【2023秋号十月分】環状赴くまま #024 五反田ー大崎【キ刊TechnoBreakマガジン】

夕闇の訪れが駆け足になってきた十一月末、五反田駅改札で我々は落ち合った。

この催しにはいつもアシスタント枠扱いで呼んでいるようなものなので、Shoにはいつも謝礼代りの恵比寿ビールを飲んでもらっている。

西口から南東へ向かう。

ここの向こうには、

うどん屋さんの暖簾が渋い。

駅前のああいう蕎麦や饂飩の店舗は、書店ほどかそれ以上の貴重さを感じる。

これは東京都道317号、山手通り。

品川区から板橋区にまで伸びているという。

向こうの左手奥へ。

右手に見えたのは大崎橋、目黒川に架かっている。

向こうには行かず、

左手奥に向かう。

この付近には、先月の宴をした秋田料理わったりぼうずさんがある。

土地のお肉屋さんだ、羨ましい。

もう私の地元にはこういう所は無い。

揚げ物とかは無いのかな。

こんな立地に規模大きめに見えるラーメン屋さん。

これは五反田遊びの締めに持って来いだな。

俺とは無縁の世界だ、羨ましいね。

俺はどちらかと言えばこちら側、オーク族である。

ゲップで会話ができるから、オーク語講座をYouTubeで開講したいと常々思っている。

地図を見誤って、ガード下を通過しそうになってしまった。

この先は環内、踏み込んではいけない地になっているので背を向ける。

そこの橋を渡って対岸を目指す必要があるということだった。

これはふれあいK字橋。

春先の景色を楽しむのには最適な場所だそうだ。

先に行くなというのに映り込む。

非常にわかりにくいが、橋の向こうにも撮影している男女がいた。

女性が被写体、男がカメラマンいやカメラパーソンになっていた。

春先はこの景色に加えて桜が映えるのだろう。

目黒の秋刀魚に目黒川の桜なら俺でも知っている。

王子の狐や飛鳥山の桜との対比が面白く感じられる。

橋を渡り切って向こうへ出た。

振り返ると、

配信か撮影か、一生懸命な表現者の方がいらした。

俺もまた表現者の端くれ、応援しています。

さあ、まだ五反田駅前から目黒川を渡っただけだ、先を急ごう。

さりとて、

真空地帯が続いていく。

はっきりと五反田、大崎の境界は認められないまま進む。

私が真空地帯と呼称するのは住宅街のことだから、語弊があるかとは存ずる。

この間、Shoは以前働いていた大崎に久しぶりに向かうのが楽しみでしょうがないと言った風だった。

道中、そこの職場での人間関係など聞かせてくれて楽しんだ。

Yoshikiリスペクトらしく、外見をそっくりにしているサラリーマンが居るのだという。

Yoshikiとは犬猿の仲で、グラスなみなみの焼酎にホッピーを二、三滴垂らすだけのサラリーマンも居たのだという。

彼ら二人から可愛がられていたShoは、双方が陰口の言い合いをしていたのをエンジョイしながら若手時代を享受したそうだ。

彼らが対立している理由は、仕事に対するスタンスの違いかららしい。

イデオロギーの対立というわけだ。

俺はそれを愚かしいことだと思っているが、現実問題としてそうせざるを得ないということも分かる。

聞かせてもらいながら楽しんだ。

行列しているのは焼肉屋さんのようだ。

大崎駅前が近い。

のだが、西口はさほど栄えている風では無い。

本来ならここでゴールなのだが、Shoの旧勤務先など色々と案内してもらうことにした。

予約の時間までまだ間があることだし。

大崎駅南口を目指す。

やっと、街らしさを感じられるようになった。

駅南口へ通じている通路へ上がった。

向かう先は、

我々が東海道五十三次の撮影で立ち寄った場所である。

Shoはここに勤めるようになって、既視感に襲われたのだそうだ。

なるほど、案内されてすぐに記憶が蘇った。

あの窓に面した座席の一角を占領して動画を撮っていたっけ。

次は、Sho思い出の喫煙所へ案内してもらう。

まあ、このご時世、既に撤去されているだろうが。

ここいらの造りがイクスピアリに似ているのだということもShoからのアピールポイント。

なるほど、雰囲気を強く感じる。

きわめつけはこれ、まんまやん。

喫煙所は案の定無かった。

それでは、この夜の飲み屋さんへ。

とりいち大崎店さん、この日のお通しはビーフシチュー。

西部劇でお馴染みのチリコンカルネを注文すると、クラッカーもついてきた。

これは飲めるなぁ。

鶏ハツのねぎまみれ。

とてもリーズナブルで、それに美味しいものばかり。

二人とも満足して夜が更けた

来月は品川へ行く。