【2024冬号十二月分】環状赴くまま #026 品川ー高輪ゲートウェイ【キ刊TechnoBreakマガジン】

年末は双方都合が悪く、明る二日に顔合わせ。上野、正確には御徒町だが、一時半から北野武監督『首』を鑑賞し、興奮冷めやらぬまま品川駅16:40スタート。

東側港南口、交番前で乾杯。

前回ゴールだった飲み屋街を突っ切る。黄昏時の、佳い時間帯だった。

飲み屋客引きラインは越えた。

だが、お店は在るには在る。東京ラムストーリー、この場では例の曲が流れていた。一二階のダブルフロア構造で攻めている。

突き当たりを左折するのだが、そこにあったのはなんとマルちゃんでお馴染み東洋水産さん、年越し蕎麦でもお世話になりました。

左折ブロックのビルでも飲食店が豊富にあった、なるほどなぁ。

左折してここを真っ直ぐ歩いていく。

事前に地図を見る限り、ここから先は直線で短距離だったから、今回は詰まらないだろうなと予想していた。

大通りから見て左側、山手線の線路方向。

三が日だから人も車も無い、静かで広大な街だった。

先へ。

先へ。

Shoが左手のビルに関して何か気付いたらしい。

「レーザー軌道の誘導がついて、あのビルの隙間から宇宙戦闘機が次々に発進しそうや。サイドに取り付けられてる発電機は原子力なんや」

右手に新港南橋、奥のビルは建設中で壮大さを感じる。

左手に浄水センターらしき広範囲の施設があった。

こんな日に利用者が居るとも思えないバス停。

とここで、この道を先に進んでしまうと高輪ゲートウェイ駅通り過ぎて、迂回して戻る羽目になってしまう事に気付いた。

振り返ると、ソニーグループ本社ビルがそびえる。

線路方面へ向き直って進行。

先ほどから絵になる景色ばかり撮れている気がして満足だった。

高輪ゲートウェイ駅は、東京オリンピックに際して臨時営業のために設けられたという。

本営業開始は2024年度を予定しているそうだ。

その街が、今もなお造り出されようとしている。

路地を右折。この先にゴールがあると地図が指す。

東京タワーを眺めさせてくれたのは意外な収穫だった。

「侵入者にレーザーを照射する装置やな」

連絡用電話と明記されているが、Shoの見立ては今日豊富に出てくる。

さて、ふと思ったが、ここが品川と高輪ゲートウェイとの境界だろうか?まぁ、この路地に入った所からとしても良いが。

さっき眺めた建設途中のビルだろうか。

右手、まだ浄水センターの敷地が続いている。

左手に仮設の集合住宅と思しき建物、有針鉄線は『首』で登場した撒き菱を連想させた。

右手に見られたのは芝浦水再生センターと言うらしい。

『2001年宇宙の旅』に登場する人工知能搭載コンピュータ、HAL9000とコミュニケーションを計ろうとするSho、今月は新春大サービスといった様相。

左手にはずっとJRの施設が続いていたらしく、やはり先の有針鉄線は居住棟だったのではなかろうかと判断される。

ここで地図を確認すると、おいおい環外から駅に侵入する経路は用意されていないぞ。

よく見ると突き当たりに細くトンネルが用意されているようだ。

それがこの先、警備員さんが立っている地点。

トンネルのためのトンネル、それ以外の何物でも無いようなトンネルだ。

もうすぐ外に出られるぞ、という所で急に高さが頭スレスレになった。

そう言えば、真・女神転生Vの品川ステージでは、こんな風なトンネルがあったのを思い出した。

出るまでに三、四人いらした警備員さん達には、明けましておめでとうございますの挨拶をしながら、非常に快い気持ちと共に外へ。

おお、あれに見えるはAPAホテル、さっそく先行投資で抑えてるって訳かしら。

通りに出て足元から見上げて撮影。隣の東急ステイに対して完全にマウントを取る形だ。

はっきり言って、既に山手線環内にいるので、撮影の必要は無いし、してもいけなさそうなのだが、如何せん駅まで着く順路が環外からは無いため取材続行。

おっとその先、あれが地名に聞く泉岳寺か!マウント合戦の圧倒的敗者である様に見えるのだが、わざわざ土台を高めているくらいだから建立時にはマウント最高峰だったんじゃなかろうか。江戸川橋のウチの墓も古今の後出しジャンケンで周囲に遅れを取っているから分かる、気がする。

通りから左折して、明らかに仮設のコの字型路地へ入る。ここの先を右折すれば駅があるはずだ。

謎のヴェールに包まれていたが、やっとやっと、高輪ゲートウェイ駅の全貌が顕になった。

上へ登って、駅改札に到着。報道で叩かれていた明朝体の駅名が眼前にある。

無人コンビニらしい。全体的に最新の駅だけあって、何もかもピカピカしていて、駅自体のちょっとした照れっぽさみたいなのも感じられた。

ご覧の通り、高輪ゲートウェイ駅周辺には飲み屋さんの類は未だ一切無いため、他所の駅へ行って本格四川料理に舌鼓。この後、向かいの男が回鍋肉に花椒を振り掛けようとするのだが、出来の悪い芝居の様に内蓋が外蓋に癒着してしまっており大量に撒き散らす。豚肉の一片に大量にこびりついてしまったヤツを、何の気無しに口に入れてからと言うもの、Shoの味覚の一切は甘味と塩味との反復で、仕舞いにはご飯が甘いと言う始末。

【2023年冬号十一月分】環状赴くまま #025 大崎ー品川【キ刊TechnoBreakマガジン】

この日は事情により日曜、明日の業務のため少々早めの集合となった。

生憎の空模様だったが、雨に降られていなかったのには救われた。

ここは先月も通ったのだが、ともかく品川へ向かう。

今回、山手線が下に凸となっている最下限をぐっと上に向かうのだという感じは、事前に察知していた。

それにしても曇り空の午後というのは、絵にならない。

そういう回が差し挟まれているというのも悪くは無いか。

大崎は、駅ビルに商業施設が集約されているらしく、早速街らしさが無くなった。

街と街とを道がつなぐ。

ここは堂々たる道だ。

目を引く大きな広告。

昔、さわ〜のつる、というCMがあったのを思い出した。

調べてみると灘の酒製造業で長い歴史を持っているようだ。

現在地から前進するのは湘南新宿ライン。

この先の歩道橋を渡って、山手線に沿う必要がある。

歩道橋が架かっている。

さっきの広告がこちらを向いている。

「あのタワーマンションの下層民は、真夜中でもあんな電光でビカビカやられて大変だな」

「いや、下層民は酒浸りだから、かえってそれが幸せなんだろ」

そんな下らないことを話した。

横須賀線と東海道新幹線の高架。

第一三共さんの施設は、当時は分からなかったが、この先一帯を占めている。

まさにこの道沿いが山手ループの最下限となる。

ここから先はぐっと、北へ北へとなるわけだ。

山手線の下部はきゅっとすぼんでいるような形だ。

JFTD、花キューの本社だ。

知ってる企業の名称が散見されて面白かった。

建物には射出口のようなものも見られるが、あれは一体何なのだろうか。

すぐ目の前に目黒川が流れている。

橋を渡る。

これが目黒川だ。

おや、

花キュー薄!

この橋の名を三嶽橋(みたけばし)という。

みたけの由来が、読む限り三通りほどあるようで面白い。

線路沿いの道が無いようなので少しずれつつ、そこの歩道橋を渡る。

そう言えば、今回の大崎ー品川間は、地図で見た感じだと間隔が長いんだった。

それなりの時間を歩いている気がしている。

見えないが、そこに路地があるので左折すれば良さそう。

ズームして見えるようになった。

コーンが置かれている所だ。

が、ここまで来て地図を見ると、先にあるのは寺社のみで行き止まり。

島倉千代子の墓もあるそうだ。

沢庵和尚、賀茂真淵も眠っているようだ。

高架をくぐって左回りに進行する。

先に行くと小学校が左手にあった。

グラウンドでサッカー部が活動を終えたところで、解散していた。

児童も指導者もお疲れ様です。

品川区立品川学園。

中の様子までは写さなかったが、照明設備が充実していた。

山手線路沿いから少々外れたのだが、路地へ入って駅の方へ向かう。

なるほど、目黒川を越える前は企業の施設が目立ったが、こっち側は住宅街って感じなんだな。

向かっているのは品川、こういうイメージってあんまり無かった。

ゆるやかな坂道を登っていくと公園がある。

子供たちが遊び終えて帰ろうとしていた。

公園があるのは嬉しい、我々もたまに飲酒のために立ち寄る。

権現山公園という、二等辺三角形に近い形の小さな公園。

坂の上は鋭角の頂点。

ひらけていて、急に見晴らしが良くなった。

住宅街の終焉だろうか。

この先は北品川だが、御殿山という地名がつく施設が多い。

山手線と再び合流できた。

が、線路沿いの道は再度無くなっているので、また迂回する。

線路に背を向けて前進。

最初の路地を左折して迂回。

そこの突き当たりで、また線路に接近した。

こんな警告、目についた方が真似するのが増えそうに思うが。

それ以前からよほど、迷惑行為を行う連中が多かったのだろうか。

また迂回。

この先の明るさが先ほどまでとはちょっと違う。

いや、やっと夜の帳が下りて来たのか。

京急北品川駅。

駅の規模に駅前の規模が準じているかのようで面白い。

ここは国道15号の途上。

地元に国道14号があるので、それの次がここというのが驚きだ。

日本橋から神奈川県横浜市までの30キロ弱を結ぶ。

15号を直進すると、環内に侵入してしまうので右へ逸れる。

この周辺には品川宿を紹介するような掲示が多いようだ。

八ツ山通りの歩道橋から。

コの字状に渡って向こう側へ。

さっきまでとは打って変わって、ビルだ。

品川らしさが、イメージ通りのらしさが感じられてくる。

品川の、街、道、住宅地が混然となって去来する。

切り取られた一側面が全て、この街を形成している。

そういうことに気付けるのが、この環状赴くままの良さだ。

ビルからすぐに出て、ようやく線路沿いへ。

この辺りが史跡、旧品川駅。

駅は目前なのだが、この周辺は旧街道然としている。

街の灯りはビルが一手に引き受けているのだろう。

洒落たホテルが街路樹をライトアップさせている。

歩いているのも我々くらい、静かな所だ。

駅の表示、ここでゴールとしても良い。

だが、駅前らしさってのが全然無いのが面白い。

この中が城塞なら、外観は堅牢そのものである。

こちら側は港南口と称されているようだ。

品川セントラルガーデンという細長い敷地はクリスマスムードのイルミネーションで装飾されていた。

港南口交通広場、やっと駅前感が出た。

小心者の私はホッとしている。

広場の先にある通りが飲み屋街。

どこにするかブラブラ歩く。

小池袋然としており、客引きが散見された。

で、そこのさらに路地裏。

と言うか裏路地。

何処を如何間違えればこんな所に這入り混むんだという風な隠し通路だ。

Shoの以前の勤め先が近くだったそうで、その案内が無ければ完璧に見落としていただろう。

小池袋と言ったが、ここは小新宿、思い出横丁みたいだ。

で、這入ったお店、その名も路地裏。

店頭には数々の取材の記事を張り出しており、それならばと入店した。

辛い牛すじ煮込みが名物らしい。

牛のたたき風、これはナカナカ優秀なつまみだった。

我々の入店後に続々と来店があり満席に。

店先でタバコを吸っていると、まさかの邂逅があったのは先月末の記事の通り。

長居したくて余計な酎ハイを最後に追加。

味はリポD、効果は全く感じられなかった。

次回、いよいよ高輪ゲートウェイへ。

地図を見る限り徒歩五分程度の距離。

駅前は公園だから、飲み屋の類は全く見当たらない。

【2023秋号十月分】環状赴くまま #024 五反田ー大崎【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕闇の訪れが駆け足になってきた十一月末、五反田駅改札で我々は落ち合った。

この催しにはいつもアシスタント枠扱いで呼んでいるようなものなので、Shoにはいつも謝礼代りの恵比寿ビールを飲んでもらっている。

西口から南東へ向かう。

ここの向こうには、

うどん屋さんの暖簾が渋い。

駅前のああいう蕎麦や饂飩の店舗は、書店ほどかそれ以上の貴重さを感じる。

これは東京都道317号、山手通り。

品川区から板橋区にまで伸びているという。

向こうの左手奥へ。

右手に見えたのは大崎橋、目黒川に架かっている。

向こうには行かず、

左手奥に向かう。

この付近には、先月の宴をした秋田料理わったりぼうずさんがある。

土地のお肉屋さんだ、羨ましい。

もう私の地元にはこういう所は無い。

揚げ物とかは無いのかな。

こんな立地に規模大きめに見えるラーメン屋さん。

これは五反田遊びの締めに持って来いだな。

俺とは無縁の世界だ、羨ましいね。

俺はどちらかと言えばこちら側、オーク族である。

ゲップで会話ができるから、オーク語講座をYouTubeで開講したいと常々思っている。

地図を見誤って、ガード下を通過しそうになってしまった。

この先は環内、踏み込んではいけない地になっているので背を向ける。

そこの橋を渡って対岸を目指す必要があるということだった。

これはふれあいK字橋。

春先の景色を楽しむのには最適な場所だそうだ。

先に行くなというのに映り込む。

非常にわかりにくいが、橋の向こうにも撮影している男女がいた。

女性が被写体、男がカメラマンいやカメラパーソンになっていた。

春先はこの景色に加えて桜が映えるのだろう。

目黒の秋刀魚に目黒川の桜なら俺でも知っている。

王子の狐や飛鳥山の桜との対比が面白く感じられる。

橋を渡り切って向こうへ出た。

振り返ると、

配信か撮影か、一生懸命な表現者の方がいらした。

俺もまた表現者の端くれ、応援しています。

さあ、まだ五反田駅前から目黒川を渡っただけだ、先を急ごう。

さりとて、

真空地帯が続いていく。

はっきりと五反田、大崎の境界は認められないまま進む。

私が真空地帯と呼称するのは住宅街のことだから、語弊があるかとは存ずる。

この間、Shoは以前働いていた大崎に久しぶりに向かうのが楽しみでしょうがないと言った風だった。

道中、そこの職場での人間関係など聞かせてくれて楽しんだ。

Yoshikiリスペクトらしく、外見をそっくりにしているサラリーマンが居るのだという。

Yoshikiとは犬猿の仲で、グラスなみなみの焼酎にホッピーを二、三滴垂らすだけのサラリーマンも居たのだという。

彼ら二人から可愛がられていたShoは、双方が陰口の言い合いをしていたのをエンジョイしながら若手時代を享受したそうだ。

彼らが対立している理由は、仕事に対するスタンスの違いかららしい。

イデオロギーの対立というわけだ。

俺はそれを愚かしいことだと思っているが、現実問題としてそうせざるを得ないということも分かる。

聞かせてもらいながら楽しんだ。

行列しているのは焼肉屋さんのようだ。

大崎駅前が近い。

のだが、西口はさほど栄えている風では無い。

本来ならここでゴールなのだが、Shoの旧勤務先など色々と案内してもらうことにした。

予約の時間までまだ間があることだし。

大崎駅南口を目指す。

やっと、街らしさを感じられるようになった。

駅南口へ通じている通路へ上がった。

向かう先は、

我々が東海道五十三次の撮影で立ち寄った場所である。

Shoはここに勤めるようになって、既視感に襲われたのだそうだ。

なるほど、案内されてすぐに記憶が蘇った。

あの窓に面した座席の一角を占領して動画を撮っていたっけ。

次は、Sho思い出の喫煙所へ案内してもらう。

まあ、このご時世、既に撤去されているだろうが。

ここいらの造りがイクスピアリに似ているのだということもShoからのアピールポイント。

なるほど、雰囲気を強く感じる。

きわめつけはこれ、まんまやん。

喫煙所は案の定無かった。

それでは、この夜の飲み屋さんへ。

とりいち大崎店さん、この日のお通しはビーフシチュー。

西部劇でお馴染みのチリコンカルネを注文すると、クラッカーもついてきた。

これは飲めるなぁ。

鶏ハツのねぎまみれ。

とてもリーズナブルで、それに美味しいものばかり。

二人とも満足して夜が更けた

来月は品川へ行く。

【2023秋号九月分】環状赴くまま #023 目黒ー五反田【キ刊TechnoBreakマガジン】

不快な蒸し暑さから解放されつつある九月下旬の土曜。

18:30、前回解散した目黒駅前から出発。

我々の背面には、客入りが悪そうでありながら地の利を活かしてしぶとく存続しそうなパチ屋があるのは前回の通り。

駅に向かって右手のビル。

ここの右に路地あり。

今回進んで行く道はそちら。

どうだろうか。

出発して秒で、もうすでに駅前感が失われてしまったのに気付いただろうか?

衝撃である、ここが目黒だと答えられる者もそうあるまい。

路地這入ってすぐに洒落たバー、こういうのがあると目黒にいるんだと安心する。

洒落たバーなぞ何処ででも営業しているだろうが、目黒に在って欲しい一軒。

右上に十字架が見えるが、カトリックの施設が複数寄り合っているようだ。

いつもの線路沿いは渋谷区からあまり変化が無いように見える。

陽が出ていれば印象は異なるのだろうが。

季節感の無い私はハロウィンイベントかとトチ狂ったことを思ったが。

何らかのパーティ会場のようだ。

出入りする男女が散見された。

この日は9/30だった。

Shoに覗いてみるかと言ってはみたが、我々はすでにエビスの缶を飲み歩いていることだし、わざわざ割高なクラフトビールを、カップルたちに混じってまで飲むことは無いと結論した。

大通り、都道418号に出た。

左手は山手線の高架下。

頭上には首都高速2号目黒線。

目黒ー五反田間の境界と言えるか。

横断歩道渡って、さらに進む。

路地の寂しさは変わらない。

が、すぐに雰囲気は様変わりして駅前が現出。

ホテルが軒を連ねている、これが五反田だ。

五反田に対する先入観のほとんど全部がこの景色に詰まっている。

西五反田だからNISHIGO。

カジュアルスナックとあるが、比較的廉価なキャバクラの類と言えよう。

この界隈は高くつくのだろうね。

こういう所の「大衆」にはつい良心を期待してしまう。

餃子と唐揚げ、贅沢を言わない労働者には十分すぎる優しさだ。

路地から再度、大通りに出た。

今調べて驚いたが、これは国道1号なんだそうな。

国道1号はこの向こうずっと行って日本橋から始まり、大阪府大阪市梅田で終わるのだという。

ちょっと吃驚、五反田が国道1号の経絡となっているというのはヒストリックで感慨深い。

裏通りの印象を全く感じさせない味気ない駅ファサード、恵比寿も目黒も、何なら大塚駅前もこんな感じにJRナイズされていると言える。

秋田料理わったりぼうずさんにお邪魔した。

どこも値が張りそうな中、こちらにお邪魔してもそう損な感じはさせなかったためだ。

豚肉と玉ねぎをジンギスカン鍋ですき焼き風にする「十和田バラ焼き」をメインに。

一人前丁度千円、これなら悪く無いだろう。

かさごの唐揚げ、これなんか雰囲気を食う料理な感じがするが。

気軽に注文する物では無いが、まあ美味いは美味い。

それと刺身盛り合わせ。

まぁこういうのもどこでも食べられそうな気はするが、鮮度は良く感じた。

他にお客も少ない中で、よくもてなしてくれたように思う。

次回は大崎。

行ったことの無い土地が続くが、地図を見るとすごく短距離である。

【2023秋号八月分】環状赴くまま #022 恵比寿ー目黒【キ刊TechnoBreakマガジン】

蒸し暑さも耐えきれない程ではなくなった晩夏。

恵比寿駅前の広場にて、盆踊りの光景が記憶を逆照射した。

18:40、乾杯してスタートする我々を幼児が眺めていた。

先月はステージが置かれていたこの場所を向こうへ進む。

小洒落たお店、いかにも恵比寿って感じだ。

思わず成城石井が正常に感じられてしまう。

路地入ってすぐ、先月のゴールだった居酒屋のたつやさん。

やきとんをやきとりと称している(詳細は先月の記事を参照してほしい)。

ここは右手に折れず、左方向へ。

前進方向の右手は坂道になっている。

早くも駅前感が希薄になってしまった。

坂を上がる。

やけに主張する。

魚まみれ眞吉さん、メニューは値が張る方。

ここいら右手のビルにスターダストプロモーションさんがあるらしい、名前くらいは知っていた。

まるで誘蛾灯である。

調べてみると、マーサーカフェ・ダンロさんというらしい、イタリアンのお店だ。

いつもの光景。

最近はこういう道を真空地帯と呼ぶようになった。

真空地帯と真空地帯とで、中古屋さんを挟んでみた。

店舗の違和感というか、目を引く感じが伝わってかと思う。

中古屋さんを左折して、線路沿いに出ることができた。

ABCアメリカ橋ビルという建築物。

左手にかかっているのがアメリカ橋。

その橋から向こうに見えるのは、恵比寿ガーデンプレイスか。

この光景には見覚えあり。

近所にShunメンバーが勤めていた時、ここまで押しかけて誕生日を祝ったのだ。

近くのファミマでエロ本を買って、その綴じ込みのオマケが、スマホでVRを楽しむためのキットだった。

すたみなばし、焼肉屋みたいな読み間違え。

アメリカ橋というのは愛称のようだ。

フェンスの目を縫って線路の光景。

この周囲は見晴らしがよく、恵比寿スカイウォークといいレンガ様に統一された一連の建築物群が小気味良い。

Shunメンバーの所へ押しかけた時には、この公園でShoと時間を潰していた。

今ならMTGアリーナでいくらでも時間を潰せるが、当時はストロングゼロくらいしか頼れるものがなかったし、それは飲みすぎると後に悪影響が出るし、難儀だった。

金が無かったのである。

タワマン?オフィスビル?

いずれにせよ、恵比寿恵比寿している。

俺はこういうのは社会人になる前から放棄してしまったのだ。

二十代の頃はそう判断した自分が恨めしかった。

前を向いて進む。

ここでShoが色めき立った。

「恵比寿の住人は地下シェルター完備か、結構な事ですな。マザー3でポーキーが乗ってた絶対安全カプセルに見える」

「おい、アレ見ろよ!巨大コンセントで大型メカの充電でもするんじゃねえか?」

ここの先を一度右折して迂回する。

さて、ここはどこだろうか。

目黒三田通りに出た。

出発からすでに三十分が過ぎている。

左へ向いて目黒駅方面へ。

「俺、水素って見るとドギマギするんだよ」

Shoの父親が引退前最後の仕事にしていたのが、水素水発生装置の製作と販売だったのだ。

仲間内では『詐欺まがい』と揶揄したものである。

モン・サン・ミシェルと言えばオムレツだが、ここのお店では良く見るとムール貝と書かれている。

調べてみれば、モン・サン・ミシェルはムール貝の産地としても名高いのだそうだ。

へぇぇ、狭かった視野が広がったのは嬉しい。

ここを通りかかったときには、やはり「詐欺まがい」と二人して声にしていたのではあるが。

道沿いが賑やかになってきた。

次の街の予感がする。

街と街とを、道がつないでいる。

左手はすぐ駅前だ。

創業月だからと言って出玉が良いとは限るまい。

詐欺まがい。

ゴール、19時20分。

この日の支払いはJunなので、お店の選択も私が行ったのだが、事前に四つほど目星をつけておいた所はどれも閉まっていた。

そのため、彷徨うことさらに二十分。

我々にとって、今や目黒は恨めしい街となりつつあった。

だが、こちらの居酒屋たつみやさんとの出会いで、万事解決した。

とくにこの鯛カマ、四百円。

安い、二皿目も注文した。

目黒価格の予想を下回る良店で満足し、夜は更けた。

【2023夏号七月分】環状赴くまま #021 渋谷ー恵比寿【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕方過ぎになっても蒸し暑い日だったが、耐えられないほどではなかった。

渋谷駅での待ち合わせというのは慣れないものでモヤイ像がどこにあるかなど見当もつかず、とりあえず南口改札でShoと合流。

駅前のコンビニを探すのも容易ではなかったのが、この街の広大さを思い知らせてくれる。

18:41、駅前とは呼べない所にあるコンビニで買ってから、駅前に戻って乾杯。

山手線沿いの外環を南へ、この先は地図上では入り組んだ様子となっていた。

線路沿いを単純に進めそうにないのだ。

缶ビールを買ったのはそこのファミマで、誰かとコンビになった気分である。

写真を撮るためにここまで行ったり来たり、笑える。

そこへまた降り立ち、右手の坂道を上る。

ここが桜坂。

桜坂と聞けば、桜よりも金の匂いがする。

ここを左に折れると、飲食店がいくつか見られそうだった。

この界隈も、れっきとした渋谷の一部。

足を踏み入れたのは初めてだったので、この道を辿れたのは環状赴くままをやっていて良かったと言える。

突き当たりを右へ。

さて、ここいらから街の様子が変わる。

桜坂を途中で逸れたので、上へ向かう道は続くが。

また左折して、路地へ入った。

ここで突然の本格派カレー店、こういうのが地元にあったら愛してしまう。

アパートだらけの渋谷住宅街を縫って歩く。

住み心地は良くなさそうだけど、家賃は高いのだろうか。

ここら辺は道がうねっているのだが、我々は線路沿いの道へ抜けるために進んだ。

左へ行って、右へ行って、これを何度も繰り返す。

ここの先へ出れば、そろそろ線路沿い。

あの白いガードレールがそれだ。

と、その手前に洒落た建物が、ホテルに併設されたブックカフェのようだ。

あっ、「神殿」の間違いだった。

そそくさと先へ。

渋谷の落書きには閉口するが、こちらは名所レベルに仕上がっている。

洒落たピザ屋さん、マジかよって値段が表示されているが。

調べてみると、大ぶりにカットした一切れが出てくるらしい、近所なら毎日通っちゃうね。

ここを抜けると、どうやら代官山となるらしい。

代官山って、ビタイチ行った事ないぞ。

あ、そういや、何なら恵比寿も、一回くらいしか行った事なかったわ。

さっきまでの雑多な感じから、途端に閑静な雰囲気に様変わり。

さきほどの高架を、今回の境界に認定しよう。

申し訳程度の山感を演出する起伏。

オシャレな街の表層へ踏み込む事なく、先へ。

すぐそこの塀の前に、電動キックボードが貸し出されていた。

「アレのナンバープレートってことごとくひん曲がってるんだってな」

確認してみると、なるほどその通りで笑った。

ここはヤ◯クザ屋さんの装甲車置き場かな?

夜通し旗を振り続ける、勤勉な日本人の代表みたいな電光表示板。

僕もこう在りたいと真剣に思う。

最強伝説黒沢の太郎を彷彿とさせた。

黒沢のアジフライの話をしながら先へ進む。

そこの手前を左へ逸れる。

ここの裏手で男女が抱き合っていた。

遠くの街並みが恵比寿だろうか。

ここを左へ行ってしまうと環内へ入ってしまうので、道を横断する。

またも通りに差し掛かり、ここも横断。

すると。

渡った先に、良さげなお店。

豆腐食堂と書かれている。

夜は豆腐酒場になるようだ。

豆腐料理店といえば鶯谷が連想されるが、こういうのも良いな。

いよいよここの一番向こうを抜けると。

ほっ、飲み屋街だ、もう駅前だろうか。

この時19:20、どんな因果か集合から小一時間経っていた。

すると、この先の駅前が。

あれは、盆踊りだ!

にわかにテンションが上がる。

鳴り響く太鼓、舞台で踊る人々、それらを眺める圧倒的な数の人々。

非日常の顕現に、狐にでもつままれたような雰囲気に包まれて、単純に嬉しかった。

その舞台に書かれている「たつや」さんが、この夜のゴールだった。

恵比寿を代表する店舗ということなのだろう。

盆踊り会場からすぐの場所にあった。

地下の席へ案内していただいた。

こちらは「やきとり」とあるのだが、とりとは鶏ではなく肝裏でとりと読ませる、つまりはホルモンの串焼きを意味しているのだという。

これがそのやきとり、乾杯。

通じて楽しい夜だった。

【2023夏号六月分】環状赴くまま #020 原宿ー渋谷【キ刊TechnoBreakマガジン】

さわやかな夜だった。

Shoは昨晩の父親との飲酒が影響して身動き取れず不参加である。

NewDaysで缶ビールを物色していると、学生くらいの青年が、スマホにしか入金がなく切符が買えないので現金とpaypayとを交換してくれと申し出てきた。

そういうのは何だか怖いので数百円渡すだけ渡してその場をやり過ごしたかったが、paypayでダメなら現物を是非にという事でその場で買ってきたカフェオレを押し付けられた。

19:50、先月のゴールが今月のスタート。

この展開は地味に珍しい、北口着南口発ということが多いためだ。

こちら側には明治神宮の静謐さが充溢している。

都道413号赤坂杉並線を歩道橋で越す。

写真では周辺の広大さが伝わりにくい。

歩道橋上から行先のファイヤー通りを望む。

いかにも都会といったビルが林立しているように見えるが、そこへたどり着くまでが真空地帯の一本道といった趣がある。

原宿駅方面へ振り返るとさすがに駅前の風情なのだが、立っている歩道橋がすでに真空地帯の内部とも見える。

周辺の広大さというのは、そういう意味なのだろう。

左に小さく見える紫色の三角は、代々木の名残のNTTビル。

道はこんな感じで続く。

杉の木が突き刺さっているのは、一帯の無機質さや寂しさの目隠しにしか思えなくて、かえって気持ちが暗くなった。

上野から鶯谷まで歩いたときの期待感はここには無く、何か見てはならないものでも見てしまったかのようだ、昼にはそんな印象ないのだろうけれども。

この頃には、ぬるくなってしまう前にビールを飲み干している。

コンビニもないから、気を紛らわせるために追加のビールを買うこともできない。

手放しに喜ぶわけにはいかないが、人の痕跡があって安堵する。

現代版星座の物語と感じずにいられない。

さながら彗星のごとくアドトラックが駆けていったが、無論私の様な放浪者に向けて発信しているわけではなく、目指す先にある渋谷スクランブル交差点周辺の消費者に魅せるためだ。

調べてみると某少年誌とは全く関係のないホストクラブの街宣のようで、そんな気は無かったが都会の中でも歓楽街に向かっているんだったと思い起こされた。

空白地帯だったのが、急に左右にビルが建ち並ぶ。

杉の木が目隠しみたく密集したカーテンを抜けた途端の事で、その場を振り返って写真に収めるくらいしかできなかった。

今までは何も無かったが、ここからは何か、何らかの施設がそこにある。

裏路地の様な印象だがここがメイン通り、まだまだ末端部という事になる。

アンダーディアラウンジ、TechnoBreakも其処に居たことがある、懐かしい。

しかし、一体どんなイベントにお邪魔したのか、歌ったのか聴いていたのかは最早記憶に定かではない。

ここ消防署があるため、今まで通った道が古くからファイヤー通りと呼称されているらしい。

地図アプリにピンを打ってあった「夜カフェ」、ワンダーボウルさん。

渋谷でかれこれ五十年近く営業しているらしい。

左へ行くと環内へ向かう高架下を通るので右へ。

街の明かりが華やいできた。

めっちゃ久しぶりに見た、楽しそう。

渋谷のタワーレコード、なるほど本場はタワーになっている。

私は渋谷に来ることも稀だし、渋谷のこちら側に来ることも稀なので、はじめてお目にかかりました。

右手に西武が見え、右折方向は

代々木公園へ向かう公園通り。

そちらへは行かずに直進。

この先、いよいよ

スクランブル交差点。

なるべく写らない様に撮影したが、実際の人の数といったら非常な量だった。

これこそが街だ、と声高な断定をするほど了見は狭くない。

20駅歩いてきたことで、それくらいの感覚になることはできた。

前にも書いた気がするがこれは過剰だ、言い換えるならば売り買いに特化した街ということか。

それならば、雰囲気は違うが銀座と同じという事になるか。

さて、ゴールに着いたので、適当に飲み屋さんを見繕おう。

マークシティをくぐり抜け、

すぐ右折するとウェーヴ通り。

その先に飲み屋さんが連なっているようだ。

当たりをつけておいた多古菊さんは、どこから這入れば良いか判らず断念。

途中、ここなら間違い無いだろうというお店があったのでそちらへ。

魚金さんなら間違い無いだろう。

クラフトビールが自慢の店舗らしい、華やかで夏にぴったりのビールをいただいた。

盛り合わせは、二点ずつ付くこれと四人前のもっと大きなのが、嬉しい料金でいただける。

これだけでサヨナラも悪いので、

カレイの煮付けも頂いた。

来られなかったSho、ULSの勝者にはこれが振る舞われたのに、残念だったな。


翌朝、もらったカフェオレを冷やして飲んだ、美味しかったです。

【2023春号五月分】環状赴くまま #019 代々木ー原宿【キ刊TechnoBreakマガジン】

闘いを終え、新たなるプレインズ・ウォークへ。

17時45分、代々木駅前はこの時間でも明るかった。

この交差点に向かって右方向。

一路、原宿へ。

突っ切って行く。

早くも駅前感は無くなったかに思える。

この先、左カーブに差し掛かる前に、風情のある店舗があった。

本当は48周年らしい、情報がブレブレで笑えた。

しかし、京野菜deフレンチイタリアンとは、都内で京野菜というのは探してもそうそう無さそうである。

グリーンスポットさん。

この歴史の長さ、機会を設けてぜひ行ってみたいと思わせるお店、良い発見ができた。

右手にロレアルのビル。

ファッション関係に疎い私でも、CMで見かける名だったので写した。

カーブの先。

おっと、ここは首都高4号がちょうど境界となっている様に見える。

代々木ー原宿間の境界に認定したい。

首都高をくぐると、その先は明治神宮エリアが広がっていた。

脇から入っていく。

搦手は寂としていた。

静謐な森林浴コースが続く。

表からの参道と合流。

ここに来たからには参拝せねば。

海外の人です。

閉門直前で人もまばらなため、エンジョイしていた。

気を取り直して前進。

明治天皇が詠んだ和歌。

おみくじの代わりとして入手することもできる。

ここで、閉門のアナウンスが放送されたので急ぐ。

三門を抜けると本堂がある。

本堂は撮影しないでおいた。

近くにお立ち寄りの際はぜひお越しください。

左手の門。

異界へ通じているかのような趣きがある。

参拝終わって正門へ向かう。

参道の左右に酒樽が積み上げられている。

明治天皇はワインを取り揃えていたのだという。

進取の精神の一つだろう。

中央の樽はロマネ・コンティ。

飲んだことは無いが名は知っている。

日本勢も負けていない。

双方の樽の並べ方に違いがあるのが面白い。

レストラン。

当然だが閉門前なので営業してはいない。

「いや〜、まさかの癒し回だったわ」とはShoの言。

たしかに、環状赴くままで最もユニークな回だった。

しかも、この周囲に飲食店は一切無い。

環内に入り込むか、次の駅の方へ行かねばならない。

そのため、今回は異例中の異例で、別の妥当なお店をチョイス。

場所は両者の住処に近い新小岩。

中トロがこの大きさで七百円、破格だ。

二つあるコの字カウンターは満席、堂々たる飲み屋さんである。

大満足飲み、毎日でも来たいと思えるお店。

新小岩の方々は羨ましいです。

【2023春号四月分】環状赴くまま #018 新宿ー代々木【キ刊TechnoBreakマガジン】

新たなる『トレインズ・ウォーク』の灯がともる。

戦いを終えた我々は、この日は遺恨を忘れて一駅歩きに繰り出す。

掲載誌の体裁が変わり、環状赴くままはしばらくの間JunとShoの二人歩きとなった。

こちら側とあちら側からでは、新宿の眺めというものも全く異なる印象だ。

待ち合わせは分かりやすく思い出横丁にしたのだが、この日は大混雑だったため、こちら側へ退避してきた体である。

17時25分、乾杯してスタート。

写真映えする夜景を撮るには、あと三十分は出発を遅らせるべきだったか、陽が長くなった。

曇り空も相まって、まるで病棟のような印象の街。

切り取られた写真という風景の限界とも言えるか。

雑踏、という様子が端的に分かるような写真。

ここだけ見れば新宿とも秋葉原ともつかないが、新宿の側面としてこの要素は欠かせまい。

池袋で受けた城塞のイメージに近いが、やはり曇り空の暗い印象が先行しているかのよう。

夜景だったらどのような表情を見せてくれるだろうか、却って今までに見慣れた感覚を脱することができて良いのかもしれない。

通りを右へ向きヨドバシカメラの店舗がある方をもう一枚収めた。

飲み屋街というわけでもないのだが、人通りが非常に活発。

大きな駅には多彩な横顔があるのだ。

早くも新宿エリアを抜けてしまいそうな予感をさせる境界、国道20号線甲州街道。

左を向いてあちらは新宿南口方面。

この交差点を振り返れば、

大都会に存在するイメージのウェンディズ、都会度を判断する一つの指針となるかのように思える。

横断歩道を渡り、代々木方面へ。

看板を見なければ、ここが新宿であると看破できる人は少ないのではないだろうか。

標識には渋谷区と書かれているのも面白い。

曇り空の下、道は続く。

代々木の劇場で公演したときにこんな道路を通った事を思い出した。

この下り坂は非常に代々木らしく感じる、個人の感想という言葉で切り捨てたくはない。

ドコモタワーが見えてきた。

NTTドコモ代々木ビル、というのが正式名称らしい。

なんか、代々木スゲーもん持ってるなって感じがする(代々木の名を冠するのは他に二、三あるが)。

踏切に差し掛かった。

全然開かない、無理な横断を制止する張り紙が切実である。

ここで迂回路の提案。

ここから相当引き返すことになるのだが…。

結局二、三分待たされることになった。

だが、二、三分と書くと大したことなさそうである。

実際の待ち時間は体感で相当なものだった。

代々木駅前エリアへ突入だ。

代々木が持ってるスゲーもんその二、認定せず。

代々木駅着、なのだがこの周辺に良さげな飲み屋さんは見当たらず。

奥側の改札方面へ進む。

18時10分、代々木駅西口着。

この脇の様子が。

ほらほら、色々良い感じ。

駅前感があるのは断然こちら側だ。

ぐるりと眺めまわしてみよう。

四月期の対戦に敗北したShoがお店の選択権を持つ。

彼が選んだのはこのお店、以前知り合いといった思い出が宿っているのだという。

割安で、環状赴くままにピッタリのお店だと言う。

なるほど、面白そうなお店。

昭和タイムスリップ酒場、代々木ミルクホールさん。

さっそく潜入だ、この手のお店ってあんまりないから気分が浮つく。

ここまでくると、ハリウッドのアクション映画が描く日本みてえ。

店内には先客もちらほら。

大生で乾杯、お通しはお菓子、隠れているがどんどん焼きもついた。

おみくじハイボールはすげえサイズで料金もデカいのが来るリスクがあるのでやめ。

最近健康志向のShoが野菜炒めをチョイス、色々とあるためJunはShoに選択を委ねる。

メシが進む優しい味。

モダン焼き、空腹を満たしてくれる良いやつ。

総じてどれも非常に割高になっており千円程度、在りし日の思い出に浸りたかったであろうShoは頭を抱えていた。

お通し代が一人五百円だもん、あの駄菓子で千円するんだぜ(笑)

まぁ、そんな事に頓着のない余裕のある紳士淑女の集う場なのだろう。

我々みたいなのは、薄利多売半兵ヱにでも行く事にする(運営会社同じ)。

ちなみに環状内側には、大塚や歌舞伎町、姫路、那覇などに展開されているのれん街がずらずらずらりと立ち並んでおり、圧巻の大盛況だった。

気を落とすShoを元気付けるべく、彼の本当の思い出が詰まっていると言う新宿のカフェへ。

こじんまりとした店内には人があふれていて、生命力の充溢を感じた。

「昔はここでホットドッグにかじりつきながらビール飲んでたのに、今はザワークラウトで飲んでるなんて出世したんだなあ」

しみじみと言ったShoの横顔。

【三月号】環状赴くまま #017 新大久保—新宿 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

新宿へ向かうと言うのは年甲斐もなく浮ついた気分になる。

そのため、選んだのは月末の月曜にした。

何だか気合が入ろうってものじゃないか。

日の長くなった十八時三十分、辺りが暗くなるのを待って、出発。

パチンコ店の脇にある路地を南下していく。

早速よさげなお店あり、メニューなどよくある大衆居酒屋ものではあるが、やけに小洒落ている、描かれているイラストに『ミライザカ』を感じる。

高田馬場からの路地の延長みたいな雰囲気が続いている。

しかしながら、逆側にあたる環内こそがTHE新大久保コリアン王国なので、今歩いている道はこれでも大分トホホであると言わざるを得ない。

だいたいまず人出が全くないもの、極力写らないように撮影したけど駅前なんかめちゃくちゃ人だかりがうねっていたのに。

宿泊もできるサウナ、こんなのあるなんて実用度爆アガり、当方は赤羽のをよく利用するし、仙台に旅行の際にはCure国分町は候補に入る。

新大久保エリア途絶の予感、ここまで。

左見て。

右見て。

続く路地を真っ直ぐ進む。

ここはどこか、池袋から目白に向かう途中の空隙地帯に似ている。

もちろん、街の側面の一つに、人の棲家という要素もあるが。

しかし、この先にあの新宿が待っているとは想像ができない。

以下が今回のベストショット、私道でしょうか、何か潜んでいる感じする。

指示通り律儀に右へ回って迂回。

この先、東京都道302号新宿両国線(狭義には職安通り)。

これが大久保エリアと新宿エリアの境界だな。

通りが交差する地点では左右を広く記録しておく。

やはり環内の方は人出が多いのか、良く見てみれば、行き来できるように横断歩道が設けられている。

一方でこちら側にあるのは…。

高架下。

有志のクズ入れ、駅前から飲み飲みしてきた空き缶をありがたく捨てさせてもらった。

そして、歩道橋。

渋い、実に渋い。

こんな所をカシャカシャ撮影しているのは不審者に見られる。

人をやり過ごし、カメラを向けないように配慮するのも一苦労だった。

しかし、この狛犬には興醒めも甚だしい。

ま、狙ってないからこそ、この取り合わせなんだろうが。

写真中央に写っているオレンジの光は、新宿のランドマークの一つ、エスパスの電飾である。

職安通りを越え、いよいよ新宿エリア。

しかしながら、意外と閑静なのに驚かされる。

地図を調べると、ここにあるのは西新宿プライムスクエアという共同オフィスなんだそう。

懐の広さを感じさせる施設だった。

新宿の喧騒らしきものは未だ感じられず。

そこの路地を右に覗いてみても繁華街然とはしていない。

が、いよいよそうも言っていられなくなる区域が次の路地。

目星をつけていたのはここの先にある鮮魚店。

後でここまで戻ってきて向こうへ進むことになるのだが。

え、『なんでんかんでん』??

生きとったんかワレェーーーッ!と言う感じに胸が詰まる。

さて、気を取り直して駅の方へ進路をとる。

枯れ井戸と読めそうな縁起の悪いパチンコ店さん。

くわばらくわばらと思いつつ先へ急ぐ。

あ、なんだか安心感のある、見覚えのある光景だ。

新宿は、池袋と同じく、駅前の雑踏が一番充実していて、接続の道に新宿を感じさせるようなものは少なかった。

目の前の思い出横丁へは行かず、先ほどのなんでんかんでんの少し先へ。

今夜選んだ飲み屋さんは、タカマル水産さん。

突き出しはバイ貝の煮たの、こりゃタカマルね〜。

刺し盛りの二人前と生牡蠣で、(二人で飲むのであれば)高コスパな飲みを堪能した。

後から入ってくるお客はみんな断られていて、私が入店できたのが奇跡、こちらナカナカおすすめなのでぜひ予約して行って欲しく思います。

で、〆はここ。

替え玉三つで千五百円ほど。

渋谷にあった商業施設内で食べて以来二、三年ぶりになりますが、めちゃんこ美味かったです。

今回出てきたチャーシューも強かった。

はっきり言ってスープは都内のどのお店でも出会ったことのないお味、おみそれしました。

これからしばらくは、ビール飲み歩きが爽快な陽気が続くだろう。





編集後記

 キ刊TechnoBreakマガジンも、創刊から一年経つ。前身となる「一食一飯」「ラーメンドラゴンボウル」の週刊連載に疲弊して、キの向くままの連載ができるよう、このような一人雑誌を出し続けてみるという試みである。やり切ることができて、今、非常に安堵している。

 いよいよ、後回しにし続けてきた「船橋ノワール」を何年かかったとしても終わらせる必要があるから、キ刊TechnoBreakマガジンはこれで仕舞いにする。わずかな読者の皆様に対しても、物語に区切りをつけるという誠意を示すことができたのではないかと思っている。感謝しています。

 ひょんな事から生まれた宜敷準一、私は彼にアリョーシャとかムイシュキンのような良いやつになって欲しいと願い、この一年があったのだ。彼は逆輸入される形で船橋ノワールの世界の住人になるだろう。本編での登場は期待できないが、スピンオフの「虚飾性無完全飯罪」では活躍すると思う。先月にも書いたが、我らが禍原一屰が今後どのような破天荒をするかしないか、引き続き応援してやってほしい。

 四月からは新企画が始まるから、この場ではその記事が定期的に載るだろう。それは静観していてほしく思う。「環状赴くまま」も月一で継続する。

【二月号】環状赴くまま #016 高田馬場ー新大久保 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕闇の訪れが少しだけ遠のいた二月末。

地下鉄東西線の高田馬場駅を地上に出て、一駅歩いた。

恐ろしく寒いというわけでなく、飲み歩きには助かる。

十七時五分、出発の乾杯だ。

山手線外側は高架下の向こう、そちらへ進む。

前回の飲み屋街はすぐそこのさかえ通りにある。

学生の頃は毎晩この辺りで飲み歩いていた、というわけでは無い。

当時は我慢のきく貧乏学生だったから、遊び歩く事は無かった。

人生を損した気になるが、無為に過ごせる時間を持つのは若さの現れといったところか。

すぐ現れる路地を左折。

ここのミカドには行ったことがない。

覗いているケバブも前からあるが、食べたことはない。

野郎ラーメンはよく行く。

今回はここを真っ直ぐ行くだけで良いらしい。

すぐに駅前感がなくなり、道に変じる。

飛行機雲が、たまたま撮れた。

ここは一応、新宿区である。

空が狭い理由をそこに押し付けておこう。

モード学園コクーンタワーがそびえているのが見える。

あの偉容を遠くに眺めやるのにうってつけの路地だと感心した。

環状赴くまま、初の落書き。

これは新宿区の所為というよりは、まだ夕日が明るいために発見できたという事だろう。

ハイスコアガールのポスターも貼られていた。

私は、学生時代はアーケードゲームから大分距離を置いてしまっていた。

何をやっていたのかと悔やまれるが、思い返せば金がなかったのだろう。

良心的大衆酒場と銘打たれている。

その割には小綺麗で洒落ている。

好みが割れそうな店舗である。

北の早稲田口から南の戸山口へ来た。

そういえば普段、駅の北口ゴールで次回は南口スタートのようなことをしていたから、今回見てきたような街並みを観察していた事は無かったな。

馴染みのあった街を、つい知りたくなったのかもしれない。

ここまでに十分かかったが、改めて新大久保に向けて出発。

大通りではないから、ひなびた道が続く。

環状内側はこんな事は決してない、真逆だ。

駅前感はあまり無いが、店舗はあるにはあった。

が、預言CAFEというのが出てきて絶句した。

預言とは、そういう時に授かるものなのだろうか。

ここを歩道橋でまたぐ。

この地点から右を向いた様子が以下の写真。

アパートが邪魔だが、夕焼け時だ。

無機的な景観に囲まれた歩道橋を渡る。

すると、驚いた事があった。

以下、突き当たりまで道なりに歩いた写真で続ける。

落ち着いた良い道じゃないか。

遠くのビルに気を取られなければ、とても東京にいるとは感じさせない。

西戸山公園があったためだろうか、環状赴くままにおいてはじめての道という気がした。

木枯らしという風は秋から冬にかけて吹くのを指すようだが、それを連想させる陽気になってきたのは春への兆しということか。

なお、ここの突き当たりの少し前の右手には、

東京グローブ座があり、ひそやかながらも大きく堂々とした建造を誇っていた。

突き当たりからほんの少しだけ右に行ってから、そこを左折。

街の結界はそこに引かれていたのだろう。

ここから先が、新大久保エリアだ。

案の定、すぐさま韓国料理屋さん。

百人町文化通りと言うのか。

新大久保の観光ガチガチの本街には遠く及ばないが、進むほどに活気付いてくる。

文化通りの果ては、ゲームセンターとマツキヨ、飲み屋、パチ屋。

この街に来るみんなの目当ては、そこの向こう側にある。

本街のある山手線内回りではなく、次回も外回りだから、もしかすると次回は新大久保の裏の顔を垣間見れるかもしれない。

高田馬場戸山口から再出発し、比較的足速に移動したため、現在十七時三十五分。

駅舎沿いに十分、街の間は早歩きで二十分かかったと言う事だ。

駅前から踵を返し、今夜の飲み屋さんへ。

もちろん韓国料理屋さんに目をつけてきた。

こちら「味っちゃん」と書いて、まっちゃんと読む。

ダウンタウン松本さんのイントネーションだ。

職場の知り合いが十年以上前に紹介してくれたお店だ。

何号店かあるため、こちらにははじめて這入る。

サムギョプサルは二人前からで、一人で食べても良いのだが、カルビとハラミとを楽しんだ。

この手のお店のサービスとして小鉢が数点つくのだが(一枚目の写真)、たくあんとカッパが出てきて、キムチは有料というのがなんだか笑えた。

それでも、新大久保に来たら、朝っぱらから飲むのでも無い限り、また味っちゃんを選択するだろう。





編集後記
 二月号もなんとか刊行できた。エージェントYシリーズ(もうタレ、ヨモツヘグリ)は次号で完結、するらしいがどういう風に仕舞いになるか。四月からの事を考えたりしてしまうのが煩わしくもあるが、兎も角一年を締めくくることはできそうである。禍原一屰の酒客笑売については、四月からリニューアルしてメインコンテンツに躍り出る予定だ。環状赴くままは、四周するまで終わらないはずである。(総力特集は中途半端になるので落とすことにした、申し訳ないが次号にある程度の総括と展望の報告ができるはずだ)

【一月号】環状赴くまま #015 目白ー高田馬場 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

年明けに高田馬場か、と言うことで大学の同期を誘って新年会を兼ねた環状赴くままをした。

我々は、一年次の化学実験班の三人で、いつもつるんでいた。

当日はジマ氏の仕事が長引いたので、私とグチ氏の二人で歩き出した。

目白駅、前回に続いて下車するのも初めてである。

一月六日、二十時、乾杯。

迂回せず、駅真横にあったエレベーターから下りることとした。

このパターンは初だ。

線路沿いが早速、むき出しみたいになってお目見え。

路地裏感しか発していないのが笑える。

池袋に偏りすぎた、この駅自体が真空地帯のような、そんな気がする。

道が続く。

駒込ー巣鴨ー大塚ら辺で経験したような道が。

ふと思ったが、駅前と呼べるのは最初に乾杯した「改札前」くらいだ。

この線路沿いの写真から、ここが目白だと看破できる人は何人いるだろうか、専門学校の看板を写すことが無かったなら。

ある程度の消去法は効くだろう。

新宿、渋谷、秋葉原のような感じは直感的にしない。

が、先ほども言った通り、駒込とも巣鴨とも、あるいは鶯谷とも言えなくない。

何も、山手線沿線の東京でなければならないという理由も無いかもしれない。

街は其処にしか無いが、道は至る所にあるのだと言う事か。

彼岸である。

上は山手線が通り、向こうは内環。

グチ氏にぽつりぽつりと、この企画の趣旨を説明しながら歩く。

道連れはとぼとぼと着いてくる。

ここら辺は在学中に詳しかったのか、彼にしてみれば対した興味を引かないのかもしれない。

私自身、ただ歩いているだけと言う感覚以上の物は無い。

右へ迂回を試みる。

すぐ先の曲がり角を左折。

街の明かりはまだ無い。

都道8号、新目白通りに出た。

渡って、写真右手の小さな公園で煙草を吸った。

グチ氏も貰い煙草が好きな質で一緒に吸う。

不意に現れる公園の公衆トイレって、セーブポイントみたいだった。

再度、右へ向かって迂回を試みる。

大通りに出たのが、鉱脈でも掘り当てたかのような雰囲気の変化を感じる。

ここはまだ豊島区の範囲内のようだが、高田馬場エリアの前哨地と言って良さそうである。

大通りを左折したら踏切が。

西武新宿線のようだ。

祖母の家へ行くのによく乗っていた。

近所の京成線もこんな踏切である。

山手線一周ではあまりお目にかからない。

その先の、あれに見えるは。

神田川にかかる、清水川橋だ。

ここ、地図ではよく見る。

感慨深かった、ここがはっきりした境界だ。

街の雰囲気の切れ目が、中間にあるのではなく、街ギリギリに寄っていた。

向こうにある飲み屋街の明かりが眩しい。

高田馬場のさかえ通り。

ここの一番奥が新年会の会場。

スタートからちょうど三十分でゴール。

予約は十九時まで、それ以降は当日連絡して空きが出来次第取り置き。

この日は事前に連絡したものの、金曜ということもあり電話の対応も不得要領。

飛び込んでみたが満席で、空く気配も無い。

店員さんが近くの姉妹店、串鉄を紹介してくれた。

踵を返すと其処へジマ氏が通りがかったので三人で移動。

三年ぶりの再会になる。

幸いにも串鉄は座席に余裕があった。

一本百円しないくらいの美味しい焼き鳥を提供してくれる、学生の味方だ。

散歩好きのジマ氏から早速、今日の収穫を聞かれたものの、イマイチ良いところを伝えきれず、今までの企画であったことをかいつまんで話した。

物好きなShoが、週末で打ち上げ気分に浸りたいと言うこともあり、少し遅れて合流。

ジマ氏の北朝鮮渡朝の話、我々の欧州周遊の思い出、グチ氏が一部始終を見ていた私の左腕大火傷の話など、いつ集まっても同じ話をShoに聞かせ、あっと言う間に終電。

私は翌朝早くから大事な仕事があったのでお開きとなった。

年に一度と言わず、また会いたい。



編集後記

 ディズニーリゾートラインをぐるぐると周回しながらこれを書いた。振り返ってみれば、一月号は高田馬場特集のようだが、どちらかと言えば人生回顧大特集の様相である。最近までのテーマ真善美、学生時代、ヨモツヘグリではいよいよエージェントyの過去と船橋ノワールとの接点が明かされた。再来月でキ刊TechnoBreakマガジンは仕舞いになる。四月からのことを思えば茫洋とする。素面では詩の一片も書けずに茫洋とした。

【十二月号】環状赴くまま #014 池袋ー目白 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

冬至を控えてはいたが、厳しい寒さを感じなかったのは、無風だったためか。

駒込から山手線に乗り換えて、池袋へやって来た。

職場で飲み会が催される時に出張って来ていた街である。

何とか飲み歩き可能な気候に感謝の念を込めて、乾杯。

この日は一人でやって来た。

友人から「連れがいた方が良いと思う」と助言を受けていたため、この頃は連れ立って飲み歩いたが、ちょっと一人の気分に浸りたくなったのだ。

いや、無計画すぎて『今日行っとかないと今月行く機会失うぞ』といそいそやって来た。

しかも、大きな仕事を済ませたその日だったという事もあるから、一人忘年会を決行したというわけである。

あっちへ、ど〜んと突き進めばサンシャインが鎮座している。

前回、大塚からやって来た時に見た光景を、より過剰にした様な街。

船橋ノワールは、ここ池袋西武と東武との代理戦争なのだ。

私は池袋に憧れるが、船橋に満足している。

17時15分、外環を左回りに一路目白へと出発。

サンシャインや歓楽街につながる通りくらいしか歩かなかったが、ここの城塞の様な堅牢さと言ったら比類無い。

油断しているとすぐテレクラである。

日暮里で見て以来、二軒目か。

環状周辺のテレクラコンプリートを目指すのも一興か。

というか、潜入調査してみたい、ぞ。

行き止まり、ではなく施設が通路になっているのか。

ここは右に迂回してメトロポリタン通りへ出てみた。

季節柄のイルミネーションも、やっと観られた。

普段、私はこういうのとは無縁だが、月に一度この取材に来る時だけは、人心地をこの身につなぎとめておくことができる気がする。

それにしても、イルミネーションの具合が若干弱いか、どうした池袋(笑)

ホテルがあるから、メトロポリタン通り。

メトロポリス=都会という意味を持たせた、JRが経営している系列の旗艦拠点。

これを短縮したのが、ホテルメッツというわけか。

ホテルの脇を抜ける。

さみしい通り、写っていないがラーメン店に人が並んでいる。

先の西池袋通りを渡ってから、内環へ向けて写した。

今回の街の切れ目はここと認定したい。

池袋は街の魅力をグッと中心に偏らせたためか、土地に真空ができている様に見える。

ここは何処でしょう?

と訊いてみて、池袋と答えられる方が怖い。

だから、ここから先は池袋では無いと、乱暴かもしれないが言いたい。

さりとて、目白でも無いから、街と街とをつなぐ道が続く。

ここを抜けると線路沿いに出る。

行政区分としては、まだ西池袋らしい。

この道は続くことなく、直ぐに曲がる。

住宅街と書けば、街の仲間になるか。

何も無い訳ではなく、住宅がある。

街らしい街、住宅、道、だいたい土地の要素ってこの三つだろうか。

迂回して、向こうに線路が見える。

俺が陥っている「街観念」って、店の集合を指しているのか。

一周回る頃には、其処ら辺のことが整理されているかもしれない。

船橋ノワールを書くにあたっても、他所の街を見る目を養っておくのは良いことだろう。

いつものように、橋に差し掛かることはなかったため、線路と電車の写真は今回無し。

このゲートの先が、目白と認定。

つまり、ここまでは、池袋の重力場が強すぎたがための真空地帯。

都市部の真空は住宅によって補填されているようだ。

ほっ、その先の建築物の表記は目白となっている。

目白入りしたとはいえ、道は続く。

自由学園から目白駅まで続くF.L.ライトの小路というのを歩いて来たらしい。

左へ行けば駅前に出るのだが、良いお寿司屋さんしか無いため、右へ逸れる。

そっちには何軒か飲み屋さんがあるようだ。

写っていないが17時37分。

サラリーマンが目白の飲み屋街へ吸い込まれていく様子だ。

あの後ろ姿はまた、私の後ろ姿でもある。

彼が眺めていたのは。

こちらのメニューである。

下はやきとんダイニング、上は肉の食堂。

私は、ちょっと贅沢して、このお店の手前にあった割烹へ。

夏ならばいざ知らず、ロング缶を飲み歩いて来たのでいきなりお酒。

知っている銘柄があったのでそれ、いつもの延長だ。

通されたカウンターで二、三つまんで退店。

後から奥のテーブル席へ通されるお客が散見された。

この日は月曜だったが、雰囲気の良いこちらのお店は人気店なのだろう。

忘年会シーズンというのもあるか。

お安くやきとんにしておく、というのはこの日の私にはちょっと無理だった。

こういう気分に浸りたかった。

しかし、私のことだから、直ぐに気が他所に逸れた。

隣の二階の肉食堂に這入って〆。

ローストビーフと焼き豚定食。

向こうにバスが停まっている脇が目白駅前。

急に街が現れた。

さて、次回は、目白から高田馬場だ。

ついさっき、学友のNとNの両名に連絡をとって次回のゲスト依頼、それと新年会の提案の承認を受けたばかりだ。

奇跡みたいなタイミングで、年始の滑り出しとしたい。



編集後記

 バンドの忘年会をやるまで、今年という束縛から逃れられなかったが、今、穏やかな気持ちでPCに向かえている。さっきまで、孤独のグルメの再放送を流しながら記事を書いていた、大晦日です。牛、豚、鶏のごった煮をお雑煮ということにして準備してある。この一年は、全部このキ刊TechnoBreakマガジンに詰まっているから、今年何があったかは大体は形に残せたというわけである。だから全部忘れてしまった。良いお年を。

【十一月号】環状赴くまま #013 大塚ー池袋 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕方になるともうすっかり暗くなる、この季節は少し苦手だ。

三時ごろに感じる斜陽は物悲しくて、やり切れなくなる。

日暮里ー西日暮里間の頃に声をかけていたが実現しなかった職場の後輩Cを誘って、彼の大好きそうな街、池袋へ向けて出発する。

幸いにも仲の良い業者のO氏が来ていたので、バンで大塚駅まで送ってもらった。

赤信号で止まり、ここで降りるかと外に出た途端に信号が変わった。

礼を言う暇も無く、車は走り去った。

O氏、ありがとう、この場を借りて謝意を表明したい。

もっと奥へ進めば大塚駅前なのだが、またここまで戻ってくるのもバカらしいので、近くのコンビニへ向かう。

寒さはそれほど厳しくないのがありがたかった。

ファミチキでビールが飲みたいと提案、近頃毎晩のようにファミチキビールで地元の帰路を飲み歩いている。

これではファミキチだ。

18時40分、出発の乾杯です。

Cはたまに日中の出張でここら辺を歩くことがあるのだという。

ただ、夜は初めてとのこと。

私もこっちには来ない。

大塚に魅力的なお店を多く知っているのだが、来る機会が全く無い。

さて、一旦線路に対して平行よりやや角度のついた通りを進んだ。

突き当たりの交差点を左に折れて、橋の方へ登っていく。

この先に橋がある。

信号待ち、左手。

この道から進んできてもよかったが、ファミチキ優先コースが今までの道だ。

空蝉橋。

明治天皇が蝉の抜け殻のついた松の木を近所で見たのがその名の由来だとか何とか。

この下を山手線が走っている。

ここから右へずっと向かう。

空蝉橋から見た右手。

渡ってずっと進む。

後輩のCはここの分岐にめざとく勘付き、私から聞かれる前に路地へ行こうと申し出た。

何も言われなければ、一旦右へ行っていたかもしれない。

Cはこういう道が好きなのだと言う。

そんな人って居るんだと思いつつ、上野から鶯谷へ向かう途中の路地を思い出した。

Cに話すと知っていたようで頷いていた。

路地を抜け、駒込ー巣鴨ー大塚によく見られたような道に出る。

向こうに橋がある。

栄橋というらしい。

橋の上からいつもの一枚。

さらに先へ向かうが、線路沿いから少々離れることとなる。

少々入り組んでいるが、なるべく線路から離れ過ぎない道を選ぶ。

進行方向左に線路があるのだが、行き止まりの様なので右へ。

騙し絵のようなポスターが並んでいた。

夜に見たらちょっと驚いてしまうのではなかろうか。

通りに出た。

兆峰さんは中華料理店、私の大好きな感じのメニューが出されるようだ。

駒込、巣鴨にあるときわ食堂さんは和食だが、中華もたまらなく良い。

ここを左へ折れて真っ直ぐ行く。

分岐。

線路は左方向だが、敢えて右を選んでみた。

後輩Cはここら辺の軒先にノスタルジーを感じていたっけ。

結局すぐに、線路沿いの路地に合流。

なんか、

うろうろせず、真っ直ぐ進めば着くんだ、という安心感があるな。

こういう線路沿いって。

今回、何度目かになる橋。

宮中橋。

はるか向こうに池袋の街並みが待ち受ける。

だが、街と街とをつなぐ道は、まだ続く。

Cと話した。

大塚からこんな風に池袋へ向かう人は、在住の方々以外に居ないのではないかと。

池袋は色々な方法で行くことができるから、わざわざ歩きを選択する人は少なそうに感じたのだ。

堀之内橋。

おっと、今までの橋とは様相が違って、空蝉橋に似た感じだ。

やっと街が、ここからははっきりと池袋エリアか。

振り返るとクラフトジンのバーがあった。

街にバーあり、道にバーなし、と言ったところか。

ここはインターナショナルバーであるとのこと、今度行ってみよう。

橋の向こう側。

見ずらいが、二階に中国卓球とあるレッスン場。

その下、電飾が目立っていたが写りが悪くて恐縮。

RECORD、CD、BEERと光っていた。

掘り出し物があるという噂のレコード店、疲れたらクラフトビールで一休みというのもできるらしく、好きな人は徹底的に好きなお店だろう。

橋の横断歩道を渡って、さらに向こうへ。

さっきから見えていたあのオベリスクは、清掃工場の煙突であるらしい。

縁石の上に立ち、カメラを高く掲げてフェンス上部から撮影。

今までの道では見られなかった光に溢れている。

後輩Cはしきりに「汚ねえ光」と言っていた。

一応、同意しておきはしたが、彼がどういう本心で発した言葉かは窺い知れない。

首都高の下だったか。

地図上では分からなかったが、まだ先へと連れて行ってくれる。

歩道橋で埼京線の線路を跨ぐ。

池袋駅は目の前である。

ここは池袋大橋というらしい。

空蝉橋とか堀之内橋とか、橋の名前に詳しくなるのが線路沿い歩きの副産物かな。

ラムセスという、ファラオの名を冠したラブホテルが不遜で可笑しい。

なんだか大塚からの道中は、何もかもが池袋寄りに引き寄せられてしまった、真空地帯か虚空ででもあるかのようだと気付いた。

もちろん、何もないわけではない、道があるのだが、それにしても。

池袋大橋から階段で降りた。

同じ街並みだが、視点が変わるとこれほどまでに見えるものが変わるか。

向こうに歓楽街が広がっている。

勤め先から見て、池袋はかなり近場と言えるのだが、この界隈はもっと詳しくなりたいな。

今までの人生何をしてきたのだろうか、なんてふと思ってしまう。

このまま煌びやかな街に溶け込んでいくわけでもなく。

西一番街中央通りのお店へ這入った。

せんべろハシゴというのは基本スタンスだったが、次回は一人で歩こう。

それでも、生牡蠣四つで四百円、知る人ぞ知るお店だ、UOKINバルさん。

私があまりの勢いで食べるものだから、後輩Cは二つも寄越した。

カルパッチョのLサイズ、これで3〜4人前だという。

後輩は少食な方なのだが、男二人ならこれが嬉しい。

他には白子のフリット、牡蠣フライなど。

帰りは山手線で高田馬場から乗り換え。

懐かしい街に近付いてきた。

次回は初の目白、一人歩きにはもってこいな街という気がする。




編集後記

 ギャラクシーエンジェルのBlu-ray BOXを自分の誕生日プレゼントにして鑑賞していたのだが、怠惰が重なって記事にするのが遅れた。酒客笑売は仕上げていたので先に更新しておくべきだった。最近多いが月末に記事が立て込むというのも、こちらとしてはスケジュール通りという感じである。今月のテーマは精算と総集編、言い過ぎか。兎も角、誕生日おめでとう、自分。

【十月号】環状赴くまま #012 巣鴨—大塚 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

だいぶ涼しくなり、ジャケットを羽織だしたのが丁度、薪能を観に行った日だ。

来月はビールの飲み歩きは厳しいかと思いつつ、先日木曜に環状赴くまま歩いた。

この日のゲストは職場の後輩A。

ニューデイズの冷やし具合がちょうど良く、ジョッキ生の泡立ちが良かった。

放っておくと溢れるので少し飲んで、19時36分乾杯。

駅前から振り返ると、向こう側に線路沿いの路地が見える。

この光景は、駒込駅前にそっくりだった(駒込は駅前のスペースがやや広かったのと、まだ陽が出ていたので、向こう側から駅を撮影していたため同じ構図の写真は無い)。

すがも桜並木通りというようだ。

この道沿いにずっと桜が咲くかと思うとすごく良い。

目を惹かれる店舗はせいぜいここくらい。

となると、逆回りコースのゴールはここしか無いということに必然なる。

先、ずっと続く。

後輩Aが足早で、撮影を遮るかの様に前にちょいちょい出る。

17時半には出れたところを19時まで待たせておいて、何を急いでいるのか。

で、ジョッキ生は飲み口が広いので、歩き飲みするとこぼれやすい。

ちょっと、今後は控えることになるな(冬場寒い時はどうしようか、コーヒーにウィスキーを垂らして飲み歩くか)。

突き当たりの様だが、ほんの少しだけ左に逸れるだけ。

山手線上に架かる江戸橋がある。

角にテイストの違う中華料理店が二つ並んでいて美味そう。

江戸橋に出た。

やはり、駒込—巣鴨間の光景に重なる。

ここから振り返る向きに線路の写真を撮った。

この流れはもうお約束な感じがする。

後輩A「いいっすね〜」

私は何が良いのか分からないままに撮影するのだが、彼は一度きりの同行で良さが分かってしまったようだ。

と言って、こんな風な散策をライフワークにするというわけでも無いのだろう。

さて、江戸橋を越せば、すがも桜並木通りはおしまいのようだ。

様子が変わったのが分かる。

なるほど、江戸橋の手前までが巣鴨、ここから先は大塚エリアということか。

日暮里と西日暮里の境で感じた空気の変化と、同じものを感じた。

少し下り坂。

道中、つくづく感じていたことなのだが、ここは街では無い。

街と街とをつなぐ、道である。

これは、車で過ごした東海道五十三次で得た着想だが、全く同じに感じた。

では、街と道との違いは何か。

環状赴くままにを続けていれば気付くだろうか。

坂を下りた突き当たりの右、進行方向。

遠くのマンションが目を引く。

所詮、道は線でしか無いから、赴いた土地を面で理解することが困難である証のように建っている。

坂を下りた突き当たりの左、線路の高架下。

この場面は、愛しの鶯谷ミステリアストンネルを連想させたが、写っているのはイマイチな一枚。

右に折れて出発。

非常に怪しげなのだが、調べてみればどうやら日本医療ビジネス大学校のよう。

足早に警察署を過ぎた。

怖いから。

うおっ、エンカウントしたぞ。

足早に歩いたら、ここだ北大塚ラーメンだ。

濃いめ醤油ラーメンの上に、気前よくチャーシューのささがきみたいなのが載っているビジュアルだけは知っていた。

後輩Aに今夜はここで〆ても良いし、都電で帰って早稲田で〆てもいいよと提案。

それにしても、そうか、北大塚か。

地図を確認したら、環状の上端は田端で、そこから左下へ向けて回ってきている途中、大塚は十一時の位置にあるようだ(歪んだ時計だが)。

ここまで来ると、もう道というより街の様相が強くなる。

交差点の左手は高架下。

つまり、駅前は近いということだ。

横断歩道を渡って先へ。

なんだあれ!

こちらは右手。

もう一度左手。

世界飯店と見える、現地の味が楽しめる小汚いお店らしくチェックしてあった。

ところで、この日の翌日に地元のタイ料理屋さんでロアナプラ気分に浸ろうと思ったら、最後に注文したフォーがとんでもなく不味くて、いやでも現地ならむしろこんなもんじゃないかなと妙に納得したのに重なる。

不味い料理は滅多に食べられないから好きである。

今度はさらに右手。

奥の建築物のライトアップが一際目を引く。

どうやら飲食店の集合施設のようだが。

しらべてみたら、なんでも星野リゾートがホテルを建てたのに合わせて出現したとか。

非常に分かりにくいが、左奥が大塚駅。

ゴールは19時56分、20分の道のりでした。

後輩Aにどこに行くか聞くと、

「魚ですかね」

なんて言うもんだから、大塚北口に魚はねえんだよと思いつつ、ピンを打っておいたお店の方へ向かうべく、ここからさらに北上。

すると、うおお、なんだこの長蛇の列は?

え、おにぎり屋さんに並んでるの??

おにぎりぼんごさんは、自分ではノーマークだった。

後輩Aは友人からこう言うお店があるのを知っているかと聞かれた記憶を思い出していた。

調べてみると、回らないお寿司屋さんのおにぎり版のようだ。

だいたい一個三百円から、と言う感じ。

面白いお店だ、いつも並んでいると言う。

写真に写っていないが、左手の通り向こうにも、電飾の輝く飲み屋施設が建っている。

先ほど写っていたのはそこだ。

北上すると、面白い看板。

例の施設の一隅、餃子で飲ませるお店だろうか。

しかし、餃子は間に合っているのであった。

魚なんて言われなければここの焼きとんだったのだが。

通過。

見落としそうになりながら、こちら。

カウンターで二、三組とテーブルに一、二組程度ながらゆったりしたお店。

その日は我々を入れて二人組が三組。

カウンターへ着き、生二つとコース。

大福帳の上にうるめいわしと卵焼き。

どちらも味わい深い。

能書き。

卵焼きの味付けにガタガタ言うな、黙って喰らえ。

ということか。

甘いのしょっぱいの、だし巻きだの色々ありますね、卵焼きは。

我が家には家庭の味がなかったので、卵焼きの味付けにこだわりなんかはゼロ。

近所のお弁当屋さんの卵焼きは甘めでしたな、回転寿司のネタにあるような。

某グルメ漫画では、目玉焼きにケチャップがどうとかあったっけ。

この後、柿と茸の胡麻和え、鮎の姿煮。

食べ終える前にお酒は九頭龍の冷やに移行。

燻製五種、鯖の切り身、肉(詳細は失念した)、チーズ、笹かまぼこ、ポテトサラダ。

喜久酔のぬる燗に移行しつつ、メイン。

鰹出汁で炊いて、左のカマトロ、右の大トロの順に出して下さいました。

黒胡椒をペンチで程よく潰したのが添えられていた。

熱々のねぎを食べるのに気をつける。

食後、釜炊きのご飯。

一杯目は二口分ほど、たっぷりの香の物でいただける。

二杯目と三杯目はそれに炊いた出汁をかけていただいてサッとかき込む。

ここも黒胡椒を振っておくのが良い。

粒あんとほうじ茶でおしまい。

ラーメン食べないで大満足コースだ。

駅前に移動し、一人で来ていたらここだったろうなというお店を写した。

この日は、前々日に良い仕事が出来ていたので、ケチケチせずに後輩に振る舞いたい気持ちだったのだ。

都電で数駅先の早稲田へ、東西線に乗り換えるためだ。

つい、懐かしいお店に足が向いてしまった。

なすからマシマシおかずのみ。

コンビニで缶ビールを購入して、一杯飲み直し。

安定の穴八幡。

姿は見えないが奥から学生たちの声が聞こえた。

夜が更ける。






編集後記

 十月号のテーマは能とか狂言、もあるのだがやはり小林秀雄である。一通り散りばめたつもりだが、本当に出汁程度の香りもしない様な登場の仕方もある。新潟へ行き、安吾風の館に行ったのも小林秀雄との関連だ。

 総力特集は毎月十五日と決めているのだが、またしても落としそうになったし、やはり総力を上げた割に目を惹くのはタイトルだけになった。未熟なものを未熟なままに出すということ、それは一つの里程標だろう。

 しかし、八月末からの多忙も明日、三十日で終わりそうだ。定時に上がってグッと飲もう。

【九月号】環状赴くまま #EX 船橋ー夏見 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

いつもと場所を変え、地元船橋からお送りする。

初秋の爽やかな夕方だった。

この日のゲストは、私の父である。

綿摘恭一と壮一のペアを狙ったが、親父の財布が頼みの綱だったというのもある。

東武百貨店のあるビル奥に船橋駅が収まっている。

小説では向こうに西武があるのだが、残念ながら閉店している。

よって、小説中でも早々に西武撤退から物語が始まる。

こちら側は、言わば船陰側だ。

反対側の船陽側はもっともっと歓楽街が広がっているが、今回歩く方は住宅街が続く。

この先、千葉県道288号、夏見小室線という道路を行く。

小室まで行けば、船橋アンデルセン公園がある。

奥にあるのは蛇沼公園。

かつて蛇沼という名の沼だったため、窪んでいる。

遠目に見たが、酒盛りに都合の良い落ち着いた雰囲気を感じた。

すぐ交差点となる。

ここが、駅前と呼べる範囲の限界と言えよう。

信号待ちしている間に、右手の長津川を収めた。

向こうで海老川に合流する。

業務スーパーの入り口はあるが、ここから先は住宅街然とする。

ゆるやかな傾斜の坂道。

左手が崖になっているのは、おそらく、長津川の河岸段丘だったからであろうとは父の説。

夕陽を浴びながら、消防隊員さんたちが訓練をしていた。

撮影者の後ろに船橋中学校がある。

彼らにとって、この光景は馴染みのものなのだろうが、私ははじめて知った。

飲めるハンバーグで存在感を出しつつある、焼肉屋さんの将泰庵。

奥の生そば、あずまさんの評判は、父も友人ずてに聞いていたらしい。

お蕎麦もお刺身もお肉も良いんだとか。

ここを一旦、右へ折れる。

行きたい行きたいと思っているお寿司屋さんは、月曜定休。

駅前に立ち食い店舗があり、ここを知らなきゃ船橋じゃモグリ。

市場のお寿司屋さんもおすすめだが、朝から昼までしかやっていない。

向かう先は雑木林。

というわけでは決してなく。

さりとて公民館が目的でもないのだが。

夏見日枝神社。

先日比叡山へ行ったばかりで、地図で見ていて気になったのだ。

入口がわからず、グルっと回ることになった。

道すがら、

「日吉大社は猿を尊重しているんだっけ」

「そう、神猿と書いてまさるって読むの。魔が去る、勝るっていう縁起のいいお猿さんが飼われていたよ」

「当時通っていた高専には全国から生徒が来るんだけど、パパなんかは小平の田舎者ってよく言われてた。友達に土屋勝くんってのがいて下北沢出身、父親が新聞記者のインテリで、当人は弁舌に長けてて全共闘でアジテーターを務めるカッコいいやつがクラスにいたんだ」

「高専ってどこにあるの?」

「高尾山のふもと、寮生活してるから。で、土屋くんからたまに誘われて、俺の身に危険が迫ったらお前が護ってくれって、用心棒みたいなのしたこともあってさ」

父は高専、大学と空手部で主将だった。部活ばかりしていたため、高専では友人たちからレポートを写させてもらう立場。大学三年への編入は成績不振で成らず、一年生として進学した。お陰で今度はレポートを友人に写させてやる立場になり、空手部でも期待の新人として活躍できたという。レールから外れても何とかなるというのは、外れても安全な範囲のレールに乗れていたためであろうか。

「けど、東京小平だけじゃなくて、本当に地方からやって来る、どう見たって田舎っぺみたいなのもいてね。柔道部の細野くんっていうんだけど、こいつがしょっちゅう人を笑わせる様なおかしなことを言うからよく一緒にいたんだ。あるとき、高専の漢文の授業で、青木先生っていう後に京都の大学教授になる先生が、李白の『早発白帝城』を講義してくれた。『早に白帝城を発す、朝に辞す白帝彩雲の間、千里の江陵一日にして還へる、両岸の猿声啼き往まざるに』と偉大なる青木先生が読んでいると、前に座っていた細野がすかさずクルッとこっちへ振り向いて「啼き、山猿に」と得意満面の笑みで土屋勝のことを指差すんだ。あの何とも言えない、ニンマリした表情は決して忘れられない。」

父もまた笑顔になり、身振りを交えて繰り返した。土屋勝と啼き往まざるで、山猿。田舎っぺでイモの細野氏が都会っ子でインテリの土屋氏を、ここぞとばかりに揶揄する様は、当人にとってはさぞ気が晴れたことだったろうし、される側からすれば苦々しいことだったに違いない。細野氏はその後、化学の道に進み、まだ若いから受賞は無理だが何年か前にノーベル賞候補になったという。

日吉大社が猿を珍重しているという話題が、刹那のうちに父に過去を思い出させたのだった。

通りに戻ると、目の前は小さな公園。

球技をしている子供たちもおり、ここの向こうに小学校がある。

将泰庵のもとまで戻る。

右へ、夏見小室線を改めて直進する。

もうゴールはすぐである。

お寿司が休みなら、焼肉にしても良いのだが、鰻。

こちらのメニューは至ってシンプル。

鯉の洗い。

これを摘みながら、父の宴会の余興にバニーガールの格好でいつまでも待機させられた所為でキリンビールだけは飲むまいと決めた話も聞けた。

現在、父とキリンビールは和解している。

うざく、二人前から注文可。

菊正のぬる燗は主役を引き立てる大健闘で、大いに株を上げた。

この後、鰻重。

ぱりぱりではなくふわふわのやつで、美味い美味い言って平らげる。

船橋の住宅街、夏見にも良いお店や美味しいお店が沢山あることを伝えられただろうか。








編集後記

 休刊をはさんだ九月号は、船橋特集となった。特筆すべきは船橋ノワールの世界に、宜敷準一が参上したことだろう。これは、ライターごっこを続けていくうちに、どうしてもそうせざるを得ない様な気がしたために実現した事であり、今後はスピンオフの虚飾性無完全飯罪の内部で、ヨモツヘグリともうタレに並行して進行する予定だ。

 で、本題の船橋ノワールを今月の総力特集としていたのだが、有体に言えば落とした。八月末に四泊五日の業務が急に入れられたのが原因である。しかしながら、「落とした」ということは「書いている」ということでもある。次回第七章は前半の区切りとなるから、楽しみにしていてほしい。

【八月号】休刊のお詫びに代えて【キ刊TechnoBreakマガジン】

お酒にまつわる失敗談を寄せてくれと依頼を受け、酒客笑売を書いている。

それも一度は断ったのだが、原稿一本につき一席設けるとの口車に乗って引き受けてしまった。

何ということはない、編集長の卍君の月末の飲み歩きの横に付き添うというだけのことだった。

何とも迷惑千万な話である。

食べ歩記、飲み歩紀なら取材に出掛ければ収穫もあるだろうが、失敗談は過去の話なのだ。

といって、山手線沿線の名店から出禁を食らう羽目になるまで羽目を外して飲んで取材に替えれば済むというのは、もう若くないから率先してやりたいとはあまり思わない。

宜敷君の書く食べ歩記は、一食一飯から読んでいた。

よくもまあ、あれだけ食べられるなと思いながら、お酒に関してなら同じくらい飲めるから、もしかすると彼が僕の文章を読んだら同じように呆れているのかもしれない。

彼の文章はからりと乾いた笑い声がよく響くような感じがする。

一食一飯流に言えば、からりと揚げられた唐揚げが、からからいう風な笑い声か。

比較すると、お酒にまつわる感情はそう一面的に書くことはできない。

私は笑い上戸であり怒り上戸であり泣き上戸だからだ。

そこで、酒客笑売を書くにあたって心がけていることがある。

職業柄、コンプライアンスに関して考えることが多い(ライター業では食べていない)。

お客の立場なら、私がステージ上でどのように振る舞えば喜ぶか、演じた結果が的外れだったということが多々あった。

私のようなキ〇ガイが担当者ならば、笑いの絶えない業務になりそうなものなのだが。

同僚からはよく

「変な人だけど、悪い人じゃない」とか

「クセがありすぎて好き嫌いきっぱり分かれる豚骨ラーメン」とか。

私に直接言われるのではなく、他人にこうやって紹介されるのである。

これではまるで、役者さんが思う演技と、観客が期待する演技との相克に引き裂かれているかのようだ。

だからこう思う様にしている。

キ〇ガイを演じたい私と、キ〇ガイは要らないと期待する顧客との相克によって、コンプライアンスなどというワケのわからない観念自体が引き裂かれるべきだと。

私の意図が伝わらない、私が意図していない読者の方々に向けて分かりやすく言い直すならば。

(意図的に他者を傷付けるようなものでもない限り、)コンプライアンスなんぞ糞食らえなのだ。

酒客笑売はその一点だけで原稿を依頼されたと思っている。

ついでに、あなた方にも分かるような言葉で和訳をしておくならば、それは遵守といったところだ。

そして、私の流儀で訳すならば、それは殉死といったところだ。

そう思ってみれば、糞食らえと言いたくなる心情も察せられるのではあるまいか。

では、そんな私から、つい最近あった一食一飯的酒客笑売を、八月号休刊のお詫びに代えてお届けする(よう編集部から依頼されたので書く)。



先日アップロードされた餃子の話の冒頭で、宜敷君はガリの使い所が分からないと書いていた。

あれ、実は私も同感だ。

とりあえず(という口ぶりに反発するような料簡の狭い連中を無視して)生を注文すると、先方でもとりあえずガリをつけてくる。

あぁ、これは韓国料理屋で出されるナムルとかキムチとかカクテキみたいなもんかと思いながら、ガリガリやる。

で、ビールをグッと飲む。

何かちがう。

これなら韓国料理屋へ行けばよかったと半分後悔しながら、しかし肝心のお寿司を注文して気を取り直そうと試みる。

ちなみに、韓国料理屋では冷麺の使いどころが分からない。

何なら、お蕎麦屋さんで美味しいお蕎麦というものを食べたことがない。

私の感覚は、お酒に特化し過ぎているのかもしれない。

西船橋駅構内に立ち食い寿司店があり、仕事上がりに一杯引っ掛ける。

この頃、平日の夕方はハッピーアワーでビールが安くなるのでよく行く。

とりあえず(とは板前に言わず心でぼやきながら)生と、いつものセットを注文して待つ。

他所のお客の注文の狭間を縫って、おっかなびっくり注文せずに十貫出るので気が楽なのだ。

その割に、出てくる順番がデタラメで、決まっているのは仕舞いに穴子と玉子を出すことである(穴と玉で竿はない)。

これらを食べてから、お好みを少しばかり注文していくのが、板前にとって都合が良いのだろう。

しかし、書いていてむかむかしてきた。

というのも、そこの立ち食い寿司での注文の話がしたいからなのだが。

和装のいなせな姐さんが飛び込んでくるなり

「ただいま」と言った。

続けざまに、生とも。

小柄な彼女は提供されるまでになんやかやと無駄口をたたきながら待っている。

その様子を横目に一人で静かにしていた。

「今日、トロぶつある?」

ああ、トロぶつは美味いのに安上がりだから、この店のことをよく分かっているらしい。

姐さんは乗り換えの時間つぶしと冷やかしを兼ねてか、ビールと寿司二、三貫で出ていった。

会話の内容から分かったのだが、乗り換えの時間調整のためによく来ているらしい。

その姐さんと先日二度目の邂逅をした。

腹が立ったのはその時の状況だ。

店内のカウンター半分に偏って、お客がびっしり並ばされた夕刻である。

おいおい、まだ少し早い時間なのに参ったな。

セットを差し込んじまう方が迷惑そうな混雑具合だぞこれは。

生を注文する。

これは板前じゃない店員が用意して出す。

一口で半分くらい飲む、美味い。

夏場は寿司も天婦羅もビールが美味い。

誰だ、さっき韓国料理屋なんて言ったのは。

しかし、である。

私がビールを飲んでいる間にも、お客はめいめい注文する。

板前は

「へぃ」

とか暗い返事だ。

たまに

「順番で伺います」

などと抜かす。

傍から見ていて、こいつはどういう料簡か思う。

何だ、順番とは。

隣の客がこれじゃあ、こうしてビールを飲んでる私の順番はいつ来るのだ。

「注文するな」とでも言いたげではないか。

この店に限ったことでは無いが、こういう状況は廻っていない寿司店でよく見られる。

カウンターにいる全員の手元から寿司の有無を確認し、あまり立て続けになりすぎない程度に、かつ板前の手が空いているのを見計らって、刺すように注文しなければならない状況。

タランティーノ風に言い換えるならば、寿司屋のメキシカンスタンドオフである。

京成船橋駅前の回転寿司屋さんでは、板前がベテランなのと、常時複数名体勢の分業制であるため不都合を感じないのだが。

西船橋駅構内の場合は、お客がそんなに来ないだろうと高を括られている時間帯は板前が一人なのだ。

二人が立っていたとしても満席の場合は同じく不都合があるにはあるが、そんな夕刻に混雑が起きていた。

板前がピリピリしている以上に、カウンターにずらずら並ばされたお客の方が気を張っているのが笑える。

他のお客が私自身を見る鏡にならないように、自分自身の表情に気をつけつつ、彼らを横目で流し見る。

独り言が多いのと、莫迦丁寧過ぎて滑稽なのと、たまたまやって来た姐さんと、板前が休む暇を与えないよう不遜な注文をしようとしているこの私と他二人。

姐さん以外はみんな狂気に満ちているかのような目付きではないか。

今日は洋装の姐さんだけが、ただ一人板前に軽口を聞いている。

こういう時、気を遣わない奴はいいよ、周りを気にせず自分の好きなものを勝手に注文できるから。

私のような気遣いではなく、気違いはというと、やり切れなくて泣きそうになる。

あんまり泣きそうだからこう考えた。

日本の寿司屋のカウンターに客と板前との隔たりがあるおかげで、我々のように刃物を持たないキ〇ガイは刃傷沙汰に及ばないで済むのだと。

いらつきが嵩じて、適当なところで結局セットを刺した。

のだが、似たような逆の経験をその直後にした。

引退間際の体育教諭は、私の父ほどの年の差なのだが様々に便宜をはかってくれることがあり、年に一度は二人で日帰りの登山に出掛ける。

隔年で群馬県水上温泉に泊まり、翌日谷川岳を登る。

泊まりの夜は酒盛りである。

酒客笑売的破天荒はその場で演じることはないが、飲んでいる時はジジーコゾーの仲だ。

その日は落雷注意報が出ており、切符売り場で早めの下山を勧められた。

なるほど、ロープウェイは霧へ霧へと向かって進んでいく。

天神平スキー場から始まる登山道は五十メートル先も見えないような状況で、先へ行く二人連れはさながら死の世界へ迷い込みに行くかのような不吉さを感じさせた。

我々は雲の世界にいるのだ、などと楽観的な心持ちにはなれない。

晴れの日には見晴らしのいい、木々の緑と、空の青さに囲まれた山なのではあるが。

私の登山は、黙々と進むスタイルである。

右足を出したら、次は左足を出す。

その繰り返しで山頂へ行き着くという、当たり前のやり方だ。

ふうふう言いながら、汗をどんどん落とし、それでも極力早足で登っていく。

谷川岳はほとんどずっと登りで、稜線をずっと渡っていくような快感とは無縁のようだ。

それに加えて、岩場鎖場難所が重なる。

二年ぶりの登山で、この日は軍手を忘れたのが失敗だった。

登山客はまばらというよりは盛況で、行く先々で道の譲り合いが起きている。

寿司屋の状況はそこで再現されることとなった。

と言うのも、物言わぬ私の寡黙な両脚は人をぐんぐん追い抜くからなのだが。

適当な広さのある道では脇から通過したり、曲がり角の外周に差し掛かって休憩をとる方々の横を失礼したりを繰り返す。

そういったことを反復していて驚いたのだが、追い抜いたと思った途端に私の後ろからピタリ迫って歩く登山者が何名もいたのだ。

おいおい、

「順番で伺いますよ」

煽り登山やめてもらえませんかね。

そういった手合いに限って挨拶ができないのが苛立ちに拍車をかける。

以前、卍君が書いていたトリアーデにはこうあった。

対立を行き来せよ、と。

地元駅中の立ち食い寿司と、田舎の温泉宿そばにある登山道とが接続されるなんて、いったい誰が考えるだろうか。

それにしても、彼が書いている船橋ノワールの続編はまだだろうか。

森林限界に到達し、忌々しい霧から抜け出したらしい。

ここは雲より高い世界、天神平から一時間半ほどの距離である。

徒歩ではなく登山となると消耗が激しいが、ここからもうしばらく上へ。

山頂の少し手前に山小屋があり、そこの売店で缶ビールを買った。

思えば今までは、山に登って山頂で食事して戻ると言う、健全極まりない体験ばかりだったのだが。

乾杯。

沁みるような美味さが癖になりそうである。

隣のベンチでカップヌードルを啜っていたお客も、感激の言葉をもらしていた。

抜けて来た雲は群馬県側、新潟県側は快晴だ。

雲の壁は、県境となる稜線沿いに立っていた。

【七月号】環状赴くまま #011 駒込ー巣鴨 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

駒込は、山手線で我々の拠点に最も近い駅である。

職場がここから二十分程度の所なので、私自身乗り換えによく使う。

今回は、ここからほとんど初上陸の巣鴨へ行く。

18時52分、黄桜の黒ビールで乾杯してスタート。

午前中の雨は午後には止んだが、ここでも小雨に少々打たれた。

それもすぐに止んだのでホッとした。

濃いめの黒ビールはよく冷えており、蒸し暑い夏の夕暮れにぴったりだった。

この一本はまた買いたいと思う。

ここを駅前のここを真っ直ぐ、線路沿いに歩く。

前回のルートの延長だ。

実は前回のゴールと今回のスタートの間に若干の開きがあるのだが、そこにも名店は数多くある。

外環右回りの周回で紹介できれば良いが、いったいいつになるだろうか。

一度だけお邪魔したことのあるカフェ、クックさん。

夜はお酒の提供もあり、洒落たビストロになる。

席数は少なめの、隠れ家的店舗。

会員制の銭湯。

以前通りがかったときは、飲み会の後だったので消灯していたのか、まったく分からなかった。

いいなと思いつつ、ここを利用する時は泥酔していそうだから迷惑になる。

その先の、小高くなっているところから、線路を見下ろした。

フェンスにレンズを捻じ込んで撮影した。

普段はもっと野暮に見える。

直進できないため、ここで一旦北西に逸れる。

見えにくいのだが、さかえ寿司さんの看板が白く光っている。

ここまで来ることもあるまいが、駒込外環なら良さげな評価のお店だ。

ちなみに、駒込にはよく行くお寿司屋さんがあるが、内環逆側にあるのでここからは遠い。

ここを左に折れる。

南西へ。

線路に再合流。

道なりに右へ折れる。

喧騒とは無縁の通りが心地良い。

正確には七時三分。

出発からまだ十分程度である。

住宅街が続く。

写真には収めていないが、一角だけ随分と豪勢なお屋敷が建ち並んでいた。

分かりにくいが、SEIYUの看板が光っている。

右手にあるのは巣鴨スポーツセンター。

駅からアクセス抜群、使い勝手の良いサッカー場だ。

プールも、ゴルフ練習場もあるという。

真・女神転生なら、巣鴨ステージのダンジョンにでもなりそうなビジュアルだ。

Saeというのは、会員制の美容室らしい。

と、その隣に随分とディープなコレクターショップ。

こういうの初めて見た。

中にも這入ったが、怒られると嫌なので撮影はせず。

巣鴨の太陽書店、というと失礼か。

知らず知らずのうちに、駅に突き当たった。

角を曲がると、巣鴨駅前の夜空が広がっていた。

雨雲も払われて、良い夜である。

巣鴨駅ファサード。

駅前のパチンコ店。

SugamoKaikanとは巣鴨会館ということだろうか。

公民館みたいなネーミングが笑える。

巣鴨快感という意味ならば、高齢者さんたちの射倖心煽られまくりだが、そんなことを考えると輪をかけて笑える。

こちら、駅前せんべろストリートへ向かう。

見える。

地元の大衆居酒屋、千成さんだ。

根強いファンが多く、巣鴨といえばこの店といった風である。

火曜の夜のためか、席はほとんど空いていた。

お店自慢の煮込みをいただく。

芝浦へ毎朝買いつけ、牛もつだけを使用した煮込みだ。

う、一番好きな煮込みより好きな味だ、というか美味しい。

みんなに食べてもらいたい味、脂っこいのが好きなら絶対に喜ぶね。

口コミによると、八時には売り切れていることもあるとのことで、今夜は梯子酒のつもりだったが先にこちらへ伺った。

でも高いよ(涙)

瓶ビールと煮込みで千円超えたらダメでしょ…。

串物も、一本百三十円でこれは、他所にもっともっと良いお店あるよね。

まいっか、認識を改めてね、小料理屋ってことにしましょ。

〆のウニスパゲティがおすすめのようだが、〆ずにもう一軒!

非常に見えずらいが、奥に「でかんしょ」さん(珍しいチケット購入制のお店)、「晩杯屋」さん(呑助の味方みたいなチェーンのお店)。

実は先週、メンバー一同で巣鴨遠征を決行し、晩杯屋さんで立ち飲みしたばかりだった。

その日は、話好きで世話好きで、酒好き女好きの大先輩が隣の卓にいらして、色々とご指導いただいた。

ガールズバーによく行くそうだが、池袋では一杯だけしか女性に飲ませられない料金なのだが、巣鴨だと安いのでいくらでも飲んでもらって構わないのだとか。

呑助たちが集まると、グループ化してシマ争いやら小競り合いやらが出るそうで、こういったお店でも出禁がたまにあるのだとか。

イワシの丸焼きが変な焼き方で出てくるのは、焼き魚を知らないからこれで良いと思うんだろうねだとか。

楽しい話は尽きなかったが大先輩はさっと帰った。

で、その日は加賀屋さんへ移動して腰を落ち着けた。

飲み屋さんが続く裏道を、目的地へと進む。

今回、二件目にお邪魔したのは加賀屋さんではなく、同じ建物の一階にある「ホルモン二郎」さん。

七時までの来店で、飲み物三杯とおつまみが一品つく、脅威のせんべろセットを提供しているお店だ(土日祝は十七時まで)。

今回は、千成さんのもつ煮が売り切れてしまうことを懸念して、せんべろセット提供時間外に伺ったが、肝心のホルモンを味見したいと思う。

白レバ(タレ、豚のものだ)、四五◯円。

比較のために注文したが、普通だったので良し。

レバ(タレは敢えて選ばず、牛のもの)、七九◯円。

輪切りのネギがたくさん入った胡麻油がついてくる。

これは「新鮮なのは分かる」のだが、レバーのダメな味がしたのが惜しい。

特上カルビ、七九◯円。

わさびが洒落ている。

タン下、五五◯円。

牛タンは二倍、上タンは三倍の料金だから、タン下は良心だといえる。

結論を述べれば、せんべろセットに加えて好みの盛り合わせで行くのがコスパ的に満足な作戦だろう。

ベトナム鶏肉のお粥を注文したかったがやっていないとのこと。

メニューを見れば、やたらとベトナム押しなのだが、店員さんに上手な方が居たのかもしれない。

で、その後、スタミナの字に惹かれて何も考えずに入店。

何も考えずに、店名を冠する蔵王定食で〆。

最後の最後で、また食べたいなと思える逸品に出会った。

帰りの大通り沿いには、ガールズバーの客引きがいた。

みんな、なんだかんだで生きている。





編集後記

リリース予定が立て込んだものの、無事、七月号を終えることができた。

批判的な内容が散見されたのも、一食一飯やラーメンドラゴンボウルとは異なる次元にいるのだということの顕れと言える。

蛇足だが、トリアーデを利用するならば、船橋駅前に於ける東武と西武の対立に、I .K .E.A.がどのように絡んでくるのか、という展開にも期待したいものだ。

さて、来月八月号は休刊し、八・九月合併号という形にして九月に刊行予定である。

期待して待っていてもらえたら嬉しい。

【六月号】環状赴くまま#010 田端—駒込 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

前回の目的地だった田端駅に訪れるのは、人生で三度目となる。

駒込で南北線から山手線に乗り換えて一駅。

これから歩いて駒込駅まで戻るというのだから、少し可笑しい。

そしてその駒込にはバンドの拠点があるから、勝手をよく知っている。

印象に反して駅構内にはスターバックスがあった。

もっと不便なのかと勝手な印象を抱いていたのだが、この後でさらに払拭されることとなる。

今夜の旅の伴を待つ。

参院選を間近に控え、駅前のロータリーには鴬嬢の声が響く。

たしか、候補者の事を三枚舌、四枚舌と褒めちぎる内容だった。

Shunが来た。

「そこの飲み屋良い雰囲気だぞ」

「ここはスタート地点なのよ」

とか言いながら、まだスタートしない。

平日夜に二人で会うのは本当に久しぶりだったのだが、来られないと言っていたShoからさっき連絡があったので、待つ。

といっても、集合時間の十九時半に全員揃った。

コンビニでエビスビールを買って、乾杯。

外環右回りは道がないので、やむなく環内へ進入。

駅前の並びにはガスト、目利きの銀次、家系ラーメン。

立ち飲み屋さんもあるようだ。

Shoが仕切りに感心しているので同意した。

一食一飯に取り上げられていた回転寿司のもり一さんまであるではないか。

駅の真横にあるとは、羨ましいかぎり。

田端文士村記念館、芥川龍之介をはじめとする作家・芸術家たちを展示する施設だ。

ここを右回りにぐるっと囲んだ坂の名が江戸坂。

田端の台地から下谷浅草方面に出る坂だからその名なんだとか。

坂道を登るのは久しぶりという気がする。

陽が落ちているのにとんでもなく暑い日だった。

缶ビールなんかもうぬるくなっている。

前回もそうだったから、これは夏場の教訓である。

吹きすさぶ風がせめてもの救いだ。

坂の上に赤提灯。

写真がぶれたのが口惜しいが、塩煮込と書かれているのに矜持を感じる。

腕自慢の労働者と言った風情の方々が入り口側に陣取っていた。

ここから、一先ず外環を目指して北上する。

評判が良いそうなので、前々にピンを打っておいた浅野屋さん。

芥川龍之介が通っていたというお蕎麦屋さんだ。

今月、芋粥を読み直していたから感慨深い。

鮮魚の三島屋さん、作家とは無縁だろう。

前後に同じ名前のお寿司屋さんと懐石料理屋さんがある。

我々三人にとって、三島といえば静岡県の思い出だ。

さらに北上。

手前に見えるひさしは服屋さん。

スタートして十五分程度でやっと高架上に出た。

前回の見晴らしの良さで、秋刀魚の背骨のような線路をずっと見渡せるこういうのが見どころだと期待したが、野暮な鉄パイプに阻害された。

あんまり悔しかったのか、Shoが狂人の真似を始める。



さっきまで北上した道を左へそれる。

分かりにくいが、路地はそこにある。

それほど大きくは無いが、あって嬉しい公園。

ここではShoが外星人ごっこ。

宇宙船のようなオブジェに這入り、航空宇宙工学科連中はイキイキしている。



前回から、こういう線路沿いを尾根と呼ぶようにした。

なんというか、ここに来るまでの紆余曲折があるからこそ、尾根を歩くのが心地良いという気になれる。

そう言った点で、手軽な登山体験のようだ。

田んぼの端なんて貧乏くじ引いちまったなどと、アウトレイジの真似をしてShoが言う。

先ほどの上り坂の果てにある、ここが下り坂。

登山体験と言ったが、八重洲から始めた頃には無い風情だ。

東京は広すぎる、いや表情が多すぎる。

船橋ノワールを書いていても感じたことだ。

目を引いたので写したが、拡大して撮ったのでイマイチ臨場感に欠けてしまった。

帰ってから調べたが、キリスト教教育に力を入れている男子校のようだ。

もしかすると、平野耕太氏の電脳研がある学校かもしれない。

字楽先生がHellsing最終話に登場したのは感涙ものだった。

坂道の下に踏切。



その先に、カラオケかパチンコ屋の電飾じみた光が輝いている。

かなり場違いな感じがする。

その違和感を、瞬時の想起が解決する。

まさかと思って駆け寄る。

そのまさかだった。

ソープランド、太閤。

五三の桐紋がいやらしい。

太閤という割に価格帯は木下藤吉郎レベルの激安店だ。

風聞では妖怪揃いとかなんとかで、突撃取材する気にはなれない。

お金を貰ったって嫌である。

嗚呼、遠くにパリの灯が見える。

この日のお店は東十条に本店を構える名店、まるばさん。

お刺身もやきとんも、種類豊富で鮮度抜群。

鮮魚に特化したお店もやきとんに特化したお店も、この界隈で知ってはいるが、本当に好きな人を接待するなら迷わずここにする。

今書いていて思ったのだが、あんまり記事にして教えたくないお店だった。

一同気取ってシャリキンで乾杯。

濃すぎて笑った。

それにシャリキンはすぐに溶けてぬるくなる。

だから、ほとんど一気飲みというような格好になる。

鰹と縞鯵。

三人で来たので一切れずつ多くつけて下さった。

さらに、余っていたワラサも。

予約したほどの人気店、混雑の中で心配りがありがたい。

マグロ頬肉の炙り焼きは、食わせる気満々のフレンチの様である。

この後、上レバ、カシラ、チレ。

牛のような豚ハラミの炙り焼きなど。

箸休めに無限ブロッコリー、かぶときゅうりの浅漬け。

どれもこれも安い、美味い、間違いない。

あまり言わないようにしていたが、バンド十周年を迎えて初顔合わせの我々だ。

Shunは平成最後の歌Ωをいたく気に入ってくれているようで、僕は嬉しかった。

ということは、都合付けて来てくれたShoにも感謝しかない。

翌日は週一のバンド定例会である。



編集後記

今月号のヨモツヘグリは、#005にして従来の物語と逸れている。

タイトルや書き出し、その他さまざまな仕掛けがあるのだが…

言ってしまおう、一食一飯改め優しい約束の宜敷準ことエージェントyが、ついに船橋ノワールの世界と本格的な接点を持ったということである。

続報を待たれたし。

【五月号】環状赴くまま#009 西日暮里-田端 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

まだ陽が出ていることを懸念しながら、西日暮里にたどり着いた。

しばらくこの嫌な感じが続く事になる。

18時半、帰宅者たちの波が途切れることのない駅前である。

シャッターを切るのに難儀し、不審な目で見られたかもしれない。

少し歩いた所にセブンイレブンがあるのがやや不便で、エビスビールの取り扱いがないことは非常に不便に感じた。

ロング缶は残り半分でぬるくなるのでショート缶で出発した。

いい飲み屋というのは隠れているもので、駅前は殺風景だ。

おさらいすると…

前回のゴールで伺った千べろの喜多八さんは、良し、後で気付いたのだが、チレ串を注文しておけばよかった。

普段Kと訪れているのが、一つ向こうの路地にある千べろの三吉さん、ポタージュ風味のモツ煮はもう十分だがそれ以外はリーズナブルで種類が豊富。

大勢で飲むときによく利用する筑前屋さんが、西日暮里では韓国料理の李朝園さんと融合しているので、注文の幅を広げたいときには来たい。

ではおさらいを終えて出発する。

改札の向こう側にある路地から田端駅に向けて北上。

信号の先にあるさくら水産とミライザカが殺風景さに拍車をかけるかのようだ。

両店に挟まれた路地を行きながら、私は日暮里ー西日暮里間で感じた死の予感に、再び囚われそうになっていた。

繰り返しになるが、帰宅者たちの波は途切れることがない。

駅から離れたため、人混みと感じることはないのではあるが。

そこを駅へ向かって、手に手にA4サイズの洋菓子の手提げを持って、帰宅者たちと逆向きに歩くのは喪服姿のサラリーマンたちだったことが尚更不気味だった。

涼しい風がそよいでいたのがジャケット姿にせめてもの救いだったか。

T字路を左方向へ、そのまま真っ直ぐ歩けば次の駅に着きそうだ。

非常にシンプルなのだが、趣きのある風情が立ち並んでいる。

このポンプ置き場もまた、T字路の起点だった。

後ろを振り向いて一枚。

左方向には駐輪場が続くのでさらに北上していく。

と、右手に廃墟らしき建築物。

大学の研究棟かと思えたが、施設として生きている感じはしない。

帰宅者の群れを受け入れる街にポツンと現れる死の感覚。

後日調べると荒川区立道灌山中学校跡だという。

太田道灌公は日暮里駅前に碑が立っていた。

信長の野望で都心を選択すると太田家で始めることになる。

隣にはすぐまた駐輪場が、あるのだが、道が右へ九十度折れている。

地図を確認すると、真っ直ぐ続くはずだった道を一本間違えて進んでしまったようだ。

スタートから十五分経っている。

うなだれながら急ぎ足で来た道を戻った。

ポンプ置き場で見過ごしていた掲示板。

妙な自負心を感じる街の宝石店、珍しくて振り向いて撮影した。

気を取り直して、改札正面の路地に移動して再北上。

ゆるやかな坂がしばらく続く。

沈んだ気分は最低辺にある。

選択を誤るとまた行き止まりに着くことになる、表示に従えるので助かった。

ここらで尾根に到着した。

なんとも見晴らしが良い。

素晴らしい。

日光から中禅寺湖へ向かう途中、いろは坂を過ぎて明智平ロープウェイの展望台に着いたときに感じた開放感であると言っても過言ではない。

ただ見晴らしが良いだけではない、ここはこの尾根道が良いのだ。

感慨に浸っていると回送電車とすれ違ったのだが、誰も乗っていない電車の死の予感が、今は不思議と肯定的に捉えられた。

誤解のないように繰り返すが、見晴らしが良いことは言うまでもない。

この時、十九時前である。

幽明境を異にする夏の黄昏時が、死の空恐ろしさを生の充溢へ一変させてしまったのだ。

引き続き一本道、しばらくは下り坂だ。

先ほど私が言った、尾根道の良さが伝わりそうな写真が撮れた。

熱いコトワリと書いて、熱理さんの工場が蒼然と現れた。

映していないのだが、この逆側には安心のスーパー、マルエツさんが存在する。

その先に、少し歪な四叉路があった。

今日のゴールはこの先に設定してある。

実はこの界隈、良い飲み屋さんがあまり見受けられないようなのだ。

が、意外とあるな、こちら二件。

で、修繕中のこちら、恋湊さんは以前利用させてもらったお店。

美味しいお魚を出してくれるコスパの良い居酒屋だ。

目と鼻の先にある初恋屋さんも母体が同じらしく、地元の名店と認められている。

こちらのお店は禁煙のため、近くの煙草屋さんが用意してある灰皿まで移動して吸う必要があることをここに記しておく(煙草を楽しんでいる方がいたため、今回写真は控えたが、そこは四つ前の写真の路地にある)。

喜多屋酒店さん、角打ちをしてらっしゃるお客さんたちが見受けられた。

この界隈、飲み屋さんは少ないながら、名店揃いか。

正面から撮影しなかったが、浅野屋さんはお蕎麦屋さんだ。

お蕎麦屋さんにしては有り難いことに二十二時閉店、飲んだ〆にうってつけだ。

そして、本日のゴールがその向かいにある。

立飲スタンド三楽さん。

この店構えを見よ、くぐってみろよこの縄のれんを。

中にあるコの字カウンターは、全盛期にごった返したであろうお客たちを悠々受け入れたであろうと感じさせるような広さだった。

店内は外見以上に汚いのだが、それが良い。

すでに先客が七名ほどいらっしゃる。

私は指を一本立ててカウンターの角に着いた。

十九時五分、道を最初に間違えたのを差し引いても、景色の良さが歩みをゆっくりさせたらしい。

間を置かないように店内を見渡し、酎ハイ二五◯円とお刺身の二点盛り三五◯円を注文する。

酎ハイとお通しのお新香がすぐ届く。

「六百円です」

このお店も立飲みによくあるCODだ。

立飲みが本当に久しぶりなので驚いたが、以前の感覚を取り戻せた。

二点盛りはマグロとホタテ。

厚みは絶妙で、値頃感を保っている。

黒みがかった赤は久しく見ていないのだが、マルエツさんで売られている物とも思えない。

私としては全肯定メニューである。

とりガーリックペッパー焼き二五◯円、スパサラ一六◯円。

これは驚異的である、他所の半額だ。

レモン酎ハイ二七◯円、これで丁度良い酔いとなって帰路へ。

珍しく昼食が腹持ちしていたのでどこかに寄ろうとは思わなかった。

田端駅は左手にある緩やかな坂道を登ってすぐにある。

次はいよいよ駒込、私が山手線のハブとして最も高い頻度で使用している駅へ。




編集後記

何よりも環状赴くままが神回だった。

つい書き過ぎてしまった、写真が多い記事なので語り過ぎは無用かもしれない。

逆に、他の文章作品にほんの一箇所で良いから光る物を添える努力をしたい、書いたらそれで良いという物でもあるまい。