熱狂の七月三回戦から二十一日が過ぎた。
それは、あまりに途方もない、次のSkirmishに十分すぎる時間だった。
その日、Junは業務で出張のため、錦糸町のいつものパブに十七時過ぎに集合した。
先に入店していたShoはこの日は暑いからとビールを、Junも同じ理由でシードルと黒ビールのハーフ&ハーフを買って着席。
【八月一回戦第一試合】
先攻Junは初手キープ、後攻Shoもキープ。
黒の両面土地から《よろめく怪異》、Shoもこのクリーチャーの厄介さを知っていた。
死亡誘発能力で、対象のクリーチャーに-1か、宝物トークンの生成かを選べるのだ。
ターンもらってSho、部族指定をクレリックにして土地を出し、《月皇の古参兵》召喚。
他クリーチャーの召喚で1点ライフ回復、死亡しても墓地から再度召喚し直せるという、こちらも厄介な一マナクリーチャーである。
Jun、三ターン目に《ヴェールのリリアナ》、四ターン目に《ファイレクシアの抹消者》とお手本の様な展開。
しかしながらShoも四ターン目の返し、《月皇の古参兵》が二体いる状態で《祝福されし者の声》を召喚、+1カウンターが2つ乗って4/4のパワー・タフネスとなっている。
さらに、Junの抹消者に《次元の撹乱》をエンチャントし、これを完全に無力化してしまう。
そのままJun、為す術なく敗北。
Shoは《太陽冠のヘリオッド》までも戦場に出していた。
これでも双方、デッキぶん回りの結果である。
【八月一回戦第二試合】
先攻Jun、《コジレックの審問》による手札破壊を初手から二ターン連続で決め、さらに《オークの弓使い》を三連打、《ファイレクシアの抹消者》も戦場に出すなど大攻勢。
しかしながら、Shoの《太陽冠のヘリオッド》により絆魂の支援を受けた《光明の幻影》がしぶとくライフ回復を繰り返し、逆転負け。
白単ヘリオッドの強烈さが光った。
二試合連続、デッキぶん回り。
そのどちらともJunが一歩及ばなかったという結果である。
【八月二回戦第一試合】
先攻Sho、平地セットから《魂の管理人》、《月皇の古参兵》、《太陽冠のヘリオッド》、《婚礼の発表》と毎ターン展開していく。
後攻Junは先月の赤緑デッキ、初期手札はビートダウンもコントロールも狙えるのだがクリーチャーを展開していく流れに判断(ここで土地破壊路線に舵を切っておくべきだった)、《指名手配の殺し屋、ラヒルダ》から《無謀な嵐探し》と殴りつつ、《古えの遺恨》二枚を捨てて《ナヒリの怒り》を《魂の管理人》と人間トークンに撃ち込む(これも早計な判断だったと思われる)。
Shoはこの後、《スクレルヴの巣》や《セラの模範》などを召喚し、自陣にクリーチャーを呼び込むことで「ライフ回復→ヘリオッドの能力誘発」を計り+1/+1カウンターを増殖する盤面を強固にしていく。
Junは粘るのだが、Sho陣営にクリーチャートークンたちが大量生産され、十五分を越す長丁場を押し切られてしまう。
双方理想的な初期手札の様だったがJunの判断ミスで今月のULSにShoが王手をかけた。
【八月二回戦第二試合】
先攻Jun、《辺境地の罠外し》、《不吉な首領、トヴォラー》、《大いなる創造者、カーン》と毎ターン展開。
後攻Sho、《月皇の古参兵》、《スクレルヴの巣》、《祝福されし者の声》と展開。
ここはJun、《トヴォラー》で強気に殴りに行き、《祝福されし者の声》をチャンプブロックさせることに成功、《カーン》からは-2能力で《液鋼の塗膜》をサーチ。
ターンもらってSho、《次元の撹乱》を《カーン》にエンチャントすることで能力を封じる。
中盤に差し掛かった盤面は夜
Jun、《激情の罠破り》、二体の《執拗な仔狼》のうち二体目は強化されている、《液鋼の塗膜》、無力化された《大いなる創造者、カーン》はこのターンに二体目を召喚する事で交換されている。
Sho、《スクレルヴの巣》とそれにより生み出されたファイレクシアン・ダニトークンが四体、《月皇の古参兵》、《魂の管理人》。
双方手札は一枚ずつ。
ここでJunが仕掛ける、《液鋼の塗膜》で《スクレルヴの巣》をアーティファクトに変えて《激情の罠破り》が単独で攻撃、これにより《スクレルブの巣》は破壊される、《カーン》の能力で《ワームとぐろエンジン》を手札に。
Sho、この展開を打開できるカードを引き込めず、次第々々にリソースが尽きていく。
この試合は十五分弱となったが、Junが勝利。
【八月二回戦第三試合】
Jun、マリガンを忌避した反動で土地ばかりの逆事故、《指名手配の殺し屋、ラヒルダ》以外にクリーチャー展開出来ず。
一方でShoは理想的な流れでどんどん盤面に布陣していく。
五分かからずShoの勝利。
「心の安定を早くに与えてくれてありがとう!」
とは勝者の言。
だが、Junの心も晴れていた、真正面からぶつかった、ならば結果はどうでも良いのだ。
次月のデッキは決まっているのだった。