7周年に花束を

Jun「あ〜ぶ、あ〜とあ〜ん、あ〜ふ」

一同「あぁ?」

Jun「あ〜ぶ、あ〜とあ〜ん、あ〜ふ」

一同「???」

Jun「あ〜ぶ、あ〜とあ〜ん、あ〜ふ」

Sho教授「分かったぞ、これを録音して逆再生すると・・・」

『は〜な〜た〜ば〜』

Shun「花束?どういう事だ?」

Sho教授「アレだ、アレジャーノンだ」

Shun「それが逆再生ということは・・・」

Sho教授「今は白痴みたいになっているが、じきに知性を獲得して、邪悪なる存在になっちまうんだよ、この逆アレジャーノンの場合は!!」

Shun「ど、どうするんだよ!」

Sho教授「決まってるだろ、今のうちに射殺だ!!」

鳴り響く銃声

吹き荒れる火花

むせ返る硝煙

飛び跳ねる弾丸

Junは、Junの目はキラリと妖しい光を、放った。

「ぐえぇ・・・」

喉笛を押さえた教授がその場に跪く。

ぼとぼとと、真っ赤な血溜まりが床にできる。

『間に合わなかったんだ』

幸いにも危害を加えなかったShunは敵と認識されていない。

逃げなければ、とにかくここから離れなければ!

倒れた既婚者の教授に背を向けて、扉に向かって走る。

手をかけたドアノブを回し、引く。

何事もなく扉が開いた。

闇に向かって走り出す。

『ゆっくり、休んでくれ。半年ぐらい。』

教授に対する別れの言葉を胸に抱き、闇に向かって走り出す。

路地裏から表通りまでの十数メートルは長く感じた。

突き当たりのT字路をマクドナルドのある左方向へ。

ここまで来れば、人通りも増え、車の往来もある。

ひとまず安心できるところに来ることができた。

高架下をくぐり抜け、足はそのまま東口方面へ。

ぜいぜいと息を切らしているのは恐怖によるところが大だ。

アルタ前を走り抜け、転がるように博多天神に這入る。

二階席へ駆け上がる。

ここまで来れば、もう、大丈夫だろう。

バンド7周年パーティ。

ささやかに開く前に、スタジオ入りしたのが運の尽きだった。

Junは変質した。

Shoは死んだ。

残っているのは、俺だけ、か。

献杯の意味でビールをひと瓶注文する。

それと同時に一杯のラーメンが届く。

早いな。

彼奴らも、早過ぎなんだよ・・・。

おろしニンニク

紅生姜

辛子高菜を入れる。

割り箸を割る。

パキッという音を合図に店の電灯が一斉に落ちた。

Jun「え〜ぐ、あ〜〜〜る、あ〜く」

Jun「え〜ぐ、あ〜〜〜る、あ〜く」