「好きな映画は何か」と聞かれたら、俺は相手を選んでこう返事する。
「『許されざる者』だ」と。
「あれは大人になった、男から漢になった、女からをんなになった、俺たちのためのアンパンマンだ!」と声を大にして言うだろう
だが、本当に気心の知れた、あるいは心を許したいと思える相手には
「『マーズ・アタック!』一択だ!」と言葉を贈る。
今夜、俺はババァに関する詩を書きたい。
よみがえれババァ、俺の腕に抱かれて。
ご存知、ティム・バートンの奇形趣味。
ジャック・ニコルソンのジョーカーも素晴らしいが、続く『リターンズ』では何とペンギンとキャットウーマンがダブル悪役で登場し、以降の流れを、トゥーフェイスとリドラーのように決定付けた。
下水育ちの醜男&神経症染みたOLが強い力で中指を立てるような様は、見ていてなんとも共感を禁じ得ない。
(最新作『ザ・バットマン』ではペンギンを演じるコリン・ファレルの原型も留めない特殊メイク&キャットウーマンを演じるゾーイ・クラヴィッツの予想を裏切る期待以上の魅力など見所満載だった。)
その奇形趣味が遺憾無く発揮されているのが、『マーズ・アタック!』である。
脳味噌から目が飛び出したような火星人もさることながら、ババァだ!
このババァ、もうほとんど呆けてやがる!
漫★画太郎が描くババァの腕力を全て呆けに振ったかのようなババァ!
お前のようなババァがいるか!!
いたとしたらよぁ…てめー俺だってそうしたぜ!
『マーズ・アタック!』が俺のババァ趣味に火を付けたんだ!
どう考えたって、俺と、一緒に暮らしてるギネスババァを描いた作品だ!
(ギネスババァとはShunメンバーが家に来た時に、俺の祖母が着ていたTシャツにGUINESSのロゴがデカデカと書かれていたから以来そう呼ばれている、呆けてはおらず頭はしっかりハッキリしている。)
とにかく、観ろ!(雑)
現代の逆姥捨山がそこにある。
男よ、孫よ、無力なままで居てはならぬ。
さて、俺はジブリが嫌いだ。
バランスを取るためにディズニーも嫌いだと言っておく。
だが!
嫌いなジブリにもババァは居る。
ここは湯婆婆とかいうババァが経営しているから、『ババァの湯』だろうか…。
ん……んん〜?
これはババァじゃなくて奇形だ!
俺はババァが好きなんだ、奇形じゃねぇ!
何だこのババァ、ガンジャガンギマリ夏木マリがCVか!
ガンジャ「お客の全ては生かして於けぬ」
とか言って、ババァがミサイルみたいになって雲戻しガスのタンクに穴を開けた例のシーンは普通に泣いた(雲の王国)。
あれババァ出てないのに普通に泣けるの何でだろうか。
のぶ代がババァだからだろうか。
あと、カリオストロとジョドーみたいなババァいるよね。
これだ!
「あたしゃ、電気が嫌いだよ!(大事なことなので)」
このババァ達がたまらねえんだ!
テクノも嫌い、実写だったらピエール瀧かな。
白内障気味白髪のババァと力を合わせて、二人が身分と貧富の差をこえて作った渾身の鰊のパイを、小娘が一瞥するなり
「ババァのパイは食えたもんじゃねぇ!」
って呪詛をまともに浴びたせいで、魔女が魔力を失う展開には大いに得心するところがあった。
嫌いなものは嫌いと全力くそデカVOICEで言い放つ、その態度嫌いじゃないぜ。
だから俺からも言ってやる。
「オメェもいずれはババァになるよ!」
って、たまたま4/29の金曜ロードショー、魔女の脱臼便かよ!
最後、落下するガキを間一髪でキャッチしたときいわしたよね。
渡に船というか、三途に脱衣婆よろしく流し見た。
そしたら、ババァ!
二度も出てくるのかよオイシイなぁ。
ジョドー寄りのババァ、バァサって名かよ、ババァだな!
箱を開けたらチョコケーキ「運び屋本人が自分自身に届けろ」って依頼…あれか?
これ「Get Backersー奪還屋ー」だ!
ジャスト一分だ、夢は見れたかよ。
この映画、ババァ二人の悪夢か?いやいや。
魔法が使えないと何の取り柄も無いって?
「プログラミングの勉強したら結構いろいろ出来るよ」
ババァ、アドバイスが的確だな!
聖剣エクスカリバーならぬ、ババァ切り安綱ってあるよね。
漫★画太郎も(全然別のいつものクソ漫画として)コミカライズした、世界の名作『罪と罰』にそれは描かれている!
いや、ただの斧なんだけどさ。
ん〜、なんつうか、ババァを斧で切った話蒸し返してたら、俺の中のババァ成分がもう切れちまったみてえだな。
取って置きのババァを出して終わるか。
これだよ!
八つ墓村の岸田今日子は一粒で二度美味いぜ!
この岸田今日子の魅力を何遍でもしゃぶり尽くせるのが『御家人斬九郎』だ!
世界のケン・ワタナベといなせな若村麻由美、ここにババァが絡む!
松平麻佐女は九人産んだ肝っ玉バアさんで、家柄を誇っているものの超貧乏(ウチのギネスババァは本名を正子というのに妙なシンパシーを感じる)。
斬九郎は「かたてわざ」という副業を稼ぎにしているが、上りは麻佐女が高級料亭の食い道楽に注ぎ込んでしまうから親子喧嘩が絶えない。
しかも麻佐女は薙刀の達人でその腕前には斬九郎も敵わない上に、平気で抜刀し恐喝恫喝罵詈雑言のキチママだ!
このババァが鬼の形相から一転、斬九郎の稼ぎをヒョイと受け取っては「こればかりじゃ雀の涙」などと言いながらえも言われないラリ顔(脳内飲食によるエンドルフィンMAX状態のご様子)を見せるのだ。
もうね、岸田今日子さんを見るための時代劇なのだ、岸田今日子さんが居なければシーズン5まで続かなかっただろうね。
以上がババァを出汁にした記事だ、美味かったろ。
かちかち山の伝統を継承した、正真正銘のババァ汁である。