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二月の「ファイレクシア・完全なる統一」実装からちょうど二ヵ月。
いよいよ、Uncommon Low Skirmish第一回戦が始まった。
会場は錦糸町82エールハウス、大の大人が十五時の開店前に並んでいた。
キリンの生とブラウンエールで乾杯し、二杯目のジェムソンハイボールを購入してゲーム起動。
【四月一回戦第一試合】
Junマリガン、これが功を奏する。
Shoは早速、赤青の土地をタップイン。
「お前、イゼットジジイだろそれ!ww」
(イゼットジジイとは、Shoが開始初期の二月から愛用していた《静電式歩兵》を中核としたデッキ。赤の軽量火力や青のドローで、ジジイこと《静電式歩兵》や《くすぶる卵》を育てる。)
返しの二ターン目、順調に《くすぶる卵》を召喚。
一方で、Junの展開は
平地→黒の伝説の土地→青黒の土地をアンタップイン
と、まさかの三色デッキでShoを驚愕させる。
ここで《婚礼の発表》を貼り、以降三ターンに渡ってトークン生成路線へ。
その後は、Shoのババァこと《気まぐれな呪文踊り》や人間トークンなどを双方が除去し合うが、五ターン目にJun《策謀の予見者、ラフィーン》をトップデッキ、六ターン目に手札から《永遠の放浪者》へとつなげて快勝。
「ジジイ出されてたらどうなってたか分からんわ~」
「ここで俺のデッキ名、『ジジイ・ファイアー』だ。ファイアーには火力って意味と、解雇って意味をかけてるぜ」
「は?」
「このデッキ、もうジジイ居ねえぜ!」
まさかの《静電式歩兵》失業、Shoのデッキに勝ち目はあるのか・・・?
【四月一回戦第二試合】
序盤は丁々発止の除去合戦。
ターンをもらってJunが《漆月魁渡》を召喚、トークンを生成し毎ターンドローの方針が固まるが、フェイズイン後に即《稲妻の一撃》で魁渡が退場。
「アイツはな、Sho、お前に見立てて採用したプレインズウォーカーさ。そして」
まだ三枚しか出ていない土地から
「コイツはShunに見立てたPWだぜ!」
《時を解す者、テフェリー》召喚、Junは前に見かけた際よりもコストが1減っていた事を二度見したが。
そう、Junのデッキ名はエスパーフレンズこと「ザ・テクノブレイク」本人に見立てた《放浪皇》は四枚積みだ。
その後の見どころは、Shoの《ゼロ除算》によるShunことテフェリーをバウンスしてから《マスコット展示会》という王道コンボ、この時点で土地の開きがShoの7枚に対しJunは4枚である。
つまり、手札を保持しているのは圧倒的にJunが多く、Shoは逆事故気味とも見れる。
3体のマスコットはテフェリーのバウンス、《放浪皇》のトークンと相打ちして残りは飛行2/1の一体。
そして「ジジイ・ファイアー」の大本命がShoの「ジジイ!」と言う掛け声と共に召喚される…《傲慢なジン》何でも彼はこの炭鉱採掘企業の二代目という設定のようであるが、5/4で登場した彼は早々に《冥途灯りの行進》により退場、「ジジイッ!(by Sho)」
潤沢な土地を活かし、トップデッキした《ミシュラの命令》により飛行2/1トークンが10/1になってワンパンチ、《放浪皇》も除去される。
しかしながらSho既に手札は尽きJunは手札6枚、ここから2枚目の《放浪皇》で飛行トークンを除去するも、今度はShoが今引きしてきたこれまた2枚目の《ミシュラの命令》により魁渡のトークン(居たの忘れてたでしょ)と共に《放浪皇》が除去される。
一瞬まっさらになった盤面だが、Junが《しつこい負け犬》&《策謀の予見者、ラフィーン》、次ターン《華やいだエルズペス》と一転攻勢。
「何か来い!」という断末魔の《選択》から2枚目のジジイこと《傲慢なジン》が8/4で登場するも、《虚空裂き》により丁寧に対処された、「ジジイッ!(by Sho)」
四月第一回戦はJunが難なく勝利。
Shoのデッキが不調というよりは、プレインズウォーカーのアドバンテージが強いと言う事か。
自分自身の存在意義を超え、バンドの在り方をデッキに体現させたJunは負けられない。
【四月二回戦第一試合】
4/8
翌週はShunメンバーの企画により、まだ明かされていない都内某所へロケがあるため、今日中にケリをつけたいJun。
そして、もう後がないSho。
定例の錦糸町82エールハウス。
Junのハンドは、《策謀の予見者、ラフィーン》以外全て土地でゴー。
双方順調に土地が並び、盤面上の展開に乏しくコントロールの色彩を強く帯びた試合、延びれば延びるだけデッキの勝ち筋を狙える算段が現実的になる。
事実、この試合には二十分費やされている(記事の分量も非常に多いです)。
開始七分で動き。
Shoはババァこと《気まぐれな呪文踊り》、土地は5枚。
Junのラフィーンは退場したが、Shunに見立てた《時を解す者、テフェリー》忠誠度4、《華やいだエルズペス》忠誠度6、《しつこい負け犬》が二体で片方が4/3警戒カウンター付与、土地七枚。
Sho、X=4全力の《ミシュラの命令》がテフェリーを直撃、そして6/1になったババァがブロックされる事無くエルズペスを粉砕、ソーサリー一枚でプレインズウォーカー2体を屠るナイスプレーに思わず「やるな!」。
返すJunのターン、トップデッキされた《放浪皇》で黙っていられぬとばかりに-2能力を発動し、Shoのババァこと《気まぐれな呪文踊り》を追放。
さらに2体の負け犬で計7点ダメージ、このクロックが続けばShoの命はあと2ターン。
だが、二回戦第一試合は未だ残り十分弱続く。
Sho、《くすぶる卵》召喚からX=3の《ミシュラの命令》で《放浪皇》と警戒持ちの《しつこい負け犬》を除去し、再びのダブルプレー。
しかし、そこは負け犬のしつこさで墓地からアタック、Junは今後ライフ2を支払う必要があるものの卵でブロックしきれない方の三点クロックとワンドローは保証されている。
この時点でライフはSho10対Jun18。
続くターンでSho《無謀なる衝動》により卵の燃えさしカウンターが六、さらに上手く引き込んだ《選択》を唱え《灰口のドラゴン》が孵化。
イゼットカラーの強みを見せつけた。
このドラゴンは放置すると二点火力を好き勝手に撒き散らすので、使いたくなかったが即除去で《虚空裂き》、するとShoは対応してなんと《ゼロ除算》でドラゴンを手札に回収、誘発した二点火力を負け犬ではなくドラゴン自身に撃つという致命的プレイングミスが脱力ポイントだがこういうのはよくある(忠誠度が低く残したくない方のプレインズウォーカーを選んでしまうとか)。
サイドボードから履修してきた講義カードはもちろん《マスコット展示会》、Shoは現在土地が7枚並んでいるため、卵を出した次のターンで即時孵化が可能だ。
盤面はJunの《しつこい負け犬》のみ、双方マナ基盤である土地は潤沢。
そこへもう一体の負け犬が奇襲し、Sho残りライフ4、Junは16。
さらにShoに見立てた《漆月魁渡》も召喚し、ブロックされない1/1トークン生成。
これでShoはブロッカーを二体立てなければ敗北する事となった。
だが翌ターン、Sho《くすぶる卵》を二体召喚、《無謀なる衝動》で燃えさしカウンター二つの状態でターンエンド、ブロッカーが間に合って起死回生か、次のターンで《マスコット展示会》を唱えればドラゴン二体が誕生する。
Junドロー《婚礼の発表》をトップデッキし場に出す(ドローに利用)、負け犬はブロックされると分かっているがドロー効果のために奇襲、《漆月魁渡》の+1能力も起動し計3枚の追加ドローは《否定の契約》、土地、《永遠の放浪者》。
良い流れだが、Shoもまたワンパンチ圏内である、どちらが先に決めるか…。
ターンもらってSho長考、見えているハンドは《ミシュラの命令》、《発見への渇望》、《マスコット展示会》、それと伏せられているのが一枚。
…X=4で《ミシュラの命令》!これでドラゴン二体孵化!
それを受けてJunも長考、《ミシュラの命令》は対象をプレインズウォーカーの《漆月魁渡》とブロックされない1/1トークンに取っているが…ここは様子見で優先権をShoに渡し直す(+4修正のモードをShoが選択せず、8/4にしたドラゴンからのワンパンチが無かったのが不可解だが、盤面の整理に慎重だったのだろう)。
《発見への渇望》で誘発されたドラゴンの火力により負け犬退場、さらにJunにも2点
Sho が引き込んだのが《ショック》ならば一発で、ショック2点+ドラゴンの誘発火力2×2点+本体への攻撃2×4点と、Junのライフ14を奪い切るが…!それはならず、Shoまだ土地が1つアンタップ状態である。
負け犬が素通りしてしまうため、ドラゴンは攻撃せずにそのままターン終了。
Jun、満を持して《永遠の放浪者》召喚、+1能力でドラゴン一体を一時追放、さらにトップデッキした《冥途灯りの行進》により2体目のドラゴンも追放。
「えっ、何で居なくなったの??」状況を把握しきれないSho。
しかしターンもらってSho、ずらりと並んだ土地からなんと3枚目の《くすぶる卵》召喚、さらに《マスコット展示会》で即時孵化させるのだが、応じてJun一枚刺し虎の子の《否定の契約》で展示会を打ち消してボードアドバンテージは握らせずに済ませる。
ターンもらってJun、《永遠の放浪者》の+1能力で孵化したばかりのドラゴン一体を再度一時追放。
ライフ4のShoに1/1トークンと負け犬の二体でアタックし、卵で防ぎきれない1点を与えつつ、《婚礼の発表》と負け犬の効果で2枚ドローしてターンエンド。
試合の残り時間は二分を切っているが、この時点での盤面。
非アクティブプレイヤー、Jun。
《永遠の放浪者》、《婚礼の祭典》、2/2人間クリーチャー・トークン、土地12枚、ライフ12。
ロー団アクティブプレイヤ―、Sho、ライフ3。
《くすぶる卵》、土地10枚と殺風景だがここで一気に展開。
先ずはババア!そして、ジジイ!この《傲慢なジン》は自身の能力で今や16/4飛行というフィニッシャーとして育っている、これがジジイ・フレンズこと「ジジイ・ファイアー」だ!ファイアーには解雇という意味も含ませてある!
ジジイが飛んで殴ってゲーム・エンド目前。
Junターンをもらって、《永遠の放浪者》の−4能力起動。
2/2の人間クリーチャー・トークンとShoの卵を一つずつ残して全てのクリーチャーを破壊!
《しつこい負け犬》二体で奇襲をかけ、Shoのブロッカーは飽和、押し切っての勝利であった。
コントロール色の強い長い戦いだったが、双方のデッキがゆっくりと着実に戦略に乗れていた結果と言えよう。
【四月二回戦第二試合】
先攻Sho手札キープ、王手のJunは軽快にマリガンスタート。
試合時間は十分であったが、ここで双方の土地が四枚ずつ並んだ際の盤面を見てみよう。
Shoは《くすぶる卵》に《気まぐれな呪文踊り》二体ずつ、卵とババァがニコニコで攻守共に非常な硬さ、ライフは22。
一方Junは《婚礼の発表》にカウンターが二つ乗りトークン二体と貧弱だが次のターンで2/2が三体に転ずるだろう、辛うじて《踊る月、魁渡》がアタッカーの足止めをしている、今ババァに殴られてライフは16。
Jun、《華やいだエルズペス》召喚、トークン一つに+1/+1カウンター並びに飛行カウンター付与。
Sho「華やぐね〜」実際厄介である。
ターンを渡し、強化されたトークンが三体にプレインズウォーカー二体の硬い盤面。
Sho、信じられない引きの《メフィットの熱狂》二発でエルズペスを撃破、自陣の各クリーチャーにカウンターが複数乗る。
Shoは土地4枚からマナを引き出し切ったので、ターン・エンド。
Jun、《策謀の予見者、ラフィーン》をトップデッキして召喚、魁渡の能力で孵化寸前の卵を攻防不可指定。
飛んでるトークンがラフィーンの能力で6/6になってアタックし、計8点ダメージ、Sho12対Jun14でそろそろ双方平等に勝機が訪れそうである。
その後Shoはババァの能力でコピーした《ゼロ除算》により、魁渡とラフィーンをバウンスしつつドラゴンを孵化させるものの、4枚の土地からマナを引き出し切ってしまう。
ターンもらってJun、満を持して《永遠の放浪者》、ドラゴン一体を一時追放、またもこの展開でShoとしては分が悪い。
飛行6/6トークンのアタック、ドラゴンではチャンプブロックせずに通す。
エンド。
運命の最終ターン。
ブロックされない《気まぐれな呪文踊り》2/1、飛行ブロッカーの居ない《灰口のドラゴン》4/4がそれぞれ通って、Jun残りライフ6。《稲妻の一撃》による3点ダメージ、ドラゴンの誘発能力で追加の2点ダメージ、Jun残りライフ1。マナを使い切って《無謀なる衝動》、ドラゴンの火力誘発で最後の2点ダメージを削り切り。
とはならなかった。慎重派のSho、プレインズウォーカーやトークンを丁寧に対処し、Junの陣地には6/6飛行トークンとエンチャントを一つの状態にしてターン・エンド。卵が追放領域から帰還、残りライフ6。
応じてJun、《踊る影、魁渡》召喚、+1能力でドラゴンをブロック不可指定。
Sho「エッ?」
飛行トークンの6点が勝負を決めた直後の断末魔であった。
Uncommon Low Skirmish四月期、決着!
堕ちたる奴隷商人Shoに、目覚めた義の言語術師Junの鉄鎚が下った!
だが、Shoのイゼットジジイこと、「ジジイ・ファイアー」はデッキのポテンシャルは十分であり、振り返ってみてもShoの勝機は、特に二回戦に於いて十分だった。
それでもJunは負けられない、バンドの想いを一身に背負った覚悟は、数多のワイルドカードがデッキのキーカードへと姿を変えて顕現しているのだから。
…二ヶ月同じカラーでデッキを持ち込むと、そのカラーは使用禁止となる。
次回、五月期のデッキは、Jun赤か緑か、どちらも本人が好きなカラーでは無い。
Sho、大好きな黒でリベンジに来るか、Junのメタなデッキ構築が冴えるか否か。
乞う、ご期待。