが、金属製の平皿に乗ってやって来た。真ん中に青ネギの輪切りがいっぱい。その周りに見えるスープは背脂がしっかり浮いていて、唐辛子の赤い粉末がぱぱっと掛けられている。スープから飲んだ。沁みる、美味え、堪らねえ。辛さは全然気にならない、全体の一割未満だ。本当に一切受け付けない方は、赤抜きというのが出来る。背脂ラーメンが好きって人には間違い無いだろう。いや、第一旭さんでも良いんだけどさ。特盛にしてもまだまだ食べ足りない。

 焼き飯を頬張る。うわぁ、飯状になったチャーシュー食ってるみたい。セットで二五◯円なんだから注文しない手は無い。ただ、ビールの友達のチャーシュー味なので、しっかり濃い目の味付けになっている。連打は出来ない。そこをまたドンブリからスープでグイッと流し込む。麺、飯、スープ、麺、飯、スープ、たまにネギと一緒に麺、飯、スープ。青ネギの下にチャーシューが一、二枚隠れている。

 一気に食べ尽くしてしまった。三千円でお釣りが来た。お会計を終えて出ようとしたら、ちっちゃなステッカーが目に留まった。「見た目ギラギラ食べてあっさり」ホンマそれ。

【2024冬号】担々探訪 #002 大塚鳴龍【キ刊TechnoBreakマガジン】

 謹賀新年。僕は迷信深い性質だから、験担ぎに相応しいと思われるお店へ向かった。某コンビニでカップ麺を買い求めるときは、五割以上の頻度で手にしている商品を監修しているお店だ。大塚、鳴龍さん。辰年を幕開ける担々探訪にうってつけではあるまいか。大塚は、世話になった飲んだくれ化学教師が好きそうな居酒屋も駅前にある、懐の広い街のようだ。

 十二時二十二分着、行列の二十人目だ。呆然として立ち尽くした。賀正という字が頭の中で音を立てて崩れていく、合掌。すぐさま店員さんが駆けつけ、入店まで一時間半はかかると警告をしてくれた。探訪の日程は限られている、引き下がれなかった。諾。このお店は行列の新規が着く度に確認してくれている。それは凄い事だと思うし、一流店の矜持を感じる。その事には感謝したい。

「ちなみに言っておくが」自称半知半能の龍神、夏見ニコル女史「主は可能なら十一時半から並ぼうとしていたようだが、ここの開店は十一時だから、いずれにせよ並ばざるを得なかっただろうな」暴君が嘲笑う。

 そう、その通りだ。忙しすぎて視野が狭くなっていた。ランチ営業は十一時半から、等と自分でも凝り固まった観念に頭が一杯になっていた。

「半知半能ならこの行列をどうにかしてくれ」

「這入りたい店が行列していたら待たねばならぬのは摂理では無いか。我にはどうにもならぬ。半知半能だから待ちぼうけは苦にならんぞ、悠久の刻を生きているでな」

 結局一時間待った。先に並んでいたお客が

「ここは誰が食べても美味しい」

と豪語していた。そうかい、そりゃ楽しみだよ。どうせ並ぶなら開店十分前が良いと思われる。洒落たコートじゃ無くダウンにしておいたのがせめてもの救いだった。こんな寒空では体調を崩してしまうだろうから。

 入店、全面液晶の食券機に注文を打ち込む。寒いのに瓶ビール、よだれ鶏、水餃子、担々麺、替え玉券を二枚、トッピングのチャーシュー、パクチー、チャーシューご飯。このお店は酸辣湯麺の二枚看板だそうだ。六人掛けのカウンターの末席へ。テーブル席は二人掛けと四人掛けが一つずつ。

 創作麺工房を名乗るだけあり、仕事が丁寧に感じられる。瓶ビールと共に、まずよだれ鶏が提供された。白胡麻がたっぷりかけられている。しっとりとしていながら脂気がある好みの味だ。ビールにもご飯にも合う。鶏料理が選択肢に入れられているのは凄いと思った。麺類だけ食わせて出ていけ、としない姿勢が伺える。

 水餃子は三個入りで三五◯円。十分な量の刻み葱が添えられている。食感はつるんとしていて、いくら食べても良さそうだ。五個入り七◯◯円とかにしていないのは素晴らしい。

「おい」ニコル女史がすぐさま口を挟んだ「今、木場の某何々軒の餃子と比較しようとした挙句、先方のラーメンをこき下ろそうとしたな」

「愛のある弄りだとでも思ってくれよ。それにあのお店は、此処と違ってワインという選択肢があるだろ」

 で、本命の担々麺がLaunch。カップ麺と同様、胡麻成分は一箇所に掛けられている。麺は細麺、僕が一番好きな径。こりゃ替え玉しない手は無いね。さっそく手繰って啜ると、頭の中一杯に疑問符が押し寄せる。その理由を知りたくて、もう一啜り。

『酸っぱい醤油ラーメンだコレ!』

 答えが解ってニンマリしてしまった。カップで食べていたときは、自分で掛けたあとがけ芝麻醬調味料の所からかっ食らってたもんな。ラーメンのベースは醤油、味噌、塩そんなもんだ。此処のお店のベースは酸っぱい醤油ラーメン、答えが出た。だからどうって事でも無いのだけれど。

 そんな事を思いながら啜っていると、丁度最後の一口に求めていたインペリアル・トレジャーの味が現れた。つまり、胡麻ソースがどっぷりと掛かっていた所を掬い上げて食べた瞬間だったわけだ。咽ぶほどに濃厚な一箸だった。もう良い、替え玉でその味を享受する事は出来るだろう。やっと出会えた気がする、インペリアル・トレジャーのあの味に。しかし、不思議です。見方を変えれば酸っぱい醤油ラーメンなんですからね。

 並びの時間以外は、おおむね満足して帰ってきた僕だ。無論、担々麺としてはこれもまた違う。それでも、良かった、とても。で、此処から先は蛇足だが、終わりへと収束させよう。実は、この、あんまり大きな声では言えないが、鳴龍さんの味を半全ながら再現出来るかと思ってやってみたのだ。もしも、真に受ける方がいらっしゃいますれば、参考までのお聞き流しに。先ずは、醤油ラーメンを用意する。これはポロ一こと、サッポロ一番醤油味。普通に作って、出来たら適量のタバスコを入れる、コレだけで酸辣湯麺の再現くらいは出来る。で、鳴龍要素としてだ、金胡麻ドレッシングをドッと垂らす。家で格安で、つまり現地で千円かかるところを、三百円以下で再現するにはこれ以上はあるまい。三十点。

 僕はまた来月から、あの味を求めて彷徨うことになるだろう。結構な事である。

 それではみなさんが、良い年になりますように。

【2024冬号】糞Jun 今月のHustleデッキ #006【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun

 堕落した言語術師(ロゴスマンサー)の俺としては、ゴルガリ(黒緑)カラーのデッキを作らない訳にはいかなかった。だが、考えられるアイデアは《ファイレクシアの抹消者》を格闘させてリソースを削ぐくらい、そういうファンデッキ的な物を構築しては敗北を喫し続けている俺としては、これ以上の堕落に甘んじる訳にはいかなかった。そんなわけで、自分なりに赤単とか白単の構築を進めていたのだが、赤単では爆発力と安定性の両立が難しく、白単は今からでは値が張りすぎるので、結局ゴルガリカラーを再検討せざるを得なかった。

 でも、全然開封してなかったエルドレインの森から、ワイルドカードを消費してまで交換していた《苔森の戦慄騎士》だけは四枚揃ってたんだよな!このカード、二マナ3/2トランプルって、四枚持ってる《しつこい負け犬》の上位互換だよやっぱ凄えな緑の生き物は!このHustle騎士(ナイト)何が凄いかって、計四マナで墓地に行ってもドローを経由して戦場に戻って来る所、《しつこい負け犬》の大振りだった挙動が繊細になっている点なんだよね!そんなわけで、組んでみたのがこのデッキだ。

デッキ名『西芳寺観光案内-ゴルガリミッドレンジ-』

 奇しくも同色の有名デッキ『京都迷宮案内』と、《苔森の戦慄騎士》から連想される苔寺こと西芳寺とをかけ合わせてみた、我ながらHustleな文脈のデッキ名だな!

 やるのは《苔森の戦慄騎士》の再利用と除去呪文とを繰り返して、中盤からの対戦相手の息切れを狙っていくって感じだ!赤黒だった『紅葉狩り-狂信楽-』から《鏡割の寓話》を抜去して《苔森の戦慄騎士》に挿げ替えただけとも言えるね。

 《鏡に願いを》は今回も搭載しているけれども、採用しているシルバーバレット戦術は広範囲をカバーしているぞ。四マナ呪文を紹介していくと、

まずはお馴染み!《黙示録、シェオルドレッド》、これを採用しない黒のミッドレンジは無いと断言して良いだろう。多くのゴルガリデッキで三~四枚採用である所を、一枚。

お次は、満を持して採用!《一つの指環》、折角だしそろそろ使わなきゃな、って感じで雑に一枚挿しだ(笑)そして意外にも四枚採用が一枚挿しに格下げ!《ランクルのいたずら》、引き過ぎても困るのと、土地を多く(二十六枚)搭載する都合上このような形にさせてもらった。横展開を重ねる部族デッキを潰すために《衰滅》、-4修正でシェオルドレッドまで巻き込まれるのを防げるのは以前紹介した通り。

ここからは緑の四マナ!《探索する獣》、警戒、接死、速攻の4/4で、パワー2以下のクリーチャーからブロックされないって採用しない手はない本デッキのフィニッシャ―枠だ。そしてコイツがHustle Turtle!《開花の亀》、土地のクリーチャー化を軽くした上さらに強化するこの愛らしい亀ちゃんが、中盤以降の息切れを防いでくれると期待しているぜ!

 さあ、《開花の亀》に託した勝負の未来を支えてくれるのが、クリーチャー化できる土地(通称ミシュラランド)だ!エルドレインの森でゴルガリカラーのミシュラランドが中々優秀で四枚採用しているのが《眠らずの小屋》。攻撃時に墓地対策&食物トークン生成というのがライフレースを延命させてくれるのみならず、《鏡に願いを》に必要な協約コストにも充てられて、雰囲気抜群レッツゴー西芳寺!他には元祖《ミシュラの工廟》を唯一所有していた分の一枚、《目玉の暴君の住処》が一枚。

 できる限り四ターン目から《鏡に願いを》したいデッキ構成なので、協約のタネは破壊不能のアーティファクト土地である《暗闇苔の橋》を四枚、うぅむここでも苔がきた。のみならず、俺が組むデッキとしては珍しくクリーチャーとして二枚採用しているのが、これまたエルドレインの森から参戦の《下水王、駆け抜け侯》。三マナ3/3に加えて戦闘フェイズの開始時にネズミトークンを生成してくれる能力でコイツが協約のタネになってくれるんだけど、実は四ターン目の《ランクルのいたずら》をこのトークン達が引き受けて対戦相手に大打撃を与えられるのがHustle!

 ・・・で、これが初期型(十二月中旬型)だったんだけど、やっぱりアグロの速さに勝てなくてイマイチだったんで、ULSシーズン1も佳境だし、自分でもアグロなデッキにしたいなと思ったんだよね。黒単向きの《鏡に願いを》は全て不採用に決定し、関連カードも全削除。貴重な四マナ枠は《黙示録、シェオルドレッド》を入れざるを得ないので、市川×治郎こと《開花の亀》も懲役三年・執行猶予五年の判決を言い渡しました。その後の調整で、『コントロールの方が勝率良いな、クリーチャー戦に関してはアグレッシブサイドボーディング後の構成で行くか』となりまして・・・いつもながら二転三転する構築になりがちだぜ。以下に『新生・西芳寺観光案内』の全貌をお届けするぞ!

 先ずはアグロな構成を主軸にして紹介だ!手札破壊に《コジレックの審問》四枚、サイドには《思考囲い》も四枚でコントロールでは八枚体制。二マナ除去には《無情な行動》を一枚に、三枚採用の《暗殺者の戦利品》!万能パーマネント除去は黒緑なら確実に入れておきたいよな。そして、今や呪禁持ちや護法持ちにほぼ必須と思われる《シェオルドレッドの勅令》を四枚、プレインズウォーカー対策も出来る器用なカードだよね。サイドボードには指輪やヘリオッド対策に頼れる追放除去の《羅利骨灰》を四枚!キッカーでクリーチャーやPWにも対応できるからありがたい。もちろん、ライバルのShoがイゼット・ウィザードや忍者デッキみたいな軽量クリーチャーの数で押してくる可能性があるから、このデッキにはしっかりと全体除去の《危難の道》がメインから四枚採用だ!何色でも捻出できる土地《マナの合流点》が四枚入っているから、六マナの全体除去としても運用可能で、ランク戦で二十ターン以上に延びてもしぶとくデュエルが続けられるんだ。

 さぁ、お次はアグロなのに対コントロール戦でも頼りになるクリーチャーの面々をご覧いただこう!言わずもがな、ゴルガリカラー期待の新人《苔森の戦慄騎士》は既に紹介済だよな!このカードが無ければ『西芳寺観光案内』が成立しないんだからね。・・・ま、コントロール型になると単体除去の《無情な行動》とすげ替えられてサイドアウトしちゃうんだけど(笑)で、こっからが初期型から大きく変更されたポイント!

 《勢団の銀行破り》が登場、問答無用の四枚採用だ!大きな声じゃ言えないが、三月のバトルって新規デッキの構築じゃなくて、今までのデッキを持ち寄った総力戦だったんだよね、だから三月用に構想していた黒単はお蔵になっちゃったってわけ(爆笑)だから、この黒緑デッキに推参したクリーチャー軍団はもともと黒単用の傭兵達が多いんだ。さて、この銀行破りの凄い所ってね、二ターン目に場に出してから、続く三ターン目で《苔森の戦慄騎士》や次に紹介する三マナクリーチャー達を搭乗させることで、実質三マナ4/4速攻クリーチャーみたいな挙動が出来るってこと。半年くらい前にこの挙動を対戦相手の黒単に披露された時にはHustle食らっちゃったもんな!

 俺に大きく影響を与えたそんな懐かしいバトルの際に《勢団の銀行破り》に搭乗したクリーチャーが《ヨーグモスの法務官、ギックス》だ!三マナ3/3で、クリーチャーが対戦相手に戦闘ダメージを与えるたびに、ライフを一点支払いさえすればワン・ドローが可能になる常在型能力を持っているぞ!だから、このデッキがアグロにブン回る展開は、二ターン目《勢団の銀行破り》召喚、三ターン目《ヨーグモスの法務官、ギックス》召喚して銀行破りに搭乗して殴ってライフ支払ってドロー、四ターン目《苔森の戦慄騎士》召喚して搭乗してギックスも殴ってドロー二枚・・・こんなんやられたら相手は投了モンだよな(実際、半年前にやられてゲンナリしたと共に感動しちゃったね)。ドローした余剰の手札は、ギックスが所有する七マナの奥義、捨てた手札の分だけ対戦相手の山札の上から呪文を全て踏み倒して唱えることに費やせる。この奥義が決め手で三十ターンくらいに渡ったバトルを相手が投了したって展開もあったくらいだ。

 いやいや、四ターン目まで無事土地が続いたなら《黙示録、シェオルドレッド》を召喚して搭乗させたら良い訳だよなあ!ドローの度に二点ライフ回復出来るから、ギックスと法務官同士の激アツ共闘が発生すれば、差し引き一点回復してドローが出来るってわけだな。四マナ以上の枠にはこのカードのみ、三枚採用でアグロなマナカーブの理想を追求した構築にしているぞ。

 さ、法務官の共演に見惚れて忘れちゃいけない、三マナクリーチャーの紹介に戻るとしよう。単体除去と墓地利用に強い《墓地の侵入者》、他のカードとの兼ね合いでメインに二枚、サイドに一枚。コイツが持っている護法は「カードを一枚捨てる」だから、確定除去を一枚使うにもさらに一枚必要で、一対二交換を強いているってワケ。さらに殴りつつ墓地からカードを追放できるから、再利用されたら困る呪文やフラッシュバックも封じる事が出来て助かる局面が多いんだよね。

 そして、ゴルガリカラーのクリーチャーの華とも呼ぶべき《グリッサ・サンスレイヤー》が三枚!Shoも接死毒デッキに搭載してきた三マナクリーチャーだね。先制攻撃と接死の組み合わせで、どんなにタフネスが大きいクリーチャーも討ち取れる、ブロックを躊躇わざるを得ない戦闘員なんだけど、コイツも攻撃が通った時に誘発する能力が強烈で、一点ライフでワン・ドロー、エンチャント破壊、パーマネント上のカウンター三つまで取り除くというかなり幅広い性能を持っているよ!単純にドロー源として優秀なんだけど、PWに乗ってる忠誠カウンターを取り除いたり、+1カウンターで強化された絆魂クリーチャーを妨害してライフ計算を狂わせたりってのがニクい動きなんだよね。ギックス、グリッサ、シェオルドレッドのスーパースター達は伝説のクリーチャーだから三枚ずつ採用にしてあるんだけど、どれも対処を強いる性能だから除去されても引き込める枚数を心掛けたね。

 コントロール型になると、《墓地の侵入者》を三枚にしてそれ以外は全部サイドの除去とすげ替えちゃうんだけどな!!クリーチャーがたった三枚しか無くても大丈夫なのが、デッキに六枚入れられているミシュラランドなんだよね。戦場には土地だけ、双方手札は空っていう泥沼を打開するためのクリーチャー化出来る土地の採用は初期型とほぼ一致。《眠らずの小屋》四枚、《目玉の暴君の住処》一枚、さらに新規採用《ハイドラの巣》が一枚。さらに黒単用に準備した《ロークスワイン城》が二枚。この土地は計四マナでワン・ドロー可能な黒の土地。相手が黒いデッキを使っててこの土地が入ってないことはほぼ無いよね。黒単なら四枚採用でも良いくらいだ。アグロ型になるとサイドに入っちゃうんだけど、《ヴェールのリリアナ》も三枚採用してあるから、泥沼上等、こっちはドロー源万端ってなってるよ!

 『今月の裏Hustle』メインもサイドも採用カードは土地以外一気に全部紹介しちゃったよ。そんなわけでやっぱり裏Hustleとしては、昨年末に苔寺こと『西芳寺』にまでこのデッキ『西芳寺観光案内』の必勝祈願に行っちゃったくらいだからさ!こんなにスケールの大きなHustleはそうそう無いよね!これで負けるとすれば・・・そりゃ対戦相手であるSho対策に特化できているかどうかだよね。現時点(2024年元日)での検討事項はクリーチャー実質十九枚体制のアグロ型か、クリーチャー実質三枚体制のコントロール型か、どちらをメインボードとして採用するかだな・・・。多分、Shoを殺すには後者が適切かつ打倒いや妥当だろうと思っているよ。次回のバトルは六日土曜の予定だから、一回戦の勝敗が決してからこの記事が公開されているはずだ。

 それじゃあ、今年もKeep Hustleing!四月からはUncommon Low Skirishの第二シーズンが新ローテーションで始まる予定だからお楽しみにね。今年も我々TechnoBreakを宜敷お願い申し上げます。新年の抱負はもっと健康になること!

デッキ(最終形態バランス型)

4 苔森の戦慄騎士 (WOE) 231

2 ロークスワイン城 (ELD) 241

4 コジレックの審問 (STA) 31

3 致命的な一押し (KLR) 84

3 暗殺者の戦利品 (GRN) 152

1 目玉の暴君の住処 (AFR) 258

2 勢団の銀行破り (NEO) 255

3 無情な行動 (IKO) 91

2 墓地の侵入者 (MID) 104

2 開花の亀 (WOE) 163

1 耐え抜くもの、母聖樹 (NEO) 266

1 ハイドラの巣 (AFR) 259

4 花盛りの湿地 (KLR) 280

4 闇孔の小道 (KHM) 254

1 死天狗茸の林間地 (VOW) 261

4 ラノワールの荒原 (BRO) 264

4 眠らずの小屋 (WOE) 258

3 マナの合流点 (JOU) 163

4 危難の道 (VOW) 124

3 ヴェールのリリアナ (DMU) 97

1 思考囲い (AKR) 127

2 羅利骨灰 (DMU) 183

1 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107

1 グリッサ・サンスレイヤー (ONE) 202

サイドボード

1 致命的な一押し (KLR) 84

4 進化した潜伏工作員 (DMU) 93

1 シェオルドレッドの勅令 (ONE) 108

1 思考囲い (AKR) 127

2 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107

2 グリッサ・サンスレイヤー (ONE) 202

1 羅利骨灰 (DMU) 183

1 執念の徳目 (WOE) 115

1 開花の亀 (WOE) 163

1 墓地の侵入者 (MID) 104

【2024冬号】第九回戦 崩壊 Uncommon Low Skirmish-珍法小競合-【キ刊TechnoBreakマガジン】

たかが一勝に気を良くしてはならない。

先月の二連勝から再度期間が空いたが、十二月の戦い。

錦糸町82にて時間通りに開始。

今月のUncommonガール

【十二月一回戦第一試合】

先攻Sho、万能土地《閑静な中庭》を忍者指定で場に出し、攻撃時にブロックされなくなる《未来派の調査員》を召喚、この日持ち込んだのは青黒忍者部族デッキだった。

その後、《銀毛の達人》、《毒血勢団に口封じ》、二枚目の《銀毛の達人》、《千の顔の影》と立て続けに展開され、満足なブロッカーも除去も無いJunは敗北。

Sho側はあっけなく一勝を掴んだ。

【十二月一回戦第二試合】

Jun先攻、二ターン目に二段攻撃の《双刃の霊》召喚。

ターンもらってSho、《バルターズゲートのクライドル》召喚。

三ターン目Jun、クライドルに強気のアタック、これはスルーで二点ダメージ。

この後、クライドルに対し《魂の仕切り》で追放、Shoの召喚した《裕福な盗人》は《瞬唱の魔術師》から再利用した《魂の仕切り》で再度追放。

Jun、《警備の抜け道》を《双刃の霊》にエンチャントし、ブロック不可の二段攻撃が何度もアタックを通していく。

Shoからの除去はことごとく《渦巻く霧の行進》によって躱されJunが殴り切る。

【十二月一回戦第三試合】

Sho、青黒二色土地をセットしてエンド。

Jun、白青二色土地から《エスパーの歩哨》を召喚してエンド。

「ソイツも居るのかよ」最初に唱えたクリーチャー以外の呪文に対応してドローが誘発してしまうから、確かに出されると嫌なカードではある。

ターンもらってSho、土地を出して《大群の妨害工作員》召喚、攻撃が通ると手札破壊能力を持った《ウイルスの甲虫》というクリーチャーを手札に創出するヤツだ。

ターンもらってJun、《魂の仕切り》で妨害工作員を追放、1/1の歩哨でアタック。

三ターン目Sho、三枚目の土地を出して《銀毛の達人》を素出しで召喚。

ターンもらってJun、歩哨に《圧倒的洞察》をエンチャント、さらに《農家の勇気》で追加の強化するものの、Shoの《致命的な一押し》で除去されてしまう、ここはマナを立てて我慢しておくべきだった。

これにて趨勢は決し、その後Shoは順調に忍者団を並べ二枚目の《銀毛の達人》、《月の賢者の養子、ナシ》、《月回路のハッカー》、《巧妙な潜入者》で波状攻撃を連打してあっけなく勝利。

全体除去を搭載しなかったJunの慢心、マリガン基準の厳格化が求められる。

【十二月二回戦第一試合】

負けられない戦いに臨むJun、最強の赤黒デッキを持参する裏をかいて前回同様の白青巨匠。

対するSho、Junをあざわらうかのように前回同様の青黒忍者デッキ。

こうなると全体除去を搭載していないJun側はかなり苦しい。

二ターン目後攻のSho、《大群の妨害工作員》、これに合わせてJun《瞬唱の魔道士》。

ターンもらってJun、魔道士の攻撃が通り、《双刃の霊》を召喚。

ターンもらってSho、妨害工作員でアタック、二段攻撃の霊がブロックして双方死亡、戦闘後に《銀毛の達人》《千の顔の影》を召喚。

ターンもらってJun、《双刃の霊》を降霊で魔道士にエンチャント、二段攻撃が通る。

ターンもらってSho、忍者二体でアタックし忍術発動、《毒血勢団の口封じ》の効果によりJunの魔道士が破壊される。

これにより、除去もないJunは手詰まり、Shoは戦場に忍者が三体だが、Junの手札にある魔道士二枚ではクリーチャー戦が不利。

ゲーム終了。

【十二月二回戦第二試合】

Jun先攻、土地一枚マリガン、土地四枚クリーチャー無しマリガンのダブルマリガン、この時点で敗色濃厚。

Sho、《千の顔の影》召喚。

四ターン目のドローでようやくJunにクリーチャーが入る、《瞬唱の魔道士》。

エンチャントした《圧倒的洞察》でのドローや、Shoからの《致命的な一押し》を《渦巻く霧の行進》で躱したりなどしても、Jun側はリソース切れ。

最終的にSho側の展開はトークン込みの《大群の妨害工作員》三体、《バルターズゲートのクライドル》、《千の顔の影》、《ウイルスの甲虫》。

バランス型の忍者デッキ対特化型の二段攻撃デッキが二週にわたって当たり、Junにとっては最悪の月であった。

デッキ相性とか対Jun対策など、不愉快なので終える。

今月のUncommonガール

【2024冬号】西芳寺観光案内【キ刊TechnoBreakマガジン】

 利益を求めて苔寺の愛称で呼ばれる禅寺へ行って来た。人数制限があり、申し込みは前もってオンライン予約する必要があったので注意されたい。拝観料はクレジット決済で四千円。

 この日は十時半の開門に申し込みました。桂駅から最寄りの上桂駅まで歩いていると、築何十年という昭和の家並みが軒を連ねていた中に嫌らしく黒光したベンツが駐車してあったのが面白かった。線路沿いの住宅街というのはさぞかしの御喧騒だろうと、デヴィッド・フィンチャーのセブンを思い出した。

 上桂駅に着いたのが十時で、西芳寺へ向かう途中で十五分になった。遅刻するのが怖くなったので、タクシーを拾って届けてもらった。丁度五分で現地に着いた。

「あそこの右にあります」

 所々焦茶になった木々の緑が深い。虚子の『禅寺の苔をついばむ小鳥かな』が掲げられていた。列に並んでぼうっとしていると、確かに鳥の鳴き声がよく聞こえる。ここは西京都嵐山の麓である。さっきまで一駅歩いて来たのが対照的に思えたから良かった。

 境内の撮影は禁じられていた。門をくぐり説明を受けて進むと、すぐ左手に大きな石碑がそびえている。大佛次郎、鎌倉文士として小林秀雄関連の文章を読んでいるとたまに見かける、彼の文章を川端康成が揮毫したものだという。大意は『こんな所に来て、人々は何を思うのだろうか。手に入らない漠然とした文化を羨んで眺めるのか、それとも自分自身と地続きな生活の延長に愛しみを以って触れるのか。』そんな風なことが、筆者の優しさを感じられる格調高い文章で綴られていた。いいなと思った。

 すぐ先に瀟洒な本堂が鎮座している。順路としてはまず、そこで写経をさせてもらえる。受付で筆ペンが貰え、用紙に薄書きが印刷されているのを上からなぞる。なぞるのに集中するだけでも雑念が払われそうなものだが、頻繁に現れる『観』の字を書くのが煩わしく雑念だらけになる。そして待ち受ける最終行の署名、それまで書けた気になっていた筆ペンの字がみにくく崩れる。

 本堂を出て順路を先へ進む。ここからが苔寺の庭園だ。

 石畳から砂利道へ。自分の足音が静寂の邪魔になる。ジャリジャリ鳴るから砂利なんだ。俺もやっと小学生の程度に回帰できた。

 池の周りのぐるりが順路である。池はこの金剛池と黄金池とが瓢箪状に連なっている。

 ここの縁起は聖徳太子からスティーブ・ジョブスまで説明書きに記載されていたのに閉口する。ZENマインドって、忙し過ぎ働き過ぎ疲れ過ぎならば、過剰なものを削ぎ落とせって事?残念ながら、最近は自分自身を表す言葉がまさに法外たれなんだよな。

 室町時代の様子を復元するために発掘調査をこの先で行なっているという注意書きがあった。たしかに、先に調査をしているような人がいる。

 が、その人は庭師の方で古くなった苔を剥がし、新しいものと植え替えの作業をしていたのだった。馬鹿な自分。

 岩倉具視や千少庵(利休の養子)にゆかりのある茶室が丘の上に建っている。渋い。

 黄金池周りをぐるりと巡っていく。

 天候に恵まれたのは良かった。冬の苔寺だが、四季折々の表情を見に来たい。帰宅してから父に写真を見せると、冬でも青々とした苔が広がっているのに驚いていた。周りはほとんど外国人観光客だったが、写経の際に黙れと指示が書かれていた延長で皆静かだった。

 思いついたことのメモをTwitter(新X)に書き留めていると、世の中では政治家のカネ問題が目に飛び込んでくる。それだけ日常の煩わしさから無縁の場所を彷徨いているということなのだろう、一興々々。

 中央右奥に小舟が認められた。江戸川に浮かんだ釣り船たちとは比べ物にならない造りをしていて、悠久の時を感じずにいられない。ひょっとすると室町時代からそこに在ったかのような、茶室に負けず劣らずの感慨を催す。

 枯葉が流れていくのが見え、この池にも変転流転が訪れるのだと感じる。行く川の流れは絶えずして、とか、徒然なるままに、とか、知っていることがあるお陰でひたれる、救いみたいなものが赦されているらしい。教養は金では買えない、ここの流れみたいに時間をかけて汲まれていくものなのだ。

 うろうろしながら色々考えたが、虚しかった。考えることをやめ、全身を眼にして歩けないものだろうか。黙っていたのは写経の時くらいだ。言葉は邪魔だ。二週目に赴けば良いか。

 しかし、うろうろしてはいたのだが、日々やっているゲーム『MtG』の事はすっかり頭の中から消えていた。実は次回使用するデッキの必勝祈願にこの地へ来る必要があったのだが。これは次回も負けたかな。

 庭園から出て、帰りの順路へ。もう一度本堂の前を通ったので、さっきとは別な願い事をしよう。

 西芳寺を辞してすぐ、茶屋さんがお蕎麦を出していた。身体は冷え切っていた。なめらかなとろろ蕎麦は、苔を模したのか青海苔が散らされていて気分が良い。すぐ隣にもう一軒ある。

 上桂駅まで徒歩二〜三十分の道のりだった。

 みなさま、今年も宜敷おねがいいたします。今月のデッキは『西芳寺観光案内』。

【2023冬号】担々探訪 #001 船橋川菜味【キ刊TechnoBreakマガジン】

 JR西船橋駅構内にインペリアル・トレジャーという担々麺専門店があった。大層美味くてよく行ったし、飲み仲間からも〆によく誘われた。麻婆豆腐も好きだが、それ以前から好きだったのが其処の担々麺だった。僕はまたあの味に巡り合いたい。急に感傷的になっている。

 東武と西武が対立していただなんて、池袋さながらではないか。それなのに、地元に担々麺の名店が無いというのであれば、船橋の名折れである。ちょっとした対立は駅前でまだ見られる。小籠包の名店、南翔饅頭店と鼎泰豊とが肩肘張って睨み合っているからだ。ブランド志向の方はぜひ行ってみてください。この先の文章を読む必要は無いでしょう。

 そのお店は街中華では決して無いが、高級店と言う程でも決して無い。程々なお店だ。程々なお店だが、提供する料理の数々は高級店のそれなのだ。だから、ランチタイムは程々に混雑している。駅からそれなりに歩く船橋の外れであるにもかかわらず。駅近が良いなら福満園、栄華光、謝謝、旬輝。

 途中ぶらぶら歩いていると、築五十年という当て推量がピッタリ合いそうなお惣菜屋さん、実際には天ぷら専門店の前に出くわす。ぼろなお店の外見に馴染んだ味わいのある店主さんに好感を得て、ふと買い食いしてみた。船橋のど真ん中にいなか亭と言う屋号がたまらない。店内にはわずかに座席があって、天丼が五百円で食べれるらしい。にんじんの天ぷら、七十円、そのままくださいと言った。

「じゃあ紙に包んで塩振っとくね。小さいのつけとくからお連れさんも」

 誰も連れてはいないのだが、脇を見ると、自称半知半能の龍神、夏見ニコル女史がニコニコしていた。いつの間に現れたのだろうか。お菓子のお家から出て来たかのような身なりをしているが、悪目立ちしていないのもまた不思議だった。

 おまけしていただいた小さい方は、ゆうに五十円分になりそうなくらいの大きさで、築五十年の重みある優しさが嬉しかった。噛み締めたにんじんは甘く、歯触りが硬すぎず緩すぎず絶妙だった。皮剥きが面倒だから、カレーにもどんな料理にもにんじんを使うことは無いのだが、にんじんを食べるなら天ぷらが一番だと僕は思っている。その事をはっきりさせてくれたのも嬉しかった。

 ずっと先へ行けば市役所がある。駅から市役所まで一直線に歩いて行けば、こんな所にまでだらだらと飲食店が散在しているのかという様子が可笑しい。かつては、帰路に就く公務員たちを受け入れていたであろう各店舗は、てんでばらばらの装いだ。天ぷら、蕎麦、刺身、大衆居酒屋にアメリカンバイカーズサロン。そんな中に、川菜味という中華料理屋さんがある。千葉街道側からしか店舗入り口に辿り着けないので注意されたい。開店前の時間調整なら、近所に石井食品のカフェ兼販売所があるので覗いてみるのも良いだろう。僕の好きなイスラエルワインが手に入るから、そこのことは信頼している。

 さて、川菜味さんに入店して早速注文する。上品で落ち着いた中華料理店さんの内装が嬉しくて、口を衝いて出たのは麻婆豆腐とライス。しまった、担々麺を食べに来たのに。でも折角川菜味まで出向いたんだし、これは外せないだろう。ランチ時なら川菜味御膳も間違いない。麻婆豆腐は塩味が強く、ライスと頬張ればうんうんと頷いてしまう旨さである。塩味が強いとは書いたが、決して塩辛いと言う訳では無い。鋭い旨味を強く感じさせるのを、塩味が強いと表現させていただいた。辛かろう臭かろう、市井の麻婆豆腐とは比べ物にならない丁寧さを感じずにいられない。

 店員さんから紙エプロンを勧められたのは、ニコル女史が襟元に手持ちのハンカチを広げて挿したためだ。おいおい、半知半能なら跳ねさせずに担々麺くらい食えるんじゃ無いのか。可愛らしい服装なのは分かるが。僕は紙エプロンを遠慮した。着ていたのは白いワイシャツだったが、担々麺を食べる時ってのは跳ねても又良し、跳ねなければ尚良しである。

 その担々麺は極細で喉越しが良いのに驚く。これがまた塩味が強い、いや鋭い旨味を強く感じさせる。非常に細粒に粉砕された白胡麻が、一面にさっと浮かんでいるのがきらびやか。熱々で辛さが後から来るスープはジャーに入れて持って帰りたいくらいなので、しっかりと胃袋に仕舞う。麺は大盛り、あっという間に無くなった。

『これじゃ無いんだよな』食後の満足感と込み上げる熱気に浸りながら思った。そして、そう思いながら、また近々お邪魔するであろうと感じていた。僕は呪われている。

 船橋市政の正義を守るという建前で軍務に励んでいる、万年中尉だが。で、あの女性とは別れた。それについては、追々書く機会もあるだろう。

【2023冬号】糞Jun 今月のHustleデッキ #005【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun(10/7執筆)

 何かから逃げている時って、どうしてあんなに夢中になれるんだろう。俺もShoも学業から逃げていた時期があった。俺は小林秀雄の文章を読み漁り、Shoは早稲田松竹で名画を観賞していた。奇しくも新宿区の徒歩圏内で二人は邂逅していた可能性もある訳だな。アイツの場合、幸か不幸かそのまま大学を中退する羽目になってしまったと言う事だが。

 確か五月頃、旧型赤緑デッキのイマイチ感にがっくり来ていた俺は、気分転換に青単パーミッションを作ってみたんだ。一ターン目に《秘密を掘り下げる者》を召喚して後は打ち消し呪文で守りに徹する、『デルバー』と総称されるクロック・パーミッションをね。で、プレイしていると勝率は半々未満でも楽しいんだよね、これが。ぜひ仕上げたいって思ったよ。いつか、青単デッキをULSにぶつけるんだ、ってね。その刻が、満を持して来た。月々の色調整の都合で、どうしても十月にぶつけなきゃいけなかったってのもあるんだけど(笑)

 初期型は凄いHustleな青単だったんだ。瞬速持ちの《オークの弓使い》を相手のターンエンドに召喚してみたり、アドバンテージの塊である《鏡割りの寓話》をとりあえず出してみたり、フィニッシャーにはこれまた瞬速持ちでパーマネントのマナコストを2も増やしてしまう妨害能力が地味に嫌らしい《ナイトクラブの用心棒》を据えて、さらにソイツを明滅させてETB能力を使い回すための《一瞬の瞬き》を入れて…青単なのにパワーカードを黒、赤、白から四枚挿しっていう『歪んだ三位一体』の名に恥じないHustleなデッキを仕上げていたんだよね!最初期には《夜群の伏兵》の採用まで検討していたし、レア土地には今回もだいぶワイルドカードを割いたよ。

 で、これが勝率イマイチで泣いちゃいそうなんだな。封殺or《ナイトクラブの用心棒》が間に合わずに惜敗で、後者の割合が多くて負け越しちゃったんだよね。相手は現在二連勝中のShoだから、絶対に十月は負けられない。そんなわけで、調整と微調整とを重ね続けた挙句、上記のジャンク型パーミッションは、すっきりシンプルな形へと大幅な路線変更したのが前日夜。当日は土地とサイドボード調整をザックリやって、実戦はほぼ無いままにULS十月一回戦へ挑んだんだ。

デッキ名『青単報復者』

 上手くいけば2ターン目から3/2飛行で殴っていける《秘密を掘り下げる者》に《執着的探訪》をエンチャントして、4/3飛行に加えて一枚ドローし続けて妨害カードを切り続けるのが理想。これが除去されると投了なんだけど、そこを《復讐に燃えた犠牲者、ドロテア》の高マナレシオカードで補填しようとしてある。このクリーチャー、なんと2マナ4/4飛行っていうHustleカード。攻撃かブロックに一度でも参加してしまうと生贄に捧げなければいけないんだけど、その後は墓地からの降霊によりオーラとして復活!エンチャントしたクリーチャーが攻撃するたびに、飛行を持つ4/4トークンがスタープラチナばりにブン殴りに来てくれる(このトークンも戦闘後に生贄に捧げられる)。

 となると、相手のターンエンドに《瞬唱の魔道士》を2マナで素出しして、ターンを貰ったら3マナの《ドロテアの報復》(降霊カード裏面)をエンチャントして殴りに行く。手札破壊相手に対して動くすごく極端な理想形だけど、3ターン目から6点以上のクロックを刻めるのはHustleアグロだよな。アグロデッキの勝敗の分かれ目はおおむね5ターンって言われているから、それまでに殴り切るのがこのデッキの信条ってわけ。青単なのにアグロ、この取り合わせの妙がHustleポイント激推し如何でしょう。

 上記クリーチャーをあっさり除去されて「投了」宣言とならないようにするため、中期戦を見越して採用してあるのが《帳簿裂き》。2マナ1/3飛行持ち、使われて初めて厄介さに気付く悪いヤツ。そのターンにプレイヤーが二番目の呪文を唱えるたびに謀議する(カード一枚を引き、その後カード一枚を捨てる。あなたが土地でないカードを捨てたなら、このクリーチャーの上に+1/+1カウンター一個を置く)。つまり、サイズアップを期待しつつ、手札の不要カードを今欲しいカードへの摺り替えも期待できるんだ。ゲーム中盤で召喚し、続けて《消えゆく希望》で対戦相手の邪魔なブロッカーを手札に戻す、たったこれだけのムーヴで謀議ができるのはHustle通り越してチョットオカシイ。対戦相手のターン中に《瞬唱の魔道士》を召喚して、再度《消えゆく希望》をフラッシュバックしても謀議。この能動的な効果に加えて、対戦相手が二つ呪文を唱えたら謀議できる攻撃的受動性も強い、4/7飛行になって殴りかかれるのも十分あり得る。

 《瞬唱の魔道士》は2マナ2/1瞬速持ちなんだけど、戦場に出たターンに墓地のインスタントかソーサリー一枚を対象にして使いまわせる能力があるんだ。正規のマナコストを支払う必要はあるけれど、単純に手札が増えてるようなもので、《旋風のごとき否定》のようなカウンター呪文でも《ゼロ除算》のようなバウンス呪文でも必要なものを引っ張ってきて対応できるのが中盤戦に活きるね。前者はスタック上にある対戦相手の呪文やら能力やら全てに4マナも支払い要求をするから、果敢や魔技みたいな誘発型能力もすっきり打ち消し。後者はサイドボードから講義カードを履修できるから、ハンドアドバンテージを失わずに妨害できる。採用している講義カードは、終盤にもつれこんでまで使いたく無いけど《マスコット展示会》、使わずに決めたいけど大事なドローの《アルカイックの教え》、短時間の調整でよくこれに目をつけたなって自分を褒めたい《謹慎補講》。《謹慎補講》は五枚目の《消えゆく希望》相当で、こちらのクリーチャーの攻撃をゴリ押しで通すのに役立つよね。

 初期型の構えて守るジャンクなタイプのパーミッションから、毎ターンガンガン殴る明快アグロなパーミッションへガラッと様相を変じた十月の青単デッキ。終始頭を悩ませたのはクリーチャーとそれ以外の呪文の枚数の割合だった。極端な話、《傲慢なジン》と《トレイリアの恐怖》をそれぞれ四枚挿しクリーチャー八体型で行くか、《隆盛するスピリット》や《怪しげな密航者》のような軽量優秀クリーチャー二十体前後型で行くか。結局は、白黒赤と各色の軽量パワーカードをジャンクに詰め込んだ後者型にするはずだったんだけど、その構築当時に色々なパターンを考えていたお陰で最終型にパッとメタモルフォーゼすることが出来たよ。さながら《秘密を掘り下げる者》みたいにね。彼は対ミッドレンジ用に、サイドボードの《傲慢なジン》との交換も考えてあるよ。

 さて、1マナの《秘密を掘り下げる者》、2マナの《瞬唱の魔道士》、《帳簿裂き》、《復習に燃えた犠牲者、ドロテア》低コスト高打点のクリーチャーたちを抑えて、『今月の裏Hustle』をご紹介しよう。二枚採用の《迫撃鞘》だ!これはULS十月一回戦第二試合を劇的に締めくくった生体武器の飛び道具。十月一回戦は二試合ともJunのデッキがShoを封殺、俺以外の全ての人が、Shoすらもその展開に感嘆したに違いない名勝負だったな。俺が勝つ試合はどれも名勝負に認定するんだけどさ(笑)一方で、肝心の俺は綱渡りの連続、トップデッキにも何度も助けられる上に、対戦相手のクリーチャーにブロック制限があったから攻撃が通ったっていう相性もあって非常に精神的にはしんどかったんだよね。おっと、本題の《迫撃鞘》を忘れちゃいけない。コイツの能力で、Shoの残りライフ一点をきっちりもぎ取ることが出来て、本当に心からグッドゲームだった。

 それじゃ、歪んだ三位一体ことJunお得意の、調整を重ねたデッキを直前で大幅改変はまだまだ続きそうな予感がする。来月のデッキお披露目までKeep hustle!四枚交換しちゃった《鏡割りの寓話》どうしよう!

デッキ

4 瞬唱の魔道士 (SIS) 23

2 ゼロ除算 (STX) 41

4 A-復讐に燃えた犠牲者、ドロテア (VOW) 235

1 皇国の地、永岩城 (NEO) 268

2 アーテイの嘲笑 (DMU) 48

2 旋風のごとき否定 (STA) 23

4 ジュワー島の撹乱 (ZNR) 64

4 秘密を掘り下げる者 (MID) 47

3 かき消し (SNC) 49

4 消えゆく希望 (MID) 51

4 帳簿裂き (SNC) 46

1 天上都市、大田原 (NEO) 271

4 アダーカー荒原 (DMU) 243

1 金属海の沿岸 (ONE) 258

4 連門の小道 (KHM) 260

4 マナの合流点 (JOU) 163

2 冠雪の島 (KHM) 279

3 冠雪の平地 (KHM) 277

2 迫撃鞘 (MBS) 115

4 執着的探訪 (JMP) 148

1 送還 (ANB) 36

サイドボード

1 アルカイックの教え (STX) 57

4 本質の把捉 (NEO) 52

1 マスコット展示会 (STX) 5

1 謹慎補講 (STX) 7

4 傲慢なジン (DMU) 52

4 本質の散乱 (DMU) 49

【2023冬号】糞Jun 今月のHustleデッキ #004 緊急速報版【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun(11/20執筆)

 いよぉぉぉっし!Hustleカムバック!俺だ。11月は圧巻の二連勝を決めて、Shoに半ベソをかかせてやったZE!そんなわけで、デッキ紹介行ってみようか!手応えのあるデッキは自慢したくてしょうがないNE!

デッキ名『紅葉狩り-狂信楽-』

 黒を愛する言語術士ロゴスマンサーの俺としては黒単は最後の最後に仕上げたい、そんなわけで黒を中心に据えた二色デッキの構築は悲願である。そうして生まれたのが8月のディミーア・ハイブリッド(青黒)だったわけなんだけど、あのデッキには色々と詰め込み過ぎたせいで、各種キーカード三枚体制という非常に不安定なものになってしまったんだ。折角好きな色の二色で揃えたのに、できる事なら組み直したいくらいだよ。そんな中、エルドレインの森で大注目された例のカードが出たんだ。《鏡に願いを》はもうこのデッキの顔と言えるね!

 デッキから四マナ以下のカードを探し、コスト無しで唱えられる。《黙示録、シェオルドレッド》やら《ファイレクシアの抹消者》やらを引っ張ってこようって安直な発想なら俺にだってできる。だから、当然デッキには一枚挿ししてある。それぞれワイルドカードで四枚集めたのに、《鏡に願いを》は俺自身の環境をも様変わりさせてしまったってわけ!さらに、ライフレースを有利に持ち直させるために《不笑のソリン》も一枚採用。奥義を放ったことはまだ一度も無いけど、−2能力の絆魂トークン生成のみならず、+ 1能力の擬似ドローが地味に強いんだよな。コイツにだけはHustleって言葉は似合わないぞ。いや、奥義が13点ダメージだから、その時だけは不笑と言いつつも爆笑Hustleだろうね。

 一枚挿しのソリン(こう書くとプレインズウォーカーみたいだな笑)の相棒として採用しているのがお馴染み《ヴェールのリリアナ》、こちらは四枚挿しだ。三ターン目リリアナ、四ターン目鏡経由のソリンがこのデッキの一つの理想形だな。リリアナは+1能力でお互いの手札を捨てさせるんだけど、バンバン捨ててもソリンで引けるのが絶望的に強い。リリアナの奥義はかなりの頻度で発動させるけど、コントロールデッキのキーカード、例えば《九つの命》のみ指定とかニンマリHustle多いんだよなあ(ニンマリ)。

 リリアナと同じく三マナ枠、デッキ唯一の赤カード(他の二枚は土地枠に含められる《棘平原の危険》)、言わずと知れた英雄譚《鏡破りの寓話》が四枚。三ターン目にリリアナとどちらを先に出すべきかと言われれば、なんとしても除去しておきたいクリーチャーでもいない限りまず先に寓話からだね。三ターン目寓話を唱えてゴブリントークン生成、四ターン目トークン攻撃で宝物生成、この時に四枚目の土地が戦場に出せていなくても《鏡に願いを》を協約で唱えることができるのが強みだね。その時には《ファイレクシアの抹消者》を持って来たいもんだ。《鏡割りの寓話》二枚連続パターンになると、最終的にマナがある限りキキジキの鏡像のコピーを並べまくれるのも勝ちパターン。

 《ヴェールのリリアナ》の手札破壊で試合の展開をグダグダにさせつつ、《鏡割りの寓話》でアドバンテージに差をつけて、《鏡に願いを》で状況に応じたカードを戦場に出す。このデッキ『紅葉狩り-狂信楽-』の基本的な動きはこうだ。そして、三マナ域に到達するまでの序盤は豊富な除去呪文でしのぎ切る。大抵負ける時は、初期手札に除去が二枚以下って時だね。

 採用している除去カードは《致命的な一押し》二枚、《冥府の掌握》二枚、《無情な行動》三枚、《シェオルドレッドの勅令》三枚、何故かパックから豊富に出てきた《ランクルのいたずら》三枚、《鏡に願いを》経由用に根こそぎ追放《一巻の終わり》と全体除去《衰滅》それぞれ一枚ずつ。さらに手札破壊が協約用に《望み無き悪夢》四枚、《思考囲い》二枚。四枚持ってる《思考囲い》をもっと入れるスロットは、もう捻出できなかった…。《衰滅》は全てのクリーチャーに−4修正なんだけど、主力の《ファイレクシアの抹消者》も《黙示録、シェオルドレッド》もタフネスが5あるから、シレッと生き残って《鏡割りの寓話》とのシナジーで悪さ出来るぜ。

 『今月の裏Hustle』コンボやシナジーを期待するのにデッキ四枚挿しではどうしても事故るからせめて八枚は必要だよな。それは、《鏡に願いを》の協約に必要な素材が多いに越したことは無いという話だ。そこで採用したのがコイツ、《鉱滓造の橋》だ!タップインが気になるものの、1〜2ターン目ならば除去呪文のマナコストと相談しながら戦場に出せるコイツ、何と土地・アーティファクトということで、四マナ捻出できる状態で協約のコストに充てちゃっても全然問題無し、ほぼタダ状態。都合よく《望み無き悪夢》を唱えられないことの方が多いけど、《鉱滓造の橋》のおかげで黒赤二色の不安も協約コストの不安も大幅減。このデッキで負けるのは大抵、三枚目の土地が引けないって場合だけだから、出来ることなら土地は初手に三枚欲しいね。

 では、興奮冷めやまぬ会心のデッキ『紅葉狩り-狂信楽-』の紹介はこれまで!来月に向けて構築しているデッキは今回の長期戦泥沼とは打って変わって、五ターンキル上等のこれまた痛恨のデッキだ。ここだけの話、久しぶりに、かつ早々にミシックランクに到達しているから、今後の調整に気合が入るぜ!それじゃあ、イクサランのパックも開けつつ、Stay foolish, keep hustle!来月も二連勝目指すぜ!

デッキ

4 鏡に願いを (WOE) 82

4 黒割れの崖 (ONE) 248

4 鏡割りの寓話 (NEO) 141

2 棘平原の危険 (ZNR) 166

4 ヴェールのリリアナ (DMU) 97

1 不笑のソリン (VOW) 131

4 望み無き悪夢 (WOE) 95

2 致命的な一押し (KLR) 84

3 無情な行動 (IKO) 91

2 冥府の掌握 (MID) 107

1 一巻の終わり (WOE) 87

3 シェオルドレッドの勅令 (ONE) 108

2 思考囲い (AKR) 127

3 ランクルのいたずら (WOE) 102

1 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107

1 ファイレクシアの抹消者 (ONE) 105

4 荒廃踏みの小道 (KHM) 252

2 硫黄泉 (DMU) 256

4 鉱滓造の橋 (MH2) 246

1 ボジューカの沼 (WWK) 132

1 沼 (DMU) 269

4 マナの合流点 (JOU) 163

1 目玉の暴君の住処 (AFR) 258

1 見捨てられたぬかるみ、竹沼 (NEO) 278

1 衰滅 (JMP) 246

サイドボード

3 台所のインプ (MH2) 89

3 癇しゃく (SIR) 154

1 思考囲い (AKR) 127

1 思考囲い (AKR) 127

1 ファイレクシアの抹消者 (ONE) 105

1 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107

4 危難の道 (VOW) 124

1 ランクルのいたずら (WOE) 102

【2023冬号】第八回戦 反抗 Uncommon Low Skirmish-珍法小競合-【キ刊TechnnoBreakマガジン】

日曜の業務、比較的ラクな部類ではあったが人前に出るので多少はピリピリして準備していた。それ以上の準備を前回からの二週間をかけて行っていた。勝ったり負けたり、負けたり調整したり、負けたり構築したデッキを放棄してみたり。色々とストレスの溜まる日々だったと言える。だが、負けられないのだ。いつものパブで小麦香るヴァイツェン、Shoはハイボール。

先に書いておくが、Shoは記事なぞ読んでいないらしい。これは《見捨てられた碑》なのだ。奴は一ミリもバンドの事をしていない。だから書いておくが、彼奴の構築はトーナメントを意識していない、徹底的に俺対策で来ている。ならば、だ。

今月のUncommonガール

【十一月一回戦第一試合】

先攻は三連敗中のJunが選択、土地が無いためマリガン後《目玉の暴君の住処》、とうとう黒いデッキで参戦だ。

Sho、山を出してエンド、イゼット・ウィザードが懸念される。

二ターン目、Jun黒赤の二色土地から《望み無き悪夢》をエンチャント、Shoが捨てた手札は二マナ四点火力の《抹消する稲妻》。

Sho、Junのエンド前に《火遊び》を撃ち込んでターンをもらう、《ラムナプの遺跡》を場に出し《無謀なる衝動》、追放されたのは山と《稲妻の一撃》。

三ターン目、Junは両面土地を黒側で出し満を持して《ヴェールのリリアナ》、+1能力を起動し双方手札を一枚捨てる、Junは今引きの黒い土地《見捨てられたぬかるみ、竹沼》、Shoは一マナ二点火力《火遊び》。

ターンもらってSho、山を出して「しまった」のエモート、《稲妻の一撃》を《ヴェールのリリアナ》に打ち込むも、さっき捨ててしまった《火遊び》を追加で撃ち込むことが無いため除去しきれない。

四ターン目、Junは沼を出して《鏡に願いを》を唱える、協約コストは《望み無き悪夢》、山札からバーンに対して無敵の《ファイレクシアの抹消者》をサーチして来て戦場に出す。リリアナを起動して双方手札を捨てる、Junこれで手札ゼロ、Shoは《焦熱の交渉人、ヤヤ》をディスカードして残り手札三枚。この四ターンの展開は完璧な理想形だ。

ターンもらってSho、二マナ火力の《静電気の放電》を唱えリリアナに三点ダメージで除去、残り二マナは《無謀なる衝動》の同型再版《レンの決意》による衝動的ドロー。

この後、Shoは《勝負服纏い、チャンドラ》を召喚するも、抹消者のワンパンチであしらわれ、劣勢を挽回できない。

Junは《鏡に願いを》から《不笑のソリン》をサーチし次のターンに召喚、《鏡割りの寓話》を唱えるなどで盤面を確実にして押し切った。

【十一月一回戦第二試合】

Jun慢心の初手土地二枚スタート、これが完全に裏目となり三枚目の土地が来ない。

Shoはマリガン一回で先攻、山から《僧院の速槍》で速攻アタック。

ターンもらってJun、《思考囲い》でハンデスを仕掛け、Shoの手札から大物《ウラブラスク》を捨てさせる。しかしながら「あの時に《レンの決意》を捨てさせておけば後続のカードを引かれる事はなかった」と後になって指摘を受けた。

二ターン目Sho、山を出し《レンの決意》で衝動的ドロー、果敢により2/3になった《僧院の速槍》でアタック。Junの残りライフ14。

ターンもらってJun、《棘平原の危険》を土地の面でタップイン、《望み無き悪夢》を唱える。

三ターン目Sho、クリーチャー化できる土地《バグベアの居住地》をタップイン、《棘平原の危険》を唱えてJunに一点ダメージ、速槍アタックで二点。

ターンもらってJun、土地を引けず身動きが取れ無いままターンエンド。

四ターン目Sho、青赤キャノピーランド《焦熱島嶼域》から引いて来た《ウラブラスク》召喚、《僧院の速槍》はJunが《シェオルドレッドの勅令》により除去。

ターンもらってJun、《棘平原の危険》を引く、土地の面でタップイン、展開が遅すぎる上に手札には除去も無い。

五ターン目Sho、《僧院の速槍》召喚、《静電気の放電》でJunに三点ダメージ、フルアタックで合計十ダメージで勝利。

双方怒涛の応酬合戦で第三試合へ。

【十一月一回戦第三試合】

先攻Jun、赤黒破壊不能のアーティファクト・土地をタップイン。

ターンもらってSho、青赤土地から《僧院の速槍》アタックで一点。

ターンもらってJun、同じ土地を再度タップイン、一マナのカードは手札に無くエンド。

ターンもらってSho、《棘平原の危険》を土地の面でタップイン、速槍でアタック。

三ターン目Jun、土地を出して英雄譚《鏡割りの寓話》をエンチャント、2/2クリーチャーが場に出る。

ターンもらってSho、《無謀なる衝動》から引いて来た《絞殺》をJunが出したクリーチャーに撃ち込んで除去、速槍が殴って二点。

四ターン目Jun、《鏡割りの寓話》第二章が発動し手札交換一枚、引き込んだ《ヴェールのリリアナ》を召喚、−2能力を起動してShoの《僧院の速槍》を除去。

ターンもらってSho、《無謀なる衝動》から引き込んだ《棘平原の危険》による一点ダメージで《ヴェールのリリアナ》を除去。

五ターン目Jun、《鏡割りの寓話》第三章が発動しエンチャント裏面のクリーチャーに変身、万能土地《マナの合流点》を出して四マナ費やして《鏡に願いを》、アーティファクト・土地を協約コストに充ててサーチしたのは勿論《ファイレクシアの抹消者》、対応してSho《火遊び》で変身したクリーチャーを除去。

ターンもらってSho、五枚目の土地を出して四マナから大物《ウラブラスク》を召喚。

「君の衝動的ドローには相性悪いんで《黙示録、シェオルドレッド》はサイドインで、法務官対決は辞退させていただきました!」

六ターン目Jun、《ファイレクシアの抹消者》でアタック、ペナルティがあるため当然《ウラブラスク》ではブロックせず、Sho残りライフ9。

続いて《ヴェールのリリアナ》を再度召喚、−2能力で《ウラブラスク》を除去。

ターンもらってSho、《僧院の速槍》を召喚の後、《静電気の放電》、さらに《稲妻の一撃》、パワー修正された速槍が速攻で殴ってJunのライフを13から4まで九点も削り取る爆発的な奇襲。

これでJun、次ターンに火力呪文二枚も撃ち込まれて仕舞えば敗北。

七ターン目Jun、《ファイレクシアの抹消者》でアタック、Shoは土地からマナを引き出す際のダメージが蓄積しており残りライフ1。

さらにリリアナの+1能力起動、双方手札を捨て、Junの手札は四枚、Shoはプレイヤーに撃てない火力の《絞殺》を捨てて手札一枚。

そして戦場の《僧院の速槍》へ《一巻の終わり》を唱えて追放、この効果で墓地と手札とライブラリーから同名カードを探して追放できるのだが、その手順をうっかり飛ばしてしまう。

ターンもらってSho、先ほどの手札に保持していた《稲妻の一撃》をJunに撃ち込み残りライフ1対1、今引きは有効な一枚ではなさそうなのだが《焦熱島嶼域》を生贄に捧げて一枚ドロー、Junは火力が引かれないように祈るのみ。

長い沈黙、Junは焦れている、Shoは動かない、それが競り勝った勝利への歓喜のためなのか、はたまた接戦を征しきれなかった深い悲しみのためなのか、その沈黙がJunにはたまらなく長い。

そして、かすかな声で短く

「クッソ…」

Shoが唱えた呪文は《火遊び》、Junに二点ダメージ、なのだがSho残り唯一だった土地からマナを引き出すのにライフ1点を失う!

手に汗握る白熱の激戦、勝ちをもぎ取ったのはJun。

【十一月二回戦第一試合】

先攻Sho、白黒二色土地から《魂の管理人》召喚、前回の試合後に飲みながら言っていた、対Jun黒赤に最有力の白黒トークンデッキを引っ提げて参戦。

後攻Jun、敢えて今週も赤黒デッキから変更せず、たった二枚挿しの《思考囲い》がShoの手札を直撃、《ポータブルホール》、《夢の巣のルールス》、《太陽冠のヘリオッド》を確認し、ヘリオッドを捨てさせる。

三ターン目Sho、引いて来た《苦花》をエンチャント、先ほどの手札に在ったならばヘリオッドより優先して捨てさせていたかもしれないが、後にしてみればやはりヘリオッドで良かった。

《苦花》は毎ターン1ライフ失って1/1の飛行クリーチャートークンを生成するが、《魂の管理人》はクリーチャーが場に出ると1ライフ得られるので、このシナジーにより毎ターン飛行クリーチャーがリスクなしに得られる強固な場が整う。

しかしJun、《ヴェールのリリアナ》、《鏡割りの寓話》、《ファイレクシアの抹消者》、今引きの《鏡に願いを》経由で《不笑のソリン》と立て続けに展開する理想形を披露。

対するShoは白黒デッキお得意の万能パーマネント除去が引けない、さらにライフ回復シナジーに絶大な効果を有する《太陽冠のヘリオッド》や《祝福されし者の声》なども引けない。

フィニッシュは《ファイレクシアの抹消者》を《キキジキの鏡像》でコピーした後、《鏡に願いを》経由で撃ち込んだ《衰滅》で、Shoが大量に展開したトークン群を一掃し殴り勝ち。

【十一月二回戦第二試合】

序盤はJunが土地を出すのみ。

Sho、四ターン目には《魂の管理人》、《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》、《アジャニの歓迎》、《苦花》と堅実な盤面を構築、これらのシナジーで毎ターン2ライフ回復しながら飛行クリーチャーが一体ずつ生成される。

ようやくJunが英雄譚《鏡割りの寓話》を唱え、翌ターンには手札から捨てた《台所のインプ》をマッドネスコストで召喚、エラスに除去を撃ち込むなど遅れを取り戻そうとしていく。

六ターン目、Shoの総攻撃に焦れたJun、虎の子である《一巻の終わり》を《魂の管理人》に撃ち込む、どうせならもっと早くすべきだったが一枚挿しであるためShoの主要クリーチャーに使いたい所だった。

副次的な効果で、Shoは手札にクリーチャー除去を温存していることが分かったので、Junは豊富な宝物トークンにより《鏡に願いを》経由でプレインズウォーカー《不笑のソリン》、同様にして《ヴェールのリリアナ》とダブル召喚。

そこから二ターンほど後、Shoはライフ回復シナジーを頼みに防御無用の大胆な戦闘を仕掛けており、またJun側は《不笑のソリン》から生成された絆魂トークンでライフ減を立て直しており、Sho残りライフ6対Jun残りライフ16。

現在Shoの展開は《アジャニの歓迎》二枚、《苦花》二枚で2ライフ得ながら飛行トークン2体が生成される勝利秒読みの盤面、1/1とは言え飛行トークンが毎ターン二つと言うのは決定的である。

ここからは長引くほどにSho有利、だがJun《危難の道》で戦場のクリーチャーを一掃してからトップデッキ《黙示録、シェオルドレッド》満を持して召喚。

ターンもらってSho、トークン一体目生成でライフロス一点、《アジャニの歓迎》で回復二点、トークン二体目生成でライフロス一点、《アジャニの歓迎》で回復二点、その後ドローで《黙示録、シェオルドレッド》の能力が誘発しライフロス二点、ライフは目まぐるしく変動したがプラスマイナスゼロで残り4。

ここでShoもトップデッキ、《祝福されし者の声》召喚、ライフ1×2回復し誘発して《祝福されし者の声》に+1カウンターが二つ乗り4/4に。

召喚する際に土地からダメージもらって、Sho残りライフ5。

ターンもらってJun、後が無いので動く、《ヴェールのリリアナ》の-2能力起動でShoは飛行トークン一体を生け贄に捧げる、さらに《目玉の暴君の住処》をクリーチャー化して《黙示録、シェオルドレッド》と共に攻撃。

防御Sho側は残りライフ5、1/1飛行トークン一体、4/4《祝福されし者の声》。

攻撃Jun側は残りライフ19、4/5接死のシェオルドレッド、3/3威迫の目玉の暴君。

このターンを生存するためにShoは、二体のクリーチャーで接死クリーチャーと相討ちせざるを得ず、暴君の三点を受けて残りライフ2。

ターンもらってSho、《苦花》から飛行トークン二体、ライフ回復して残り4、ドローは土地、それを戦場に出してエンド。

ターンもらってJun、《ヴェールのリリアナ》の-2能力起動でShoは飛行トークン一体を生け贄に捧げる、さらに手札からリリアナを召喚し同様の動きでShoはブロッカー不在、そこをクリーチャー化した目玉の暴君が攻撃して三点、Sho残りライフ1。

ターンもらってSho、《苦花》のトークン生成にライフが自動で1支払われて試合終了。

ULS史上二番目に長い、泥沼の十八分間をJunのコントロールデッキが終始押し切った。

三ヶ月ぶりの勝利、三ヶ月ぶりの敗北。

俺は平静を装ったが、Shoの落胆はひときわだった。

内心笑いが止まらなかったが、気の毒なのでしないでおいた。

今月のUncommonガール

【2023秋号】『東京名酒場問わず語り』レビュー【キ刊TechnoBreakマガジン】

 読んだが良かった。私なぞ、CoCo壱でカレーを食ったと言うだけで、ダラダラと二千字書いたりがザラだ。しかし、『東京名酒場問わず語り』の奥祐介さんは、問われても無いのに語り出しせばきりが無いらしく、出るわ出るわこんなにあるかと言う程の名店に次ぐ名店。知られざる、いや知る人ぞ知る飲み屋さんの真実めいた秘宝がザクザクだった。一章に何件も紹介してくださる、これがすごい。

 大体こんな本は首都圏外の方には無縁だし、奥さんの様な東京者なら既に知っていることでもあるわけだから、誰に需要があるのかと言うと私みたいな田舎者にということになる。東西線の東の端から、南北線の北の果て、行動範囲が広そうでありながら出張は滅多に無いので都会に疎い。こう言う奴にはピッタリだった。

 大塚江戸一、神楽坂伊勢藤、知ってるよ行けるよ、けど行ったことはないのよ。電車降りて、ちょっと足を向けるのが億劫だったもんで。そんな気持ちを払拭してくれる。地図アプリに投稿されている幾多の写真より、筆者の語り口の妙でその気にさせられた。

 どこの職場にも呑助の通人は居るもので、そんなアニキやオヤジが後輩の指導にあたる。そんなご時世は過ぎたので、この本や筆者さんの様な先生に頼るしかない。名店でのお作法も書いてくれているから、こちらからわざわざ恥をかきながら体当たりで学ぶ羽目にならないのも助かる。もちろん紹介されているお店の数々は言わずもがな、勿体無いくらいうんと紹介してくれている。

 ははぁ、掲載誌は小林秀雄特集にロックンロール・ブックの石川一郎氏を呼んだ、あのen-taxiか。当時はそこの編集だった奥さんが、要請されて書き始めたと言うわけね。あの特集も、もう十五年前とは。で、連載されていたものがまとまって、やっと出たのが今年の三月だったと言うわけ。先生、刊行おめでとうございます。現在との齟齬を、各章末の追記が整えてくれているのも嬉しい限り。

 そんな本にサインまでしてお渡し下さったので読んだ。読んだが良かった。毎月必ずもつ焼きの名店を訪ねるぞと息巻いていた頃。東京中を足で探して、知られざる飲み屋の真実めいた秘宝を見つけ出すと言うわけにもいかず、ネット検索を適当にしていた。するとある日、真っ赤な表紙のこの本が引っかかった。高橋義孝さんの『酒客酔話』で止まっている自分からすれば、へぇ、現代の名店案内ってのは便利だろうなと思っていた所だったのだ。

 奥さんは大変エネルギッシュな印象の人で、偉ぶってなくて、お連れの方々もみんな上品ですぐ好きになった。品川の路地裏、店先で煙草を吸っていたら、ここの牛すじが辛いやつでねえ美味しいよ、とみんなを先導して来た。ええ、我々も真っ先に注文しました、さっきまで満席でしたが今は丁度がらがらですよ。と、自然に話せる気さくな人だったが、お連れの紳士が

「東京問わず語りの人、赤い表紙の」

とうっかりもらしたもんだから、私は取って付けたかの様に喜んでしまった。

「ギコウさんのお名前の入った札をね、最近江戸一は外しちゃったんだよね」

高橋義孝さんの系譜に連なる方とお見受けして発言した返しがこれだ。大塚江戸一、気張って行くぞと言う気になった。

 最後に、この本にあった数々のありがたかった中から一つ。神楽坂の伊勢藤にはいせとうとルビが振ってあった。名店の読みを間違えて覚えて居たんじゃ野暮の極みである。たったこれしきのことのおかげで、自分が半可通じゃ無くなったかの様な気がしている。格好佳いね、イゼットの和名みたいで素敵。あとは通うべし。

俺もやっとこういうお店にいける歳になったかと感慨深かった。

【2023秋号十月分】環状赴くまま #024 五反田ー大崎【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕闇の訪れが駆け足になってきた十一月末、五反田駅改札で我々は落ち合った。

この催しにはいつもアシスタント枠扱いで呼んでいるようなものなので、Shoにはいつも謝礼代りの恵比寿ビールを飲んでもらっている。

西口から南東へ向かう。

ここの向こうには、

うどん屋さんの暖簾が渋い。

駅前のああいう蕎麦や饂飩の店舗は、書店ほどかそれ以上の貴重さを感じる。

これは東京都道317号、山手通り。

品川区から板橋区にまで伸びているという。

向こうの左手奥へ。

右手に見えたのは大崎橋、目黒川に架かっている。

向こうには行かず、

左手奥に向かう。

この付近には、先月の宴をした秋田料理わったりぼうずさんがある。

土地のお肉屋さんだ、羨ましい。

もう私の地元にはこういう所は無い。

揚げ物とかは無いのかな。

こんな立地に規模大きめに見えるラーメン屋さん。

これは五反田遊びの締めに持って来いだな。

俺とは無縁の世界だ、羨ましいね。

俺はどちらかと言えばこちら側、オーク族である。

ゲップで会話ができるから、オーク語講座をYouTubeで開講したいと常々思っている。

地図を見誤って、ガード下を通過しそうになってしまった。

この先は環内、踏み込んではいけない地になっているので背を向ける。

そこの橋を渡って対岸を目指す必要があるということだった。

これはふれあいK字橋。

春先の景色を楽しむのには最適な場所だそうだ。

先に行くなというのに映り込む。

非常にわかりにくいが、橋の向こうにも撮影している男女がいた。

女性が被写体、男がカメラマンいやカメラパーソンになっていた。

春先はこの景色に加えて桜が映えるのだろう。

目黒の秋刀魚に目黒川の桜なら俺でも知っている。

王子の狐や飛鳥山の桜との対比が面白く感じられる。

橋を渡り切って向こうへ出た。

振り返ると、

配信か撮影か、一生懸命な表現者の方がいらした。

俺もまた表現者の端くれ、応援しています。

さあ、まだ五反田駅前から目黒川を渡っただけだ、先を急ごう。

さりとて、

真空地帯が続いていく。

はっきりと五反田、大崎の境界は認められないまま進む。

私が真空地帯と呼称するのは住宅街のことだから、語弊があるかとは存ずる。

この間、Shoは以前働いていた大崎に久しぶりに向かうのが楽しみでしょうがないと言った風だった。

道中、そこの職場での人間関係など聞かせてくれて楽しんだ。

Yoshikiリスペクトらしく、外見をそっくりにしているサラリーマンが居るのだという。

Yoshikiとは犬猿の仲で、グラスなみなみの焼酎にホッピーを二、三滴垂らすだけのサラリーマンも居たのだという。

彼ら二人から可愛がられていたShoは、双方が陰口の言い合いをしていたのをエンジョイしながら若手時代を享受したそうだ。

彼らが対立している理由は、仕事に対するスタンスの違いかららしい。

イデオロギーの対立というわけだ。

俺はそれを愚かしいことだと思っているが、現実問題としてそうせざるを得ないということも分かる。

聞かせてもらいながら楽しんだ。

行列しているのは焼肉屋さんのようだ。

大崎駅前が近い。

のだが、西口はさほど栄えている風では無い。

本来ならここでゴールなのだが、Shoの旧勤務先など色々と案内してもらうことにした。

予約の時間までまだ間があることだし。

大崎駅南口を目指す。

やっと、街らしさを感じられるようになった。

駅南口へ通じている通路へ上がった。

向かう先は、

我々が東海道五十三次の撮影で立ち寄った場所である。

Shoはここに勤めるようになって、既視感に襲われたのだそうだ。

なるほど、案内されてすぐに記憶が蘇った。

あの窓に面した座席の一角を占領して動画を撮っていたっけ。

次は、Sho思い出の喫煙所へ案内してもらう。

まあ、このご時世、既に撤去されているだろうが。

ここいらの造りがイクスピアリに似ているのだということもShoからのアピールポイント。

なるほど、雰囲気を強く感じる。

きわめつけはこれ、まんまやん。

喫煙所は案の定無かった。

それでは、この夜の飲み屋さんへ。

とりいち大崎店さん、この日のお通しはビーフシチュー。

西部劇でお馴染みのチリコンカルネを注文すると、クラッカーもついてきた。

これは飲めるなぁ。

鶏ハツのねぎまみれ。

とてもリーズナブルで、それに美味しいものばかり。

二人とも満足して夜が更けた

来月は品川へ行く。

【2023秋号】糞Jun 今月のHustleデッキ#003【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun

 やぁ、みんな!Hustleおじさんさ、ハハッ!エルドレインの森、楽しんでるかい?アレはもうMtGの多元宇宙じゃなくて、ディ◯ズニーユニバースビヨンドって感じがするよね。穴イキ?みたいなのとか居るよね。この仮説を検証しようと例の男を探してみたんだけど、早速見つかったよ。コイツだ。

 じわじわネズミが増えていくコントロール志向とも、軽快に殴っていくビートダウン志向とも合いそうな、器用なネズミだね。コイツはティボルトみたいに、いずれはプレインズウォーカーとして目覚めそうな気がしないでもないんだが、『彼は地上から二足歩行生物どもを一掃し、げっ歯類の帝国へと作り変えるという恐るべき野望を抱いていた』って背景がまさにウォルチズムに溢れているよな。

 さて、本題に入ろう。Uncommon Low Skirmishにおいて、カカシことShoの「カカシが戦ってるわけじゃねえからな」(記事未収録)の発言通り、Junは苦戦を強いられている。現状で二連敗、十月で勝てなければ勝敗の差が絶望的になってしまう。そんなわけで、不本意ながら今月はカカシ・ジジイことShoが作ったデッキを(いつもより書く気はノらないものの)紹介しよう。

デッキ名『アンクル・リファイアー』

 再解雇を名に冠する通り、ジジイ不在のこのデッキは七月にお披露目だった。この対戦では、双方が五月のデッキのリニューアル版を持ち込んでHustleしたという点が非常に劇的だったという事を思い出してほしいね。Jun側は『完成化されたSho』をぶつけた回だ。

 まずは1マナクリーチャーとしてこのデッキの顔とも言える《敬慕される腐敗僧》から紹介しよう。あなたがコントロールしているクリーチャー1体が呪文の対象になるたびに対戦相手に毒カウンターを与えるという、自身の毒性1がオマケにしか見えないような飛び道具を持っている。対象は腐敗僧以外であっても有効なのが強烈だ。コイツとのお供で採用されているオーラが《屍気の拝領》。毒性2を付与しつつ、エンチャントされているクリーチャーが死亡した際に戦場に戻すことができるから、対戦相手としてはうんざりだよな。《腐敗僧》に《拝領》をエンチャントする際にも対象に取るから毒カウンターが飛んでいくんだよね。

 今、見返してたけど、Shoの『アンクル・リファイアー』って他の小粒な毒性持ちクリーチャーが軒並み微妙なんだよね、デッキが強くなりすぎるからこれで良いのではあるけど。《伝染させる吸血者》、《頭蓋穿ちの虻》ここら辺は毒性1の飛行持ちでちょっとした生き物って感じだ。しかしそんな中でも、《ファイレクシア病の甲虫》は攻撃が通ると全領域にいるすべての昆虫クリーチャーが毒性1を永久に得るから、ちょっとでも油断すると猛毒クリーチャーがほんの数回殴っただけでゲームを終了させてしまいかねない、危険なヤツだ。Shoはコイツの攻撃を通し続けるために、ブロッカーを毎ターン除去し続けていったんだよな。

 Shoが採用した除去呪文は《シェオルドレッドの勅令》!これは布告系除去と言われている呪文で対象を取らないため、護法持ちクリーチャーに対して有効だ。以前敵対した《策謀の予見者、ラフィーン》が持っていた護法が余程イヤだったんだろうな。他には《胆液まみれ》も確認したぞ。−4という中々の修正値を誇り、毒デッキにうってつけの増殖付きだから、採用しない手は無いよな。不愉快ながらこのデッキの笑える所は、自分がコントロールしている《敬慕される腐敗僧》に向けてこの《胆液まみれ》を撃ち込んでしまっても、対戦相手が毒カウンターを得ることになるって飛び道具がある点がHustle極まりないね。軽減できない毒カウンター一個で致命傷ってタイミングで最後の一押しを食らうと悔しいよな!

 ではそろそろ、このデッキ『アンクル・リファイアー』の恐るべきHustleギミックを紹介しよう。ここに《強引な養成者》という緑の4マナクリーチャーがいる。コイツは手札に土地カードが無いなら2マナで唱えることが可能だから、早々と戦場に召喚した次のターンで《新生化》を撃ち込むと5マナクリーチャーが戦場に出てくるという訳。デッキ内の5マナクリーチャーは唯一、《荒廃のドラゴン、スキジリクス》だけなので速攻を付与された毒性5相当の空中アタックはゲームエンド級の強烈さだ!

 じゃ、他人のデッキ紹介はこれくらいにしておこう。もしかしたらデッキオーナーのShoがもっともっと魅力盛りだくさんにして構築してあって、俺が紹介し切れて無かったかもなんて事もあるかもな!さっさと勝負が決まりかねないこのデッキは、俺の嫌いなデッキの一つだったぜ。さて、そんな事を言っているうちに、今月つまり十月の俺のデッキも完成したんだ。紆余曲折、またしても十通り位の試作の末に、原型とは全く異なるデッキに仕上がって嬉しいよ。今日この後の第一回戦が楽しみだよ(10/7執筆)!

デッキリストはShoのものであるため割愛。

【2023秋号】第七回戦 希望  Uncommon Low Skirmish -珍法小競合-【キ刊TechnoBreakマガジン】

三週間の激闘から、半月が経った。

争乱から離れた半月だったが、準備は着実に行っていた。

この日も錦糸町、82エールハウスで15時開店の時間キッカリに二人は落ち合った。

今月からShoの提案で、先攻後攻は前回の敗者が選択し、じゃんけんで決めることは廃止となった。

よって、先月敗者のJunが先攻を取った。

【十月一回戦第一試合】

Jun、配られた手札には土地が五枚で過飽和のためマリガン、さらに次の手札には土地が無い、絶望のダブルマリガン、初期手札五枚で開始、これにはShoニンマリだったに違いない、島を場に出してエンド。

ゲーム中盤に差し掛かり、Shoは《スクレルヴの巣》に続いて《太陽冠のヘリオッド》を早々に展開、パワーカードを難なく出していく。

Junは《帳簿裂き》と《瞬唱の魔道士》の合計3クロックの打点でコツコツとダメージを稼ぐ。

ここでSho《アジャニの歓迎》をエンチャントして即《祝福されし者の声》を召喚、これで白の信心が五となり《太陽冠のヘリオッド》がクリーチャー化。

しかし対応してJun、二体目の《瞬唱の魔道士》を召喚、さらにフラッシュバックで《消えゆく希望》を《祝福されし者の声》に唱えて手札に戻す、これにより白の信心が減少したため《太陽冠のヘリオッド》はクリーチャーからエンチャントに戻ってしまう。

《スクレルヴの巣》が毎ターン生み出すダニトークンはブロック制限があるため、Junのクリーチャー三体からの攻撃素通り状態が続き、Sho残りライフ2。

さらにエンチャントされた《執着的探訪》の効果でJunが手札に引き込んだ一枚が、打ち消し呪文の《かき消し》で、先ほど手札に戻されたShoの《祝福されし者の声》がもう一度召喚さそうになるものの、これを打ち消して押し切ることに成功。

【十月一回戦第二試合】

先攻Sho、双方マリガンから開始するが、序盤はShoがJunのクリーチャーを丁寧に除去していく。

Shoがエンチャントした《スクレルブの巣》から生まれるダニトークンを追加コストに捧げることにより、《忘却の儀式》をほとんどデメリット無しの万能除去として運用することに成功している。

《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》はダニトークン生成に必要な1ライフを帳消しにしてくれるShoのデッキタイプに合致したシステムクリーチャーだったが、これはJun《瞬唱の魔道士》からフラッシュバックした《消えゆく希望》で手札へバウンス。

ターン貰ってJun、《瞬唱の魔道士》に《執着的探訪》をエンチャントしてアタック、ダニたちはブロックできないため素通りでワン・ドロー、この時点でShoライフ9対Junライフ17。

ターン貰ってSho、フラッシュバックコストで再び《忘却の儀式》を唱え《瞬唱の魔道士》をも除去しようと試みるも、応じてJunは《送還》を唱えて手札へと救出、さらにこれをShoのターンエンドに素出しして臨戦態勢を整える。

ターン貰ってJun、《瞬唱の魔道士》でアタックしてエンド、手札三枚を構えて動かず、Shoライフ6対Junライフ14。

ターン貰ってSho、手札に戻された《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》を召喚、さらに二枚目の《忘却の儀式》を《瞬唱の魔道士》へ撃ち込んで追放を試みる、これに応じてJun《ゼロ除算》を唱えて《瞬唱の魔道士》を自身の手札へ再度救出、サイドボードから履修する講義カードは《謹慎補講》を選択。

このターン、Shoがダニ二体で攻撃を仕掛けてJunが気付く、ダニトークンが絆魂を持っているのだ。

これは《スクレルブの巣》の効果で対戦相手が毒カウンターを三個以上持っている時に付与されるものであり、最後のライフレースの詰めをしている現状では非常に苦しい。

Sho残りライフ5、Jun残りライフ11だが毒カウンター6。

ターン貰ってJun、土地を出して何もせず、手札四枚構えてエンド。

Sho、戦場に《苦花》をエンチャントの後、ダニ二体でアタック。

これを通してしまうとライフ回復が誘発して最後に削りきれなってしまうので、Jun《瞬唱の魔道士》を召喚し誘発したフラッシュバックの《ゼロ除算》を唱えて《スクレルヴの巣》をShoの手札へとバウンス。

攻撃は通してJun残りライフ9で毒カウンター8、Sho残りライフ4。

ターン貰ってJunに勝利の女神が微笑んだ、トップデッキ《執着的探訪》を《瞬唱の魔道士》にエンチャント、唯一のブロッカー《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》は《謹慎補講》で一時的に無力化してアタック。

Sho残りライフ1。

「グッドゲーム」思わずJunがエモートを送信。

《迫撃鞘》を召喚、即細菌トークンを生贄に捧げてShoに1点ダメージ、ゲームエンド。

対応力の高いカードを引き込んで状況に応じて使いこなす事ができたJunが、デッキぶん回り勝負を制した。

Shoのデッキもパワーカード揃いだったが、自在な対応力が光ったJunの引きの前には崩れた。

ブロッカー不在の状況が向かい風で、相性の悪さに苦戦したと思われる。

【十月二回戦第一試合】

前回敗北のShoが先攻を選択、案の定イゼット・ウィザードを持参していた。

せめてJunはクリーチャー除去を搭載したデッキで当たりに行きたかったが、除去呪文八枚挿しの白赤緑で参戦、九月にはこれで敗北している。

最終的には戦場に

Sho、《対称の賢者》、《戦闘魔道士の隊長、バルモア》、《損魂魔道士》、《ドラゴンの怒りの媒介者》

Jun、《執拗な仔狼》、《不吉な首領、トヴォラー》

クリーチャー出し損のJun、ことごとく除去された結果である。

手札に二枚の除去呪文を抱えて敗北。

【十月二回戦第二試合】

《対称の賢者》に《無謀なる突撃》のコンビネーションであっという間に、ShoがJunのライフを10点ももぎ取る。

展開する狼はことごとく除去されてJunを護るクリーチャーの無いままゲームエンド。

思い出すのも不愉快な試合だった。

【十月三回戦第一試合】

二回戦はSho必殺のイゼット・ウィザードをタダ勝ちさせたような形になったが、いよいよこの日に雌雄が決する。

Junが先攻を選択、島から《秘密を掘り下げる者》、青単クロックパーミッション。

「うげぇ、それ使ってくんのかよ」トラウマ気味のShoが露骨にイヤな顔をした。

緑黒二色土地をアンタップイン、《敬慕される腐敗僧》、接死毒デッキ。

ターンもらってJun、デッキトップはインスタント・ソーサリーではなく《秘密を掘り下げる者》は変身せず、平地から《復讐に燃えた犠牲者、ドロテア》を召喚、4/4飛行が二ターン目は早い。

Sho、《牙持ち、フィン》を召喚。

序盤から双方ノーガードの殴り合いといった様相。

攻撃後生贄に捧げられた《ドロテア》がオーラと化して殴る。

Sho残りライフ11、Jun残りライフ18で毒カウンター四。

《牙持ち、フィン》に《屍気の拝領》がエンチャントされ、毒カウンター五の即死級ワンパンチを《瞬唱の魔道士》を瞬速で召喚してチャンプブロック、《腐敗僧》の攻撃は通ってJun毒カウンター六。

Shoのクリーチャー三体を、Junは《ドロテア》をエンチャントしたデルバーこと《秘密を掘り下げる者》一体では捌けず、妨害呪文も無いまま投了。

【十月三回戦第二試合】

Jun、先攻選択、白青二色土地をアンタップイン。

ターンもらってSho、《多汁質の頭蓋住まい》召喚。

ターンもらってJun、平地を出してエンド、構える。

《消えゆく希望》と《瞬唱の魔道士》を波状に繰り出し、Shoのクリーチャーを都度手札に戻す妨害戦術が効果的に決まっている。

《執着的探訪》をオーラにまとった《瞬唱の魔道士》が攻撃、《消えゆく希望》でブロッカーをバウンスしてドローにつながる。

ターンもらってSho、四枚目の土地を出し《グリッサ・サンスレイヤー》、《多汁質の頭蓋住まい》それぞれ召喚してターン・エンド。

ここでJun長考、実に二分弱、しかし予定通りと言った風に《帳簿裂き》を召喚してから《消えゆく希望》を《グリッサ》に打ち込んで再度バウンス、飛ばない《魔道士》で突撃し接死持ちの《頭蓋住まい》と相討ち。

ターンもらってSho、クリーチャー二体《フィン》と《腐り腹のネズミ》を召喚、待ってましたとばかりに《帳簿裂き》の謀議が誘発して3/5。

ターンもらってJun、《帳簿裂き》のアタックは飛行で通り、Sho残りライフ9に対し、Jun残りライフ13かつ毒カウンター無し。

ターンもらってSho、二体でアタック、応じてJun、《瞬唱の魔道士》を場に出して《消えゆく希望》をフラッシュバック、《フィン》が手札に戻され《ネズミ》の攻撃は通す、誘発した謀議はShoの土地が全て立っているため警戒して土地を捨てる。

第二メインでSho、《牙持ち、フィン》を召喚してから《チーム結成》を唱える、これで再度謀議。

Jun『グッドゲーム』のエモート、返しのターンで謀議で捨てた《ドロテア》を《帳簿裂き》にエンチャントしてアタック、ペインランドで失われた残りライフ8を丁度削り切った。

【十月三回戦第三試合】

Shoは《敬慕される腐敗僧》を二体連続で展開、その後はJunの召喚するクリーチャーをことごとく《胆液まみれ》で除去し、土地が二枚しか立っていないにもかかわらず四分弱五ターンで毒殺に成功。

Junは頼みの綱であるバウンス《消えゆく希望》も《瞬唱の魔道士》も不在であっけなく陥落、文字通り希望は消えた。

もう十分だ、来月のデッキを構築しよう。

現在Junが三ヶ月連続で敗北中である。

【2023秋号九月分】環状赴くまま #023 目黒ー五反田【キ刊TechnoBreakマガジン】

不快な蒸し暑さから解放されつつある九月下旬の土曜。

18:30、前回解散した目黒駅前から出発。

我々の背面には、客入りが悪そうでありながら地の利を活かしてしぶとく存続しそうなパチ屋があるのは前回の通り。

駅に向かって右手のビル。

ここの右に路地あり。

今回進んで行く道はそちら。

どうだろうか。

出発して秒で、もうすでに駅前感が失われてしまったのに気付いただろうか?

衝撃である、ここが目黒だと答えられる者もそうあるまい。

路地這入ってすぐに洒落たバー、こういうのがあると目黒にいるんだと安心する。

洒落たバーなぞ何処ででも営業しているだろうが、目黒に在って欲しい一軒。

右上に十字架が見えるが、カトリックの施設が複数寄り合っているようだ。

いつもの線路沿いは渋谷区からあまり変化が無いように見える。

陽が出ていれば印象は異なるのだろうが。

季節感の無い私はハロウィンイベントかとトチ狂ったことを思ったが。

何らかのパーティ会場のようだ。

出入りする男女が散見された。

この日は9/30だった。

Shoに覗いてみるかと言ってはみたが、我々はすでにエビスの缶を飲み歩いていることだし、わざわざ割高なクラフトビールを、カップルたちに混じってまで飲むことは無いと結論した。

大通り、都道418号に出た。

左手は山手線の高架下。

頭上には首都高速2号目黒線。

目黒ー五反田間の境界と言えるか。

横断歩道渡って、さらに進む。

路地の寂しさは変わらない。

が、すぐに雰囲気は様変わりして駅前が現出。

ホテルが軒を連ねている、これが五反田だ。

五反田に対する先入観のほとんど全部がこの景色に詰まっている。

西五反田だからNISHIGO。

カジュアルスナックとあるが、比較的廉価なキャバクラの類と言えよう。

この界隈は高くつくのだろうね。

こういう所の「大衆」にはつい良心を期待してしまう。

餃子と唐揚げ、贅沢を言わない労働者には十分すぎる優しさだ。

路地から再度、大通りに出た。

今調べて驚いたが、これは国道1号なんだそうな。

国道1号はこの向こうずっと行って日本橋から始まり、大阪府大阪市梅田で終わるのだという。

ちょっと吃驚、五反田が国道1号の経絡となっているというのはヒストリックで感慨深い。

裏通りの印象を全く感じさせない味気ない駅ファサード、恵比寿も目黒も、何なら大塚駅前もこんな感じにJRナイズされていると言える。

秋田料理わったりぼうずさんにお邪魔した。

どこも値が張りそうな中、こちらにお邪魔してもそう損な感じはさせなかったためだ。

豚肉と玉ねぎをジンギスカン鍋ですき焼き風にする「十和田バラ焼き」をメインに。

一人前丁度千円、これなら悪く無いだろう。

かさごの唐揚げ、これなんか雰囲気を食う料理な感じがするが。

気軽に注文する物では無いが、まあ美味いは美味い。

それと刺身盛り合わせ。

まぁこういうのもどこでも食べられそうな気はするが、鮮度は良く感じた。

他にお客も少ない中で、よくもてなしてくれたように思う。

次回は大崎。

行ったことの無い土地が続くが、地図を見るとすごく短距離である。