【人生5.0】Junの一食一飯 #008 珈琲所コメダ珈琲店【ONLIFE】

咖喱の後には珈琲を飲む。

この二つをセットにしているイメージは何処で植え付けられただろうか。

新宿か新橋か、まあそんな所だろう。

前回、CoCo壱番屋さんで咖喱を頂いた。

無論日を改めてではあるが、珈琲を飲みに行こうと決めた。

向かうのは珈琲所コメダ珈琲店さんだ。

 

よく見かける記事には、その質量感に圧倒されて、敗北感と共に退店という一連のクリシェが出来ている。

変態&異常の二重属性を食欲に擁する私には、何、恐るるに足りぬ。

だが念のため、朝食はコンビニおにぎり二つにしておいた。

何も食べないままでは、日課のランニングに障ると判断したためだ。

 

二日前の土曜、会合の後オフィスの寝袋で寝た。

職場泊は二年ぶりだろうか。

間の悪いことに、明くる日曜が工事のため、守衛さんが来てしまった。

騒ぎとなったらしく、朝八時ごろ血相を変えた部長がオフィスに来た。

寝巻きがわりの運動着姿で仕事をしていた私は事情を説明し、小言を貰った。

 

凹んでいても仕方がないので、日曜はやることを済ませて夕方に退社。

親友のKが珍しくLINEを寄越し

「御茶ノ水の蕎麦屋が閉店しててショック」

と言っているので、合流して慰める。

金曜から三日連続で飲んでいる事になる。

聞けば、閉店したのは小諸そばさんだという、私もショックだった。

 

そして、今朝は月曜、いつも通り朝一番に出社して部長に頭を下げた。

お咎めなし、円満解決し、ニコニコで今ランニングに出かけたところである。

身体が軽い、心が清々しい、そろそろお腹が鳴りそうだ。

そんな私を察してか、部長がその日の三時過ぎに丸亀製麺さんのうどん弁当、秋刀魚の天ぷらが載っているやつを差し入れてくれた。

昼食に摂るなら白いご飯も欲しくなるが、おやつには丁度良かった。

 

さて、そんなおやつから遡る事、五時間前。

私は珈琲所コメダ珈琲店さんに居た。

出された水はすぐ一息に飲んでしまった。

ランニングしてシャワーした後だったからだ。

早すぎる昼食、何にしようかと固唾を飲んでいる。

 

入店までの困難もあった。

朝のすき家さん、日高屋さん、プロントさん、松屋さん、富士そばさん。

ランニング後の私はビールが飲みたくなっていたのだ。

さらに、コメダさんのすぐそばには、孤独のグルメにも出ていた有名な飲み屋さんが開いている。

何のためにランニングをしたのだと自分に言い聞かせて、今、コメダさんのメニューと対峙している。

 

しかし、一択だ、やはり。

ヒレカツ、金貨が五枚載っているかのようではないか。

迷宮の男さながらである。

さっきから白いご飯が食べたくてしょうがない。

丸パン二つでは心許ない思いがする。

ここで欲をかくから失敗するのはもう見飽きているのだ。

つまり、サンドイッチに手を出せばバースト、ミックスサンドをぐっと堪える。

 

これなら行けるだろうと探したのは、エッグバーガー。

メニューの上からシールが貼られている。

店舗での取り扱いなし。

ロスト!!

ご飯は無い、ヒレカツ以外にも食べたい、しかし食べきれませんでしたというオチは避けねばならない。

 

ユリイカ、これだ。

コメダグラタン。

珈琲は、たっぷりアイス。

押しボタンで店員さんを呼ぶ。

それぞれ注文し、お水もお願いする。

シロノワール食べたいけど大きいんだよな、小さいサイズだと取材に来た意味が無くなるしな、なんて考えながら。

 

「コーヒーにはモーニングが付きますがいかがしますか?」

「はっ、何ですか?」私はちょっと身構えた。

「こちらのページのモーニングがセットで付きます」

「えっ、た、タダでですか?」私は身を乗り出した。

「はい」まだぎこちないアルバイト店員さんの笑顔が眩しい。

「わっ、やった」私は小躍りしてそのページを睨んだ。

 

コメダ珈琲店さんを利用するのは、バンドの打ち合わせ時ばかりだ。

モーニングの存在は全くの盲点だった。

というか昼食を摂りに来たのに、モーニング?

良いのだ、朝十一時までは珈琲にセットで付くのだから。

尾張魂の徳高さに触れた想いがする。

 

厚切りの食パンが縦半分に割かれたトースト。

Aセットは定番ゆで卵、Bセットは手作りたまごペースト、Cセットは名古屋名物おぐらあん。

シロノワールは注文しないが、Cセットにすればデザートの代わりになる。

そちらをお願いし、トーストにはジャムを塗って頂いた。

たかだか、トースト一切れでバーストなどありえぬ、渡りに船だ、皿に毒だ。

他には、バター、練乳ソースなどがあるという、至れり尽くせりか。

Aセットが気になったので、ゆで卵を追加注文した。

 

さて、しばらくすると、続々と料理が運ばれて来た。

いよいよ最後に、グラタンとセットのバゲットパンの籠なぞは、テーブルに載りきらず、整頓する間しばらく膝の上に置いておいた。

二種類のドレッシング、私はしょうゆではなくオリジナルの方を使用する。

そして、籠にはフォークが一本。

箸が欲しい。

店員さんに訊くと、その拍子に白いご飯はないか訊きそうになるのでやめた。

サラダを平らげて、いよいよヒレカツ。

最後の一枚になって冷めてしまっては興醒めだから、時間との戦いだ。

幸いにも、グラタンは熱い容器に納まっているので、時間差で食べ進めて行けば良い。

二枚目のヒレカツでもう上顎を火傷してしまったのはご愛嬌。

口の中は私のアキレス腱である、どのように鍛えても鍛えきれない。

ええいままよ、とグラタンを味見。

チーズたっぷりでとっても美味しいが物凄く熱い、そっとしておこう、当分冷めるまい。

 

さて、つい気になって注文した茹で卵だが、殻を剥きながら着想あり。

これにオリジナルドレッシングかけて食べたら、擬似タルタルソースになるぞ。

茹で卵を半分に切り、断面にドレッシングをかける。

ヒレカツに追っかけていただく。

ひ、ひ、ひ、思わず下卑た笑いが心の中で巻き起こる。

ロビン・フッドがいねェなら——ロビン・フッドになればいい。

 

丸パンは十字に切り込みが入れられ、バターが載る。

この数を二つに設定したのはコメダさん絶妙だ。

もっと食べたくなって陥穽に転落するのが後を絶たない。

案ずることなかれ、コメダグラタンとバゲットで応じる。

仕舞いにデザート代わりのモーニングトースト。

 

会計を見て珈琲が余計だったと思ったから何にもならない。