【十二月号】環状赴くまま #014 池袋ー目白 編集後記【キ刊TechnoBreakマガジン】

冬至を控えてはいたが、厳しい寒さを感じなかったのは、無風だったためか。

駒込から山手線に乗り換えて、池袋へやって来た。

職場で飲み会が催される時に出張って来ていた街である。

何とか飲み歩き可能な気候に感謝の念を込めて、乾杯。

この日は一人でやって来た。

友人から「連れがいた方が良いと思う」と助言を受けていたため、この頃は連れ立って飲み歩いたが、ちょっと一人の気分に浸りたくなったのだ。

いや、無計画すぎて『今日行っとかないと今月行く機会失うぞ』といそいそやって来た。

しかも、大きな仕事を済ませたその日だったという事もあるから、一人忘年会を決行したというわけである。

あっちへ、ど〜んと突き進めばサンシャインが鎮座している。

前回、大塚からやって来た時に見た光景を、より過剰にした様な街。

船橋ノワールは、ここ池袋西武と東武との代理戦争なのだ。

私は池袋に憧れるが、船橋に満足している。

17時15分、外環を左回りに一路目白へと出発。

サンシャインや歓楽街につながる通りくらいしか歩かなかったが、ここの城塞の様な堅牢さと言ったら比類無い。

油断しているとすぐテレクラである。

日暮里で見て以来、二軒目か。

環状周辺のテレクラコンプリートを目指すのも一興か。

というか、潜入調査してみたい、ぞ。

行き止まり、ではなく施設が通路になっているのか。

ここは右に迂回してメトロポリタン通りへ出てみた。

季節柄のイルミネーションも、やっと観られた。

普段、私はこういうのとは無縁だが、月に一度この取材に来る時だけは、人心地をこの身につなぎとめておくことができる気がする。

それにしても、イルミネーションの具合が若干弱いか、どうした池袋(笑)

ホテルがあるから、メトロポリタン通り。

メトロポリス=都会という意味を持たせた、JRが経営している系列の旗艦拠点。

これを短縮したのが、ホテルメッツというわけか。

ホテルの脇を抜ける。

さみしい通り、写っていないがラーメン店に人が並んでいる。

先の西池袋通りを渡ってから、内環へ向けて写した。

今回の街の切れ目はここと認定したい。

池袋は街の魅力をグッと中心に偏らせたためか、土地に真空ができている様に見える。

ここは何処でしょう?

と訊いてみて、池袋と答えられる方が怖い。

だから、ここから先は池袋では無いと、乱暴かもしれないが言いたい。

さりとて、目白でも無いから、街と街とをつなぐ道が続く。

ここを抜けると線路沿いに出る。

行政区分としては、まだ西池袋らしい。

この道は続くことなく、直ぐに曲がる。

住宅街と書けば、街の仲間になるか。

何も無い訳ではなく、住宅がある。

街らしい街、住宅、道、だいたい土地の要素ってこの三つだろうか。

迂回して、向こうに線路が見える。

俺が陥っている「街観念」って、店の集合を指しているのか。

一周回る頃には、其処ら辺のことが整理されているかもしれない。

船橋ノワールを書くにあたっても、他所の街を見る目を養っておくのは良いことだろう。

いつものように、橋に差し掛かることはなかったため、線路と電車の写真は今回無し。

このゲートの先が、目白と認定。

つまり、ここまでは、池袋の重力場が強すぎたがための真空地帯。

都市部の真空は住宅によって補填されているようだ。

ほっ、その先の建築物の表記は目白となっている。

目白入りしたとはいえ、道は続く。

自由学園から目白駅まで続くF.L.ライトの小路というのを歩いて来たらしい。

左へ行けば駅前に出るのだが、良いお寿司屋さんしか無いため、右へ逸れる。

そっちには何軒か飲み屋さんがあるようだ。

写っていないが17時37分。

サラリーマンが目白の飲み屋街へ吸い込まれていく様子だ。

あの後ろ姿はまた、私の後ろ姿でもある。

彼が眺めていたのは。

こちらのメニューである。

下はやきとんダイニング、上は肉の食堂。

私は、ちょっと贅沢して、このお店の手前にあった割烹へ。

夏ならばいざ知らず、ロング缶を飲み歩いて来たのでいきなりお酒。

知っている銘柄があったのでそれ、いつもの延長だ。

通されたカウンターで二、三つまんで退店。

後から奥のテーブル席へ通されるお客が散見された。

この日は月曜だったが、雰囲気の良いこちらのお店は人気店なのだろう。

忘年会シーズンというのもあるか。

お安くやきとんにしておく、というのはこの日の私にはちょっと無理だった。

こういう気分に浸りたかった。

しかし、私のことだから、直ぐに気が他所に逸れた。

隣の二階の肉食堂に這入って〆。

ローストビーフと焼き豚定食。

向こうにバスが停まっている脇が目白駅前。

急に街が現れた。

さて、次回は、目白から高田馬場だ。

ついさっき、学友のNとNの両名に連絡をとって次回のゲスト依頼、それと新年会の提案の承認を受けたばかりだ。

奇跡みたいなタイミングで、年始の滑り出しとしたい。



編集後記

 バンドの忘年会をやるまで、今年という束縛から逃れられなかったが、今、穏やかな気持ちでPCに向かえている。さっきまで、孤独のグルメの再放送を流しながら記事を書いていた、大晦日です。牛、豚、鶏のごった煮をお雑煮ということにして準備してある。この一年は、全部このキ刊TechnoBreakマガジンに詰まっているから、今年何があったかは大体は形に残せたというわけである。だから全部忘れてしまった。良いお年を。