【2024冬号】糞Jun 今月のHustleデッキ #007【キ刊TechnoBreakマガジン】

糞Jun

 聞いてくれ、そのデッキは誰のデッキだい?というのも、一月にShoが持ってきたデッキに搭載されていた《小走り樫》と《南小路のロージー・コトン》の無限トークンの事なんだが、そりゃ俺だって《液鋼の塗膜》と《大いなる創造者、カーン》の毎ターン土地破壊シナジーはMtG Wikiで仕入れはしたし、現環境でランク戦やってれば様々なデッキタイプの啓示は得られるけどさ。それって、試合に勝って勝負に負けてるんじゃあねえかってさ。Sho本人が「こっすいコンボ」って言っちゃってるんだもんな。まぁ、とにかく俺はもう、真面目にデッキ構築する気は失せたんだ。これからは、『目の前のエネミー』を叩き殺す事にだけ注力しようと思うよ。そんなわけで、糞Jun今月のHustleデッキは、今月で最終回になる。我が子同然のデッキじゃなくて、他所のデッキを愛情持って推す事なんて、俺のやりたい事では無いからね。

 Uncommon Low Skirmish第一シーズン九月の戦いにShoが持ち込んだのがコイツ、青赤イゼット・ウィザード、昨年度のアリーナ・チャンピオンシップで見事優勝した日本人選手、齋藤慎也選手のメインデッキと同型だ!ULS第二シーズンはこんな感じで強そうなデッキをそのまま輸入することで、構築する時間も、今月のHustleデッキ執筆の時間も浮かせようと思うからまた新しい形でキ刊TechnoBreakマガジンに携われそうで嬉しいな。岩SHOWさん、デイリー・デッキでヒストリックとタイムレスのデッキ紹介、期待してます(笑)

 それじゃあ、世界チャンピオン齋藤慎也氏のイゼット・ウィザードがどういうデッキかは、本家『岩SHOWの「デイリー・デッキ」』等をご覧頂く事として、この記事では、かつての俺が調べたくても十分に得られなかったイゼット・ウィザードの挙動について、Sho対策の備忘録を兼ねた資料として検証した事を書き残しておくぜ。

A定食 二ターン目八点ダメージ

 先ずは基本のジャブから。一ターン目、山セット、《損魂魔道士》召喚。二ターン目、島セット、《対称の賢者》召喚、賢者に《無謀なる突進》で6/3飛行、果敢が誘発して魔道士が2/3、計八点ダメージ。二ターン目に許されるダメージ量じゃねえよ、こんなんやられたらブチ切れだけどな。だいたい、このデッキに《山》なんか一枚も入ってねえんだから!《島》だってたった一枚だから!二色土地ばっか入ってんだからさ。よって、クリーチャーを出す順番は賢者→魔道士の方が、タフネス的に場持ちは良いかと思います。が、《対称の賢者》はデッキ内の様々なクリーチャー達とシナジーを形成する潤滑油になるから、《致命的な一押し》の様な確定除去が疑われる場合は、《損魂魔道士》を囮にするか、手札内で複数所有しているクリーチャーを避雷針にする等のプレイングが必要だよね。

B定食 三ターン目十二点ダメージ

 お次は重要なストレートだ。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、《戦慄衆の秘儀術師》召喚。三ターン目、《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の能力が誘発して秘儀術師が3/3、二体で攻撃に際してパワーが三になった秘儀術師の能力で三マナの《魔術師の稲妻》が再利用できて三点、ここで再度賢者の能力が誘発して賢者自身が3/3、以上合計十二点。このデッキはウィザード同士が強固に支え合うシナジーが大事っていう、お手本みたいな流れだね。こういう展開は、対戦相手との対話を無視してると思えるから、Hustleとかそういう感じがしなくて閉口するよ、やられる側からすればね。こんな感じで八点ダメージ、十二点ダメージがポンポン飛んでくるのがこのデッキのイヤな所。

C定食 四ターン目二十一点ダメージ

 最後はフィニッシュブローのアッパーカット。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、《損魂魔道士》召喚、余ったマナはそのまま立たせておき、《魔術師の稲妻》などに充てずに待ち。三ターン目、このデッキは土地が二十枚だからセット出来ないことは往々にしてある、《戦闘魔道士の隊長、バルモア》召喚。四ターン目にいよいよ動く、《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の誘発はバルモアを3/3に、さらにバルモアの誘発で全クリーチャー+1になって賢者1/3、魔道士は果敢込みで3/4、バルモア4/3。半ベソの対戦相手に情け無用の《無謀なる突進》をバルモアを対象にして8/3、賢者の再度の誘発は自身を対象にして5/3、魔道士も再度果敢が誘発して5/4(以上、全て再度誘発するバルモアの+1修正込み)、三体で殴る合計の十八点に加えて、直前の稲妻の三点、合計二十一点の四ターン目ワンショット・キル!これは《地質鑑定士》コンボ始動前に叩き込めてしまうムーヴと言えるね(《マグマ・オパス》による宝物トークンが出ていたら話は別だけど)。

裏C定食 

 《戦闘魔道士の隊長、バルモア》の代わりに《戦慄衆の秘儀術師》から四ターン目を始動するパターンもシミュレートしておこう。《魔術師の稲妻》を打ち込んで三点、賢者の誘発は秘儀術師を3/3に、魔道士は果敢誘発で2/3、賢者は未だ0/3。《無謀なる突進》を飛行持ちの賢者を対象にして3/3、その賢者の再度の誘発は自身を対象にして6/3、魔道士も再度果敢が誘発して3/4。三体で殴るに際して秘儀術師の能力で三マナの《魔術師の稲妻》を再利用(一マナの《無謀なる怒り》は次ターンで素のサイズの秘儀術師で再利用する事が想定される)、賢者の三度目の誘発は魔道士に充てて果敢込みで6/5、合計の十五点に加えて、直前の稲妻二回分の六点、これまた合計二十一点のワンショット・キル!先述と異なる点は、前者は全クリーチャーにトランプルが付与されて突破力がある点、後者は続く五ターン目に殴りかかっても《無謀なる突進》を再利用して合計九点のパンチに期待できる点だね。

 以上、相手のボディがガラ空きならば、『舟唄』のサビ直前みたいな爆発力を秘めているのがヒストリック環境のイゼット・ウィザードと言う訳だ。しかし、そう理想的な展開ばかり期待できないのは勿論だよな。同型対決や、黒が絡んだ除去や手札破壊、青お得意その場凌ぎの打ち消しやバウンス、ライフレース絶対不利の白いライフゲイン。こういう相手にはドローを織り交ぜてフックをお見舞いして行くしか無いんじゃないかな。

 ドローは一マナ《手練》、二マナ《表現の反復》、三マナ《アノールの焔》、土地の《焦熱島嶼域》が担当している。召喚したウィザードを除去されると、折角のシナジーを失って直ぐに息切れしてしまうから、一〜二ターン目の《手練》、三ターン目以降の《表現の反復》などから土地を伸ばし、土地四枚から《損魂魔道士》→《アノールの焔》で相手の大物クリーチャーを矮小化しつつ二枚ドローとか、土地四枚から《戦慄衆の秘儀術師》→《無謀なる突進》&《魔術師の稲妻》連打で合計十点とか、続くターンに《対称の賢者》→賢者へフラッシュバックの《無謀なる突進》→賢者の誘発を秘儀術師に充てて土地が四枚並ぶまでに唱えた《表現の反復》や《アノールの焔》を再利用して手札の補充をしつつ賢者の能力が再度誘発して合計九点とか、待ちながらの崩し方も多彩でやられる側は腹立つわ〜。

シェフの気まぐれサラダ枠 三ターンキル

 初手に依存するものの、決して実現不可能では無いものを最後に。一ターン目、土地セット、《対称の賢者》召喚。二ターン目、土地セット、二枚目の《対称の賢者》召喚、これに《無謀なる突撃》で3/3と6/3になった賢者が殴って九点ダメージ。三ターン目、《魔術師の稲妻》を二枚唱えて六点、賢者二体が殴ってさらに六点、合計二十一点ダメージ。初手、土地、土地、《対称の賢者》、《対称の賢者》、《無謀なる突撃》、《魔術師の稲妻》、《魔術師の稲妻》で実現可能!だけど、この手札に寄せて行くために、《表現の反復》等を使いこなしていきたいってのが分かるよね。

 さて、より具体的な各種デッキタイプ対策まで踏み込む迄には至らなかったが、三ヶ月前の自分が知りたかった事、さらに知り得た事は記載できたので満足する事とする。イゼット・ウィザードは土地も含めて、ワイルドカードが非常にかさ張るので、実際に組んで動かしつつの調整って難しいから、それなりに資料価値はあるんじゃ無いかな。あとは、プレイ環境に応じて、《絞殺》を《削剥》に変えてみたり、《兄弟仲の終焉》をメインから充ててみたり調整しよう。

 全ては、世界大会優勝の齋藤氏や、その原型を発掘しつつ研ぎ澄ませた沢山のMtGプレーヤー達、俺を含めてイゼット・ウィザードにブチのめされた無数のお友達、そして何よりいつも熱ッい記事を届けて俺たちプレインズウォーカーの灯を奮い立たせてくれている岩SHOW氏、みんなのお陰だ!おっと、ULS好敵手のShoの存在も忘れちゃいけないな、次シーズンからはもっとお手軽にボコして行こうと思います(笑)それじゃあ、Keep Hustling Forever!キ刊TechnoBreakマガジンも止揚していくから、新連載も4649な。今月のHustleデッキも、たまにシレッと戻って来るかも知れないしね。