【十一月号】環状赴くまま #013 大塚ー池袋 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕方になるともうすっかり暗くなる、この季節は少し苦手だ。

三時ごろに感じる斜陽は物悲しくて、やり切れなくなる。

日暮里ー西日暮里間の頃に声をかけていたが実現しなかった職場の後輩Cを誘って、彼の大好きそうな街、池袋へ向けて出発する。

幸いにも仲の良い業者のO氏が来ていたので、バンで大塚駅まで送ってもらった。

赤信号で止まり、ここで降りるかと外に出た途端に信号が変わった。

礼を言う暇も無く、車は走り去った。

O氏、ありがとう、この場を借りて謝意を表明したい。

もっと奥へ進めば大塚駅前なのだが、またここまで戻ってくるのもバカらしいので、近くのコンビニへ向かう。

寒さはそれほど厳しくないのがありがたかった。

ファミチキでビールが飲みたいと提案、近頃毎晩のようにファミチキビールで地元の帰路を飲み歩いている。

これではファミキチだ。

18時40分、出発の乾杯です。

Cはたまに日中の出張でここら辺を歩くことがあるのだという。

ただ、夜は初めてとのこと。

私もこっちには来ない。

大塚に魅力的なお店を多く知っているのだが、来る機会が全く無い。

さて、一旦線路に対して平行よりやや角度のついた通りを進んだ。

突き当たりの交差点を左に折れて、橋の方へ登っていく。

この先に橋がある。

信号待ち、左手。

この道から進んできてもよかったが、ファミチキ優先コースが今までの道だ。

空蝉橋。

明治天皇が蝉の抜け殻のついた松の木を近所で見たのがその名の由来だとか何とか。

この下を山手線が走っている。

ここから右へずっと向かう。

空蝉橋から見た右手。

渡ってずっと進む。

後輩のCはここの分岐にめざとく勘付き、私から聞かれる前に路地へ行こうと申し出た。

何も言われなければ、一旦右へ行っていたかもしれない。

Cはこういう道が好きなのだと言う。

そんな人って居るんだと思いつつ、上野から鶯谷へ向かう途中の路地を思い出した。

Cに話すと知っていたようで頷いていた。

路地を抜け、駒込ー巣鴨ー大塚によく見られたような道に出る。

向こうに橋がある。

栄橋というらしい。

橋の上からいつもの一枚。

さらに先へ向かうが、線路沿いから少々離れることとなる。

少々入り組んでいるが、なるべく線路から離れ過ぎない道を選ぶ。

進行方向左に線路があるのだが、行き止まりの様なので右へ。

騙し絵のようなポスターが並んでいた。

夜に見たらちょっと驚いてしまうのではなかろうか。

通りに出た。

兆峰さんは中華料理店、私の大好きな感じのメニューが出されるようだ。

駒込、巣鴨にあるときわ食堂さんは和食だが、中華もたまらなく良い。

ここを左へ折れて真っ直ぐ行く。

分岐。

線路は左方向だが、敢えて右を選んでみた。

後輩Cはここら辺の軒先にノスタルジーを感じていたっけ。

結局すぐに、線路沿いの路地に合流。

なんか、

うろうろせず、真っ直ぐ進めば着くんだ、という安心感があるな。

こういう線路沿いって。

今回、何度目かになる橋。

宮中橋。

はるか向こうに池袋の街並みが待ち受ける。

だが、街と街とをつなぐ道は、まだ続く。

Cと話した。

大塚からこんな風に池袋へ向かう人は、在住の方々以外に居ないのではないかと。

池袋は色々な方法で行くことができるから、わざわざ歩きを選択する人は少なそうに感じたのだ。

堀之内橋。

おっと、今までの橋とは様相が違って、空蝉橋に似た感じだ。

やっと街が、ここからははっきりと池袋エリアか。

振り返るとクラフトジンのバーがあった。

街にバーあり、道にバーなし、と言ったところか。

ここはインターナショナルバーであるとのこと、今度行ってみよう。

橋の向こう側。

見ずらいが、二階に中国卓球とあるレッスン場。

その下、電飾が目立っていたが写りが悪くて恐縮。

RECORD、CD、BEERと光っていた。

掘り出し物があるという噂のレコード店、疲れたらクラフトビールで一休みというのもできるらしく、好きな人は徹底的に好きなお店だろう。

橋の横断歩道を渡って、さらに向こうへ。

さっきから見えていたあのオベリスクは、清掃工場の煙突であるらしい。

縁石の上に立ち、カメラを高く掲げてフェンス上部から撮影。

今までの道では見られなかった光に溢れている。

後輩Cはしきりに「汚ねえ光」と言っていた。

一応、同意しておきはしたが、彼がどういう本心で発した言葉かは窺い知れない。

首都高の下だったか。

地図上では分からなかったが、まだ先へと連れて行ってくれる。

歩道橋で埼京線の線路を跨ぐ。

池袋駅は目の前である。

ここは池袋大橋というらしい。

空蝉橋とか堀之内橋とか、橋の名前に詳しくなるのが線路沿い歩きの副産物かな。

ラムセスという、ファラオの名を冠したラブホテルが不遜で可笑しい。

なんだか大塚からの道中は、何もかもが池袋寄りに引き寄せられてしまった、真空地帯か虚空ででもあるかのようだと気付いた。

もちろん、何もないわけではない、道があるのだが、それにしても。

池袋大橋から階段で降りた。

同じ街並みだが、視点が変わるとこれほどまでに見えるものが変わるか。

向こうに歓楽街が広がっている。

勤め先から見て、池袋はかなり近場と言えるのだが、この界隈はもっと詳しくなりたいな。

今までの人生何をしてきたのだろうか、なんてふと思ってしまう。

このまま煌びやかな街に溶け込んでいくわけでもなく。

西一番街中央通りのお店へ這入った。

せんべろハシゴというのは基本スタンスだったが、次回は一人で歩こう。

それでも、生牡蠣四つで四百円、知る人ぞ知るお店だ、UOKINバルさん。

私があまりの勢いで食べるものだから、後輩Cは二つも寄越した。

カルパッチョのLサイズ、これで3〜4人前だという。

後輩は少食な方なのだが、男二人ならこれが嬉しい。

他には白子のフリット、牡蠣フライなど。

帰りは山手線で高田馬場から乗り換え。

懐かしい街に近付いてきた。

次回は初の目白、一人歩きにはもってこいな街という気がする。




編集後記

 ギャラクシーエンジェルのBlu-ray BOXを自分の誕生日プレゼントにして鑑賞していたのだが、怠惰が重なって記事にするのが遅れた。酒客笑売は仕上げていたので先に更新しておくべきだった。最近多いが月末に記事が立て込むというのも、こちらとしてはスケジュール通りという感じである。今月のテーマは精算と総集編、言い過ぎか。兎も角、誕生日おめでとう、自分。